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【第77回毎日出版文化賞】多和田葉子さん『太陽諸島』など5作品が受賞

毎日新聞社は11月3日、優れた出版物の著編者、出版社を顕彰する「第77回毎日出版文化賞」の受賞作品を発表しました。

 

第77回毎日出版文化賞が決定!

第77回毎日出版文化賞の受賞作品が、次の通り決定しました。
なお、贈呈式は12月18日午後2時、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開催されます。

 
<第76回毎日出版文化賞 受賞作品>

■文学・芸術部門
多和田葉子(たわだ・ようこ)さん
『太陽諸島』(講談社)

■人文・社会部門
大森淳郎(おおもり・じゅんろう)さん・NHK放送文化研究所
『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版)

■自然科学部門
櫻井芳雄(さくらい・よしお)さん
『まちがえる脳』(岩波書店)

■企画部門
古川隆久(ふるかわ・たかひさ)さん他編
『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録』全7巻(岩波書店)

■特別賞
阿部卓也(あべ・たくや)さん
『杉浦康平と写植の時代 光学技術と日本語のデザイン』(慶応義塾大学出版会)

 

毎日出版文化賞について

毎日出版文化賞は1947年に創設。毎日新聞社が主催し、優れた出版物の著編者、出版社などを顕彰する文学・文化賞です。大日本印刷が特別協力。

「文学・芸術」、「人文・社会」(ノンフィクション、歴史、民俗、思想、哲学、宗教、政治、経済など)、「自然科学」、「企画」(全集、講座、辞典、事典、書評など)および、広く読者に支持され、出版文化の向上に貢献した出版物に贈られる「特別賞」の5部門で選考が行われます。対象となるのは、前年9月1日から当年8月31日までの間に初版が刊行された出版物、同時期に完結した全集などです。

「文学・芸術」「人文・社会」「自然科学」「企画」の各部門の受賞者には、賞状と記念品、賞金100万円が贈られます。
また、広く読者に支持され、出版文化に貢献した出版物に特別賞を贈呈する場合があります。「特別賞」の受賞者には、賞状と記念品が贈られます。

 

太陽諸島
多和田 葉子 (著)

世界文学の旗手が紡ぐ、初の連作長篇三部作、完結!
響きあう言葉とともに地球を旅する仲間たちの行方は――。国境を越えて人と人をつなぐ、新しい時代の神話

ヨーロッパで移民として生きるため、自家製の言語「パンスカ」をつくり出したHirukoは、消えてしまった故郷の島国を探して、仲間たちと共に船の旅に出る。一行を乗せた船はコペンハーゲンからバルト海を東へ進むが、沿岸の港町では次々と謎めいた人物が乗り込んできて――。

言葉で結びついた仲間たちの、時空を超えた出会いと冒険を描く、多和田葉子の新たな代表作。
『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』に続くサーガ、ついに完結!

ラジオと戦争: 放送人たちの「報国」
大森 淳郎 (著), NHK放送文化研究所 (著)

1925 年に登場し、瞬く間に時代の寵児となったラジオ。そのラジオ放送に携わった人々は、ラジオの成長と軌を一にするかのように拡大した「戦争」をどう捉え、どう報じたのか、あるいは報じなかったのか。また、どう自らを鼓舞し、あるいは納得させてきたのか。そして敗戦後はどう変わり、あるいは変わらなかったのか――。
上記をテーマに、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」は、2017 年8 月号~21 年12 月号で、5 年にわたり「戦争とラジオ」を掲載した。その連載を単行本化したものが本書である。筆者の大森淳郎はNHKのドキュメンタリー番組のディレクターとして、戦争中のラジオについても長年取材を続けたのち、2016年~22年12月まで同研究所の特任研究員を務めた。

本書では、記者・ディレクター・アナウンサー…といった「放送人」たちが遺した証言と記録、NHKにある稀少な音源・資料などを渉猟し、丁寧にたどり、検証しながら、自省と内省の視点を欠くことなく多面的に「戦争とラジオ」の関係を追う。
ひいては、非常時において、メディアに携わる者がどのように思考・模索し、振る舞うべきなのかをも照射したノンフィクション。

まちがえる脳 (岩波新書)
櫻井 芳雄 (著)

人はまちがえる。それは、どんなにがんばっても、脳がまちがいを生み出すような情報処理を行っているから。しかし脳がまちがえるからこそ、わたしたちは新たなアイデアを創造し、高次機能を実現し、損傷から回復する。そのような脳の実態と特性を、最新の研究成果をふまえて解説。心とは何か、人間とは何かに迫る。

拝謁記1 昭和24年2月~25年9月 (昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録 第一巻)
田島 道治 (著), 古川 隆久 (編集), 茶谷 誠一 (編集), 冨永 望 (編集), 瀬畑 源 (編集), 河西 秀哉 (編集), 舟橋 正真 (編集), NHK (その他)

「拝謁記」の記述が始まる一九四九年、占領下の日本を取り巻く内外の情勢は大きく様変わりしようとしていた。翌年には朝鮮戦争が勃発、冷戦が激化する中、国内でも独立回復に向けた政治的策動が渦巻き始める。象徴天皇となった昭和天皇と、初代宮内庁長官となった田島道治は情勢変化にいかに対応したのであろうか。

杉浦康平と写植の時代: 光学技術と日本語のデザイン
阿部 卓也 (著)

宇宙としてのブックデザイン
戦後日本のグラフィックデザインを牽引したデザイナー、杉浦康平。
彼は写植という新たな技術といかに向きあい、 日本語のデザインといかに格闘したのか。
杉浦康平が日本語のレイアウトやブックデザインに与えた決定的な影響を明らかにする。

 
【関連】
社告:第77回毎日出版文化賞、決定 | 毎日新聞
 


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