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【第76回日本推理作家協会賞】長編および連作短編集部門に芦沢央さん『夜の道標』と小川哲さん『君のクイズ』

日本推理作家協会は5月11日、第76回日本推理作家協会賞の受賞作を発表しました。

 

第76回日本推理作家協会賞が決定!

第76回日本推理作家協会賞の各部門の受賞作は次の通りです。

 
<長編および連作短編集部門>

芦沢央(あしざわ・よう)さん
『夜の道標』(中央公論新社)
 
小川哲(おがわ・さとし)さん
『君のクイズ』(朝日新聞出版)

 
<短編部門>

西澤保彦(にしざわ・やすひこ)さん
「異分子の彼女」(「Webジェイ・ノベル」2022年3月29日配信)

 
<評論・研究部門>

日暮雅通(ひぐらし・まさみち)さん
『シャーロック・ホームズ・バイブル 永遠の名探偵をめぐる170年の物語』(早川書房)

 

 
<翻訳小説部門(試行)>
※2025年度から翻訳小説部門が新設される予定です。準備を兼ねて今年より2年間賞の試行を執り行い、今回試行第1回の受賞作が発表されました。

ニクラス・ナット・オ・ダーグさん著、ヘレンハルメ美穂さん訳
『1794』『1795』(小学館)

 
 
選考委員は、「長編および連作短編集部門」が喜国雅彦さん、今野敏さん、柴田哲孝さん、月村了衛さん、湊かなえさん、「短編部門」および「評論・研究部門」が北村薫さん、恒川光太郎さん、法月綸太郎さん、馳星周さん、柚月裕子さん。

 
なお、第76回日本推理作家協会賞の各部門の候補作品は以下通りです。

<長編および連作短編集部門>
◎芦沢 央さん『夜の道標』(中央公論新社)
◎岩井圭也さん『最後の鑑定人』(KADOKAWA)
◎小川 哲さん『君のクイズ』(朝日新聞出版)
◎白井智之さん『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』(新潮社)
◎長浦 京さん『プリンシパル』(新潮社)

<短編部門>
◎浅倉秋成さん「ファーストが裏切った」(ジャーロ No.85)
◎鵜林伸也さん「ベッドの下でタップダンスを」(東京創元社『秘境駅のクローズド・サークル』収録)
◎川瀬七緒さん「美しさの定義」(講談社『クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』収録)
◎北山猛邦さん「神の光」(紙魚の手帖 vol.04)
◎西澤保彦さん「異分子の彼女」(Webジェイ・ノベル 2022年3月29日配信)

<評論・研究部門>
◎阿津川辰海さん『阿津川辰海 読書日記 かくしてミステリー作家は語る〈新鋭奮闘編〉』(光文社)
◎太田克史さん編『新本格ミステリはどのようにして生まれてきたのか? 編集者宇山日出臣追悼文集』(星海社)
◎小林淳さん『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』(アルファベータブックス)
◎日暮雅通さん『シャーロック・ホームズ・バイブル 永遠の名探偵をめぐる170年の物語』(早川書房)

 

日本推理作家協会賞について

日本推理作家協会賞は、日本推理作家協会が主催する文学賞です。前年に発表された推理小説の中で最も優れた作品に授与されます。

受賞者には、正賞として名入り腕時計が、副賞として賞金50万円が贈られます。

 

夜の道標
芦沢 央 (著)

あの手の指す方へ行けば間違いないと思っていた――
1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も、被疑者の足取りはつかめていない。
殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。
それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。
『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。

君のクイズ
小川 哲 (著)

面白すぎる!! 驚くべき謎を解くミステリーとしても最高だし、こんなに興奮する小説に出会ったのも久しぶり。頼まれてもいないのに「推薦コメントを書かせて!」とお願いしてしまいました。小川哲さん、ほんとすごいな。 ――伊坂幸太郎氏

一度本を開いたらもう終わりだ。面白すぎてそのまま読み切ってしまった。 熱くて、ワクワクして、予想もつかない感動が襲ってくる。 ミステリーでも、バトルものでも、人生ドラマでもある。 でもそれだけじゃない。ジャンルはたぶん「面白い小説」だ。 ――佐久間宣行氏
   *    *     *     *
『ゲームの王国』『嘘と正典』『地図と拳』。一作ごとに現代小説の到達点を更新し続ける著者の才気がほとばしる、唯一無二の<クイズ小説>が誕生しました。雑誌掲載時から共同通信や図書新聞の文芸時評等に取り上げられ、またSNSでも盛り上がりを見せる、話題沸騰の一冊です! ストーリー:生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。 読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!
「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!

<短編部門受賞作「異分子の彼女」収録>

異分子の彼女 腕貫探偵オンライン
西澤 保彦 (著)

名探偵もテレワーク!? 異才が放つ“王道”の安楽椅子探偵!

61歳の男が介護問題で揉めて妻を殺害――ニュースを聞いたおれは驚愕した。
被害者も加害者も学生時代の旧友。
しかも妻の方は34年前、挙式当日に新郎を殺され、犯人も見つからずじまい。
そして再婚した夫に殺されたというわけだ。
おれは不安な気持ちを吐露したくなり、「リモート相談窓口」に向かうが……(「異分子の彼女」)。
コロナ禍の櫃洗市で発生する奇怪な事件の謎を、公務員探偵がオンラインで鮮やかに解決!
累計40万部突破の腕貫探偵シリーズ、最新作! 

シャーロック・ホームズ・バイブル: 永遠の名探偵をめぐる170年の物語
日暮 雅通 (著)

時代と世代を超えて愛される名探偵ホームズ。物語を生んだ時代背景から、著者ドイルの葛藤、登場人物の誕生秘話、人気を陰で支えた人々、シャーロッキアンの生態、翻訳移入史に至るまで、ホームズ研究の第一人者が、永遠の名探偵の魅力と謎に迫る画期的ガイド。

1794 (小学館文庫)
ニクラス・ナット・オ・ダーグ (著), ヘレンハルメ 美穂 (翻訳)

北欧発、超弩級歴史ミステリー三部作第二弾

フランス革命の影響を受け、陰謀と暴力、貧困と死に満ちた1794年のストックホルム。その前年、カリブ海に浮かぶ植民地サン・バルテルミー島での過酷な日々を終えて故国に帰還した若者エリックは、幾多の困難を乗り越え将来を誓い合った娘リネーアと、ついに夫婦となろうとしていた。しかし幸福の絶頂である婚礼の日の夜、エリックは地獄へと突き落とされる。戦場帰りの風紀取締官カルデルと、亡き相棒の弟エーミルは共に深い傷を抱えながらも、人のなりをした怪物の正体を暴くため、暴力と奸計渦巻く北の都を奔走するーー。
スウェーデン発の大ベストセラーにして、日本のミステリーファンに大きな衝撃を与え絶賛された『1793』。その続編がついに日本に初上陸!混沌の時代に正義を貫かんとする者たちを描く、超弩級の歴史ミステリー第二弾。

1795 (小学館文庫)
ニクラス・ナット・オ・ダーグ (著), ヘレンハルメ 美穂 (翻訳)

北欧歴史ミステリー至高の三部作、完結篇!

フランス革命の影響は未だ色濃く残り、暴力と奸計が常態化していた1795年のストックホルム。
事件を捜索することで立ち直りつつあった戦場帰りの引っ立て屋カルデルと心を病んでいた学生エーミル。彼らの善意が招いた悲劇によって、前年に多くの命が失われた。彼らと、幸せを願いながら愛する子どもたちを手放したアンナ・スティーナは一瞬にして打ちのめされ、絶望の大きさに動くことすらできなくなっていた。一方その悲劇によって追い詰められた怪物は、自らの起死回生を賭けたおぞましい計画を立て、さらなる惨劇が起きようとしていた。
戦争、暗殺、人権蹂躙。腐敗しきった18世紀末の北の都と、その中で己の正義に従い生きる者たちを力強く描き、北欧ミステリーの歴史を塗り替えた至高の三部作、堂々の完結篇!

 
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