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「第13回山田風太郎賞」候補作が決定 浅倉秋成さん、小川哲さん、砂原浩太朗さん、蝉谷めぐ実さん、早見和真さんの計5作品

「第13回山田風太郎賞」候補作品

「第13回山田風太郎賞」候補作品

KADOKAWAは9月28日、過去一年間で最も「面白い」と評価されたエンタテインメント小説に贈る「第13回山田風太郎賞」の候補作品を発表しました。

 

「第13回山田風太郎賞」候補作品を発表!

第13回山田風太郎賞の候補作品は、次の5作品です。

 
<「第13回山田風太郎賞」候補作品> ※著者五十音順

◎浅倉秋成(あさくら・あきなり)さん
『俺ではない炎上』(双葉社)

◎小川哲(おがわ・さとし)さん
『地図と拳』(集英社)

◎砂原浩太朗(すなはら・こうたろう)さん
『黛家の兄弟』(講談社)

◎蝉谷めぐ実(せみたに・めぐみ)さん
『おんなの女房』(KADOKAWA)

◎早見和真(はやみ・かずまさ)さん
『八月の母』(KADOKAWA)

 
本賞の選考委員は朝井まかてさん、恩田陸さん、貴志祐介さん、筒井康隆さん、夢枕獏さん(※下記写真左より/五十音順)が務めます。選考会は、2022年10月21日(金)に東京會舘にて開催予定です。

 

山田風太郎賞について

山田風太郎賞は、戦後日本を代表する大衆小説作家・山田風太郎さんの独創的な作品群と、大衆性、ノンジャンル性、反骨精神など氏が貫いた作家的姿勢への敬意を礎に、有望な作家の作品を発掘顕彰するため、2010年にスタート(創設は2009年)された文学賞です。株式会社KADOKAWAと公益財団法人角川文化振興財団が主催。

毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された長編および短編の文芸作品(ミステリ、時代、SFなどジャンルを問わない)の中より最も面白いと評価された日本の小説作品に贈られます。新人、新進、中堅作家の作品が対象となります。受賞者には、正賞として記念品、副賞として賞金100万円が贈られます。

 

俺ではない炎上
浅倉 秋成 (著)

ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。

地図と拳
小川 哲 (著)

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。

ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

黛家の兄弟
砂原 浩太朗 (著)

第35回山本周五郎賞受賞作!

第165回直木賞、第34回山本周五郎賞候補『高瀬庄左衛門御留書』の砂原浩太朗が描く、陥穽あり、乱刃あり、青春ありの躍動感溢れる時代小説。

道は違えど、思いはひとつ。
政争の嵐の中、三兄弟の絆が試される。

『高瀬庄左衛門御留書』の泰然たる感動から一転、今度は17歳の武士が主人公。
神山藩で代々筆頭家老の黛家。三男の新三郎は、兄たちとは付かず離れず、道場仲間の圭蔵と穏やかな青春の日々を過ごしている。しかし人生の転機を迎え、大目付を務める黒沢家に婿入りし、政務を学び始めていた。そんな中、黛家の未来を揺るがす大事件が起こる。その理不尽な顛末に、三兄弟は翻弄されていく。

令和の時代小説の新潮流「神山藩シリーズ」第二弾!

~「神山藩シリーズ」とは~
架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。

おんなの女房
蝉谷 めぐ実 (著)

『化け者心中』で文学賞三冠。新鋭が綴る、エモーショナルな時代小説。

ときは文政、ところは江戸。武家の娘・志乃は、歌舞伎を知らないままに役者のもとへ嫁ぐ。夫となった喜多村燕弥は、江戸三座のひとつ、森田座で評判の女形。家でも女としてふるまう、女よりも美しい燕弥を前に、志乃は尻を落ち着ける場所がわからない。
私はなぜこの人に求められたのか――。
芝居にすべてを注ぐ燕弥の隣で、志乃はわが身の、そして燕弥との生き方に思いをめぐらす。
女房とは、女とは、己とはいったい何なのか。
いびつな夫婦の、唯一無二の恋物語が幕を開ける。

八月の母
早見 和真 (著)

著者究極の代表作、誕生。 連綿と続く、女たちの“鎖”の物語。

『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真

長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。神が人を嘲笑い続けてきたのか。人が神を嘲笑い続けてきたのか。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が深く確かに蠢いた。――池松壮亮(俳優)

容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。――石井裕也(映画監督)

私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。――長濱ねる(タレント)

ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。 ――北上次郎氏(書評家)(「カドブン」書評より抜粋)

彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた。

愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。

 
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山田風太郎賞 | KADOKAWA

 


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