本のページ

SINCE 1991

「きれいごと」だけでは生きていけない――これが、私たちの本性だ!橘玲さん『バカと無知』が刊行

橘玲さん著『バカと無知~人間、この不都合な生きもの』

橘玲さん著『バカと無知~人間、この不都合な生きもの』

作家・橘玲さん著『バカと無知~人間、この不都合な生きもの』が新潮社より刊行されました。

橘さんは6年前に刊行された『言ってはいけない~残酷すぎる真実』で「2017新書大賞」を受賞しました。今回も同様に、世の中の”タブーの森”に分け入って、「芸能人と正義に関するニュース」がどうして人気コンテンツになるのか? 「三人寄れば文殊の知恵」が実は成立しない理由、差別はなぜなくならないのか?……などといった様々なテーマを取り上げ、解き明かして行きます。

 

50万部突破『言ってはいけない』から6年、最新知見に基づいて”きれいごと社会”の残酷な真実を描く

著者は《まえがき》で安倍元首相を銃撃し、死亡させた「41歳の男」に言及し、大要こんなふうに綴ります。

 
《男に、自分が「被害者/善」であり、元首相が「加害者/悪」だという絶対的な確信があった。自分は純粋な被害者(善)だという物語をつくろうとしたとき、その教団とかかわりがあった(とされる)この国でもっとも有名な政治家が、絶対的な「悪」として立ち上がってきたのではないだろうか。いったんこの物語に支配されてしまうと、そこから抜け出すことは不可能だったのだろう。なぜなら、その物語こそが「わたし」そのものなのだから》

 
本書は、このような「やっかい」な存在であるわたしたちをめぐってのものになります。

 
たとえば、昨年の東京五輪の開会式の直前に、楽曲や演出を担当する著名人らが過去の不適切な行為を指摘され、辞任や解任などに追い込まれました。

こういった動きは「キャンセルカルチャー」という言葉で知られ、時を経るごとに過激化しているようです。その背景にいったい何があるのかについて、著者は科学的事実をもとに丁寧に説明してくれます(4キャンセルカルチャーという快感)。

 
現代社会には多くの分断があり、バグ・ワナが至るところに潜んでおり、「人間について、知りたくないけれど、知っておくべきこと」が無数に横たわっています。本書は現代社会を生きるうえで、貴重な参考書として機能することでしょう。

 

本書の構成

PARTⅠ 正義は最大の娯楽である
1なんでみんなこんなに怒っているのか/2自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」/3なぜ世界は公正でなければならないのか/4キャンセルカルチャーという快感

PART II バカと無知
5バカは自分がバカであることに気づいていない/6「知らないことを知らない」という二重の呪い/7民主的な社会がうまくいかない不穏な理由/8バカに引きずられるのを避けるには?/9バカと利口が熟議するという悲劇/10過剰敬語「よろしかったでしょうか?」の秘密/11日本人の3人に1人は日本語が読めない/12投票率は低ければ低いほどいい/13バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来

PART III やっかいな自尊心
14皇族は「上級国民」/15「子どもは純真」はほんとうか?/16いつも相手より有利でいたい/17非モテ男と高学歴女が対立する理由/18ほめて伸ばそうとすると落第する/19 美男・美女は幸福じゃない/20自尊心が打ち砕かれたとき/21日本人の潜在的自尊心は高かった/22自尊心は「勘違い力」/23 善意の名を借りたマウンティング/24 進化論的なフェミニズム

PART IV 「差別と偏見」の迷宮
25無意識の差別を計測する/26誰もが偏見をもっている/27差別はなぜあるか?/28「偏見」のなかには正しいものもある?/29「ピグマリオン効果」は存在しない?/30強く願うと夢はかなわなくなる/31ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?/32「信頼」の裏に刻印された「服従」の文字/33道徳の「貯金」ができると差別的になる/34「偏見をもつな」という教育が偏見を強める/35共同体のあたたかさは排除から生まれる/36愛は世界を救わない

PART Ⅴ すべての記憶は「偽物」である
37トラウマ治療が生み出した冤罪の山/38アメリカが妄想にとりつかれる理由/39トラウマとPTSDのやっかいな関係/40「トラウマから解放された私」とは?

付論1 PTSDをめぐる短い歴史
付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?

 

著者コメント

(「あとがき」より抜粋)

人間というのはものすごくやっかいな存在だが、それでも希望がないわけではない。一人でも多くのひとが、本書で述べたような「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もうすこし生きやすい社会になるのでないだろうか。自戒の念をこめて記しておきたい。

 

著者プロフィール

著者の橘玲(たちばな・あきら)さんは、1959年生まれ。作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。

『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が30万部超のベストセラーに。『永遠の旅行者』は第19回山本周五郎賞候補となり、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞を受賞。

 

バカと無知 (新潮新書)
橘 玲 (著)

正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だ。しかし、希望がないわけではない。一人でも多くの人が人間の本性、すなわち自分の内なる「バカと無知」に気づき、多少なりとも言動に注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるはずだ。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です