【第71回毎日出版文化賞】古処誠二さん、東浩紀さん、千葉聡さん、田川建三さん 特別賞に前野ウルド浩太郎さん
第71回毎日出版文化賞が決定し、「文学・芸術」「人文・社会」「自然科学」「企画」「特別賞」の5部門の受賞作品が発表されました。
「第71回毎日出版文化賞」受賞作品
第71回毎日出版文化賞は、次の各作品が受賞作に選ばれました。
■文学・芸術部門 『いくさの底』(古処誠二さん/KADOKAWA)
■人文・社会部門 『ゲンロン0 観光客の哲学』(東浩紀さん/ゲンロン)
■自然科学部門 『歌うカタツムリ』(千葉聡さん/岩波書店)
■企画部門 『新約聖書 訳と註 全7巻(全8冊)』(田川建三さん・訳/作品社)
■特別賞 『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎さん/光文社)
毎日出版文化賞について
毎日出版文化賞は1947年に創設。毎日新聞社が主催し、優れた出版物の著編者、出版社などを顕彰する文学・文化賞です。大日本印刷が特別協力。
「文学・芸術」、「人文・社会」、「自然科学」、「企画」(全集、講座、辞典、事典、書評など)、「特別賞」の5部門で選考が行われます。対象となるのは、前年9月1日から当年8月31日までの間に初版が刊行された出版物、同時期に完結した全集などです。
戡定後のビルマの村に急拵えの警備隊として配属された賀川少尉一隊。しかし駐屯当日の夜、何者かの手で少尉に迷いのない一刀が振るわれる。敵性住民の存在が疑われるなか、徹底してその死は伏され、幾重にも糊塗されてゆく―。善悪の彼岸を跳び越えた殺人者の告白が読む者の心を掴んで離さない、戦争ミステリの金字塔!
ゲンロン0 観光客の哲学
否定神学的マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリ、ドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルのパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。
歌うカタツムリ――進化とらせんの物語 (岩波科学ライブラリー)
なんだか地味でパッとしないカタツムリ。しかし、生物進化の研究においては欠くべからざる華だった。偶然と必然、連続と不連続……。木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ、行きつ戻りつしながらもじりじりと前進していく研究の営みと、カタツムリの進化を重ねて描き、らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる。
新約聖書 訳と註 1 マルコ福音書/マタイ福音書
一語、一句原文を精査校訂、現代の「日本語訳・新約聖書」の定本となる画期的訳業!
明治以来、新約聖書のさまざまな日本語訳の試みが行われてきました。日本聖書教会に限っても、文語訳、口語訳、共同訳そして新共同訳と、何回かの改訂がなされています。現在最もスタンダードな聖書として流通している「新共同訳」は、プロテスタントとカトリックとの共同作業によるものですが、諸所に護教的な「解釈」が盛り込まれていること、そして古代文献の翻訳に必須の訳註がついていないこと等の欠点があります。
そうした背景のもと、今回の「田川建三個人訳」は、いわゆるキリスト教会のドグマから完全に自由で、かつ、徹底した正文批判がなされ、一つ一つの語義・語釈についても詳細な註釈が施されています。本書により、名実ともに世界に通用する日本語訳「新約聖書」が誕生したこととなります。
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。それが、修羅への道とも知らずに……。
『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る科学冒険ノンフィクション!
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