ファンタジーの名手・村山早紀さん31年目の到達点!『不思議カフェ NEKOMIMI』が刊行

村山早紀さん著『不思議カフェ NEKOMIMI』
村山早紀さんが描く〈世界の片隅で、誰かをそっと幸せにする魔法の物語〉『不思議カフェ NEKOMIMI』が小学館より刊行されました。
ぬくもりがほしいとき、ほっとひと息つきたいときは、「不思議カフェNEKOMIMI」へどうぞ!
毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。
本書は、2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな魔法の物語です。
地元で静かに暮らす律子はある日、脳裏に死がよぎるほどのひどい頭痛におそわれる。いつもならミルクパンでいれたあたたかい紅茶を飲めばおさまるけれど、和らぐ気配はない。勤め先の印刷会社からの帰り道に拾った黒猫のためにも、まだ死ぬわけにはいかない。
≪大丈夫。何か食べたらきっと、元気になる。大丈夫。私は死なない。まだ、死なない。
濡れた路地が、街灯の光で光る。その中を、猫の入ったバッグをなるべく濡らさないように気をつけながら、一歩一歩歩く。
(大丈夫……)
だって、こんなあっけない人生なんてないだろうと思う。
律子は何者にもなれなかった。何の努力も、正しい行いもしなかった。ただ生きただけ。良いものを何も残さず、誰の記憶にも残らずに、この世界からただ消えていくだけだ。
若くして夢の途上で息絶えた父のようにドラマチックに、老いてなおたくさんのひとびとの命を守るために世界を駆けた母のように英雄的に、とまではいわないけれど、何か小さなことでも、誰かのためになる人生を送りたかった。ひとかけらでも誰かの記憶に残るような、小さな偉業を成し遂げたかった。
誰かに優しくしたかった。
誰かを幸せにしたかった。
笑わせてあげたかった。
自分ができることを何か、誰かにしてあげたかった。たとえば、熱いお茶や、美味しいお菓子や、ささやかな食事を出してあげたかった。≫
(本文「序章」より)
律子の生が消えてゆこうとする夜、彼女の身にある奇跡が訪れる――。猫の魔神によって魔法使いに転生した律子は、ひそやかにひとびとを幸せにしていく。
『レミーさんのひきだし』『王さまのお菓子』の人気イラストレーター・くらはしれいさんによる装画・挿絵を10点超掲載。
≪彼女は善い魔法使いとなり、出会ったひとびとを救い、幸福にするための力を手に入れるのですが、それは世界の片隅で起きるひそかな物語、ほんとうに小さな魔法です。地球を救ったり、闇の力と戦ったり、そういう壮大な物語ではありません。時の狭間の中で忘れられてゆくような、忘れられてきたような、小さな祈りや命をひとつひとつ大切にすくい上げてゆく、そんな物語です。≫
(本書「著者あとがき」より)
<全国の書店員さんから反響続々!>
「この小説の魔法は猫にやさしく、人にやさしく、自分にやさしく、未来にやさしい」――うさぎや矢板店・山田恵理子さん
「律子さんのいれるミルクティーのように、心の芯から温めてもらいました」――ブックセンタークエスト小倉本店・竹内裕美さん
「日々の幸せに気づかせていただける貴重な読書体験」――紀伊國屋書店福岡本店・宗岡敦子さん
「誰もが魔法を使うことができる。読み終えた今、私は心からそう思える」――ジュンク堂書店滋賀草津店・山中真理さん
「生きることの意味や平和への願いがふつふつと湧き上がる。優しさと慈愛に満ちた物語」――未来屋書店りんくう泉南店・新家かほりさん
著者プロフィール
著者の村山早紀(むらやま・さき)さんは、1963年生まれ、長崎県出身。『ちいさいえりちゃん』で第15回毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。
著書に『シェーラ姫の冒険』『アカネヒメ物語』『はるかな空の東』『百貨の魔法』『魔女たちは眠りを守る』『風の港』など。シリーズに「コンビニたそがれ堂」「花咲家の人々」「竜宮ホテル」「桜風堂ものがたり」など多数。共著に『トロイメライ』。エッセイ『心にいつも猫をかかえて』がある。
不思議カフェ NEKOMIMI 村山 早紀 (著) あなたの、ささやかな生には意味がある。 毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。 <彼女は善い魔法使いとなり、出会ったひとびとを救い、幸福にするための力を手に入れるのですが、それは世界の片隅で起きるひそかな物語、ほんとうに小さな魔法です。地球を救ったり、闇の力と戦ったり、そういう壮大な物語ではありません。時の狭間の中で忘れられてゆくような、忘れられてきたような、小さな祈りや命をひとつひとつ大切にすくい上げてゆく、そんな物語です>――著者あとがきより 人ならぬ身となり、黒猫メロディとともに空飛ぶ車に乗った律子は、旅先でいろんなひとや妖怪と出会ったり、時にはカフェを開いてお客様に料理やお茶をふるまったり…。2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな、小さな魔法の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 |
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