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【第73回小学館児童出版文化賞】最上一平さん『じゅげむの夏』とザ・キャビンカンパニー『ゆうやけにとけていく』が受賞

小学館は9月13日、第73回小学館児童出版文化賞の受賞作を発表しました。

 

第73回小学館児童出版文化賞が決定!

第73回小学館児童出版文化賞では、審査委員・作家・画家・写真家・各出版社・新聞社・児童文化団体・図書館・書店児童図書担当者・読者からの推薦を募り、それに事務局が収集した作品を加えて予備選考を行います。そこで選ばれた候補作を対象に最終選考会が開催され、審査委員の荒井良二さん、鈴木のりたけさん、舘野鴻さん、富安陽子さん、森絵都さんの5名による審査の結果、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第73回小学館児童出版文化賞 受賞作品>

◎最上一平(もがみ いっぺい)さん
『じゅげむの夏』(絵:マメイケダさん/佼成出版社)

◎ザ・キャビンカンパニー
『ゆうやけにとけていく』(小学館)

 
受賞者の最上一平さんとザ・キャビンカンパニーには、正賞としてブロンズ像、副賞として賞金100万円が贈られます。贈賞式は11月14日(木)、都内にて開催予定。

 
なお、今回の候補作は以下の作品です。

【候補作品】 ※敬称略
◎『アナタノキモチ』(安田夏菜/文研出版)
◎『さみしい夜にはペンを持て』(古賀史建/ポプラ社)
◎『じゅげむの夏』(最上一平/佼成出版社)
◎『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(天川栄人/講談社)
◎『夜空にひらく』(いとうみく/アリス館)
◎『おじいちゃんのくしゃみ』(阿部結/福音館書店)
◎『クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~』(降矢なな/福音館書店)
◎『せかいいちれいぎただしいかいじゅう ボンバルボン』(キューライス/小学館)
◎『どろぼうねこ うみのうえ』(文:こまつのぶひさ、絵:かのうかりん/文芸社)
◎『みんなのいえ』(たしろちさと/文溪堂)
◎『ゆうやけにとけていく』(ザ・キャビンカンパニー/小学館)
◎『わたしはかわいいマヌルネコ』(たけがみたえ/あかね書房)

 

受賞作および受賞者について

 
■『じゅげむの夏』(最上一平さん/佼成出版社)

【あらすじ】
山ちゃん、シューちゃん、かっちゃん、ぼくの仲よし4人組は、天神集落で同じ小学校に通う4年生。かっちゃんは筋ジストロフィーという病気だけれど、ぼくらにとって、特別な存在ではない。親友のひとりだ。迎えた夏休み。ぼくらは「夏を冒険する」ことに決めて、何をするか相談したのだけれど……。
死という確かで曖昧なものを共有しながら、めいっぱいいのちを謳歌する少年たちの夏の日をみずみずしく描いたさわやかな作品。

<受賞者プロフィール>
1957年生まれ、山形県出身。児童文学作家。『銀のうさぎ』で第18回日本児童文学者協会新人賞、『ぬくい山のきつね』(共に、新日本出版社)で第41回日本児童文学者協会賞と第19回新美南吉児童文学賞、『じぶんの木』で第21回ひろすけ童話賞、『たぬきの花嫁道中』(絵:町田尚子さん/共に、岩崎書店)で第24回日本絵本賞を受賞。読み物の作品に『あらわれしもの』(新日本出版社)、絵本の作品に『いのちがかえっていくところ』(絵:伊藤秀男さん/童心社)、『すずばあちゃんのおくりもの』(絵:黒井健さん/新日本出版社)ほか多数。

 
■『ゆうやけにとけていく』(ザ・キャビンカンパニー/小学館)

【あらすじ】
だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、ふくれっ面で石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。夕焼けはどんな子のところにもやってくる。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。

<受賞者プロフィール>
阿部健太朗さんと吉岡紗希さんによる二人組の絵本作家、美術家。1989/1988年、ともに大分県生まれ。大分県由布市の廃校をアトリエにして、絵本・立体造形・アニメーションなど様々な作品を生み出し、国内外で発表している。『だいおういかのいかたろう』(鈴木出版)で第20回日本絵本賞読者賞、『しんごうきピコリ』で第23回日本絵本賞読者賞、『がっこうにまにあわない』(共に、あかね書房)で第28回日本絵本賞、『ゆうやけにとけていく』(小学館)で第71回産経児童出版文化賞産経新聞社賞と第29回日本絵本賞大賞を受賞。主な著書に『ほこほこのがっこう』『ゆびさしちゃん』『ほーほー』『にょっ!』『ねんねこ』(以上、小学館)などがある。

 

小学館児童出版文化賞について

小学館児童出版文化賞は、小学館が1952年に創業30周年を記念して創設。文学部門と絵画部門の2部門から構成されていましたが、1960年より小学館文学賞と小学館絵画賞に分離独立、1996年から発展的に統合し、現在の名称となっています。

同賞は、児童出版文化の向上に貢献すると認められる作品及び作家を毎年選定し顕彰。4月から翌年3月までに発表された絵本、童話・文学(フィクション・詩・シナリオなど)、その他(ノンフィクション・科学絵本・図鑑・事典など)の出版物(翻訳・キャラクター・コミックスなどは除く)で、幼年ならびに少年少女に推薦したい優れた作品を対象としています。

 

じゅげむの夏
最上一平 (著), マメイケダ (イラスト)

山ちゃん、シューちゃん、かっちゃん、ぼくの仲よし4人組は、天神集落で同じ小学校に通う4年生。かっちゃんは筋ジストロフィーという病気だけれど、小さい頃から一緒にいるぼくらにとって、かっちゃんは特別な存在ではない。親友のひとりだ。そのかっちゃんが、4年生の夏休みに、川へダイブしたいと言い始めた。天神集落の子どもにとって、川へのダイブは、大人への階段を一歩上がるような、そんなならわしだった。「だいじょうぶ、どぼんて落ちるだけだからさ。来年になったらとべなくなるかもしんねえし」。人なつっこい笑顔でそう言うかっちゃんの願いをきいてあげたくて、ぼくらは綿密に計画を練ったのだけれど……。
夏の匂いが濃く立ちこめる山あいの村で、死という確かで曖昧なものを共有しながら、めいっぱいいのちを謳歌する少年たちの夏の日をみずみずしく描いたさわやかな作品。

ゆうやけにとけていく
ザ・キャビンカンパニー (著)

夕焼けは喜びも悲しみも包み込む

だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、悔しくて石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。

【編集担当からのおすすめ情報】
ページをめくる度に少しずつ沈んでいく太陽が印象的な、静かに噛みしめる雰囲気の絵本ができました。昭和初期を思わせるような少しノスタルジックな絵で展開する、ザ・キャビンカンパニーの新境地。贈り物としてもいいかもしれません。

 
【関連】
小学館児童出版文化賞

 


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