頑張り方の多様性とは? 額賀澪さん初の児童文学『ラベンダーとソプラノ』が刊行 イラストは いつか さん
岩崎書店は、青春小説の旗手、額賀澪さんによる初の児童文学『ラベンダーとソプラノ』(絵:いつか さん)を刊行しました。日常の悩みを取り上げ、大人を巻き込みながら成長していく子どもたちの姿をさわやかに描く物語です。
「みんなで頑張る」を経験する子どもたちに贈る青春ストーリー『ラベンダーとソプラノ』
本書は、『タスキメシ』(小学館)、『風を恋う』(文藝春秋)など、部活動を題材に数多くの青春小説を描いてきた額賀澪さんが、小学校の合唱クラブと商店街での世代間交流に舞台を移し、初めて児童文学に挑んだ意欲作です。
学校の部活動という集団の枠組みの中で、頑張ることや楽しさだけではないさまざまな葛藤。そして、集団に属さない友人や、地域の商店街で出会う多世代との交流、親との会話を通じ、物ごとの答えは決してひとつではなく、居場所や立場によっても見方が異なり、優劣も正解もないことを、主人公が感じながら成長していくストーリーになっています。
カバーイラストと挿絵を手掛けたのは人気イラストレーターのいつかさん。主人公が合唱クラブに憧れたきっかけの象徴として物語全体に漂うラベンダーの香りと主人公の葛藤を、美しく絶妙な空気感で描いています。
額賀澪さんのコメント
「みんなで頑張る」の「みんな」にも「頑張る」にもいろいろな形があっていい、というのがこの作品のスタートでした。
部活動のあり方が問われ、改革が進められている今、改めて「同世代の仲間と頑張ること」とはどういうことなのか。どんな面白さがあり、危うさが潜んでいるのか。物語を楽しみながら感じるきっかけになってくれたら嬉しいです。
本書のあらすじ
小学校の入学式で、上級生からの歌のプレゼントとして聞いた合唱クラブの歌声。
真正面から、とてもいい香りのする風が吹いてきたようなその音色に感動した真子は、4年生になったら合唱クラブに入ろう、と決めた。
そして6年生になった今。
「今年こそは金賞を」と意気込む合唱クラブだったが、卒業していった上級生たちの残した「来年は絶対に金賞を取って!」という言葉がプレッシャーとして重く伸し掛かり、練習もうまくいかなくなっている。
重圧や厳しい練習で崩壊寸前のクラブ。
そんな中、保健室で出会ったちょっと不思議な男子・朔に誘われて、「半地下合唱団」に参加する。
そこで聞いた朔の歌声に感動した真子は、頑張ることの意味やクラブのあり方を考え始めて…。
集団でも、頑張り方に多様性を認め、第3の居場所があっていい。
青春小説『ヒトリコ』『タスキメシ』(ともに小学館)の著者が描く、みずみずしい児童文学。
著者プロフィール
■作:額賀澪(ぬかが・みお)さん
1990(平成2)年生まれ、茨城県出身。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2015年に『屋上のウインドノーツ』で第22回松本清張賞を、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。
『タスキメシ』(小学館)が第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に。そのほか、『君はレフティ』『ウズタマ』(ともに小学館)、『完パケ!』(講談社)、『さよならクリームソーダ』『拝啓、本が売れません』『風に恋う』(ともに文藝春秋)、『沖晴くんの涙を殺して』『世界の美しさを思い知れ』(ともに双葉社)などがある。
■絵:いつかさん
書籍装画、挿絵、漫画、キャラクターデザイン、広告、パッケージイラストなど多数。児童書の装画として『大渋滞』(いとうみくさん/PHP研究所)、「悪ガキ7」シリーズ(宗田理さん/静山社ペガサス文庫)、『なかよくなれるかな』(今井福子さん/文研出版)、令和3年度版中学校道徳教科書『新・中学生の道徳 明日への扉』表紙絵(学研教育みらい )のほか、「ブルボン×住野よる オリジナルオーディオ小説『no doubt』濃厚チョコブラウニー」アニメーションテレビCM キャラクターデザイン、平井堅さん「怪物さん feat.あいみょん」イラスト映像作画などがある。
ラベンダーとソプラノ 額賀 澪 (著), いつか (イラスト) 頑張りかたはひとつじゃない 「今年こそ金賞を」の重圧と厳しい練習で崩壊寸前の合唱クラブ。 青春小説『ヒトリコ』『タスキメシ』の著者が描く、初の児童文学! |
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