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赤神諒さんが土佐の若武者・長宗我部信親を描く戦国青春群像劇『友よ』が刊行

赤神諒さん著『友よ』

赤神諒さん著『友よ』

「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し、『はぐれ鴉』『立花三将伝』などの歴史小説を執筆している作家・赤神諒さんの最新作『友よ』がPHP研究所より刊行されました。

本書は、土佐国(現在の高知県)を治めた戦国大名・長宗我部元親の嫡男で、将来を嘱望されながらも若くして戦死した戦国武将・長宗我部信親と、彼を慕ってともに戦場で散った若武者たちの生涯を描いた《戦国青春群像劇》です。

 

戦国時代に生きた若者の悲劇的な人生を、爽やかに描きたい

赤神諒さんが本書の主人公に長宗我部信親を選んだ背景には、「戦国時代に生まれた若者の悲劇的な生涯を、せめて爽やかに、そして自分の人生を『生き切った』と言えるようなかたちで描きたい」という強い思いがありました。

 
信親やその配下の若武者たちが戦で命を落とした時期は、豊臣秀吉によって全国統一がなされる直前の戦国時代末期です。平和を目前にしながらも常に死と隣り合わせだったであろうその生涯を、大胆に創作しました。

 
タイトルの『友よ』には、信親の人生が肝胆相照らす友と出会い、最期の時に大事な何かを、誇れる何かを胸に抱けるものであってほしいという願いも込められています。

 

敵兵をも「友」として取り込む、信親の「清冽」な魅力

本書において信親は、人を引きつける魅力あふれた人物として描かれます。その人柄で家臣や領民のみならず、長く敵対関係にあり、のちに戦場をともにする讃岐国(現在の香川県)の戦国大名・十河存保のような敵国武将たちまでも、いつしか「友」と呼び合い、味方に取り込んでしまいます。

 
史実、信親はたいへん柔和で、周囲の人に慕われていたとされています。赤神さんは、本作における信親の性格を、四国を流れる穏やかで清らかな川になぞらえて描き上げたそうです。

 

著者のライフワーク〈大友サーガ〉番外編

赤神さんには、九州の戦国武将・大友家やその家臣団などを主人公とする〈大友サーガ〉と呼ばれる作品群があります。大友家のたどった栄枯盛衰の歴史に魅了され、それを描くことが、作家としてのライフワークとなっているのです。

 
最新刊『友よ』は、土佐国の長宗我部信親が主人公ですが、著者は本書を〈大友サーガ〉の「第7弾・番外編」と位置づけています。信親が命を落とすのは、大友家が治める豊後国(現在の大分県)に流れる戸次川で、そもそも土佐国から豊後国へ、信親が出陣する原因は、大友家当主の大友義統にあるからです。〈大友サーガ〉に連なる歴史エンターテインメント小説は、赤神ファンも戦国好きにも楽しめます。

 

本書の目次

序 戸次川の落日

第一部 石清川
第一章 土佐の御曹司
第二章 藤目城の守将
第三章 岡豊の春
第四章 川と麦
第五章 波川に咲く花

第二部 中富川
第六章 土佐で好きなもの
第七章 中富川哀傷歌
第八章 石ぐろと火振り
第九章 誰のために

第三部 戸次川
第十章 羇旅
第十一章 人を動かすものは
第十二章 円陣

 

著者プロフィール

著者の赤神諒(あかがみ・りょう)さんは、1972年生まれ、京都市出身。同志社大学文学部卒業。私立大学教授、法学博士、弁護士。2017年「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。

その他の著書に、『はぐれ鴉』『仁王の本願』『大友の聖将』『大友落月記』『神遊の域』『戦神』『妙鱗』『計策師 甲府駿相三国同盟異聞』『空貝 村上水軍の神姫』『北前船用心棒 赤穂ノ奏 犬侍見参』『立花三将伝』などがある。

 

友よ
赤神 諒 (著)

長宗我部信親――
敵も味方も魅了し、清冽に戦国を駆け抜けた若者がいた。
四国を統一しつつあった長宗我部元親。その嫡男・信親は、武勇の誉れ高く、人望も厚く、将来を嘱望されていたが、22歳の時に若くして、島津家を相手にした戸次川の戦いで命を落とす。彼はなぜ、“必敗必死”の戦場にとどまり、その地で死ななければならなかったのか。
家臣や領民、そして戦った敵までをも魅了し、「友」として取り込んでいく熱い生きざまを、堂々たる筆致で描く、心を震わす青春歴史群像小説。

 


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