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辻堂ゆめさん「原点回帰にして、かつてない挑戦作」――『君といた日の続き』が10月刊行へ

辻堂ゆめさん著『君のいた日の続き』

辻堂ゆめさん著『君のいた日の続き』

東京大学法学部在学中の2014年に『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、2015年に『いなくなった私へ』で小説家デビューした、いま注目の作家・辻堂ゆめさんの新刊『君のいた日の続き』が10月19日に新潮社より刊行されます。

 

子供を喪った悲しみ、そして共に生きる悦びに対峙した時空を超える最新ミステリー長篇

「全ての伏線が回収され、現代と過去が繋がる最終章に涙が止まりません。」
(担当編集)

 
9月4日に放映された「ボクらの時代」(フジテレビ系列)に東大同窓生の新川帆立さん、結城真一郎さんと一緒に出演し、学生時代にデビューを果たした辻堂さんから何度も「辻堂ショック」を与えられたと同世代のトップランナーに語られるほどの類い希な才能を持ち、常に時代をリードしてきた辻堂さん。

しかも本作はデビューわずか7年目にして、記念すべき20作目。注目を集める最旬作家の心揺さぶられる最新作にして、新たな代表作となる作品です。

 
【本書のあらすじ】

僕の名は友永譲、47歳。娘の美玖を病気で亡くし、妻とも離婚してしまった。奇しくも世の中はコロナ禍で、仕事もリモートワークになり、自宅に引きこもるばかりのある日、アパートの前でずぶ濡れの小学生の女の子を見つけた。しかもちぃ子と名乗るその少女は1980年代からタイムスリップしたようなのだ。

ちぃ子は僕と住むと言い張るが、そもそもタイムスリップなんて信じられなかったが、僕たちは二人で生活することにした。ちぃ子は元の時代に戻れるのか、僕に関係する人なのか、そもそもなぜタイムスリップしたのか……。

三十年前の少女連続誘拐事件も絡んだ時空を超えたミステリーにして、親子、そして夫婦の愛を問う、感涙必至の長編大作。

 

著者コメント

 
◆原点回帰にして挑戦作。

本作の前に執筆して大藪賞を受賞した『トリカゴ』は、本格的なミステリー。辻堂さんご自身、そういう小説もお好きとのことですが、それとは違う読み心地の小説をこうと決意をして本作の執筆に臨まれたそうです。

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辻堂さん:デビュー作『いなくなった私へ』のような非現実的な設定の小説をまた書きたいと思っていたので、『君といた日の続き』は、久しぶりに原点回帰した小説で、実は挑戦作でもあります。疲れている時に読んで安心できるような心地いい時間が流れている小説、何気ないシーンでふふっと笑えるような作品を書きたくて。初めてそういうことを意識しながら執筆しました。なので、ちぃ子が2020年の日本の文化や出来事に驚いて様々な反応をする、その感情を描くことは私にとってチャレンジングなことで、とても丁寧に大事に書きました。
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◆タイトルに込められた想い。コロナ禍が始まってから一続きになってしまった季節感。

過去からタイムスリップしてしまった無邪気な子供に現代はどう映るのか、現代に生きている男性はその子を見て何をどう感じるのか、過去と現在を対比させながら、変わったもの変わらないものを書きたいと思ったそうです。ただ、当初は戦時中からタイムスリップしてくる設定にするつもりが1980年代に変えた理由は、コロナ禍にあったそうです。

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辻堂さん:この数年を思い返した時、コロナ禍が始まった2020年以前と以後では、生活様式を始め様々な変化がありましたよね。ならば、戦時中まで遡らなくても、むしろ1980年代頃の、最近のようでいて最近ではないから詳細を覚えていない、けれども最近と思っている大人が多いであろう時代を舞台にした方がより身近に感じてもらえるかなと思い、1980年代からタイムスリップしてくる設定に変えたんです。
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◆停滞してしまったこの時代を生きる人たちへのメッセージ。

大きなイベントもなかなか開催できない、旅行にも行けない……。コロナ禍以降の数年、時代が停滞しているように辻堂さんは感じているそうです。そんな辻堂さんから読者の皆さんへのメッセージです。

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辻堂さん:コロナ禍以降、生活に区切りがなくなり、同じ年がいつまでも続いているような気がしてなりません。変化のない毎日に飽きている方も、刺激が欲しい人たちもたくさんいるはずで、私も含めたそういう人たちに、本作を読んで非日常感を感じていただけたらと、そして何か変化が訪れたのなら、それ以上にうれしいことはありません。どうかよろしくお願いいたします。
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◆会社員、作家、学生と三足の草鞋を履いていた時より、子育てと作家を両立する方が楽だと語る、卓越した集中力とバイタリティを兼ね備えた令和の才媛。

在学中に作家デビューし、就職して三年目にはかねてからの夢でもあった小学校の教員免許を取得するために通信制大学の教職課程に編入したという辻堂さん。子育てという重責をこなしながらの執筆活動を、むしろ楽しんでいるようにも感じるそのバイタリティと能力は、驚異的とさえ感じます。

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辻堂さん:今は子供たちを週三日保育園に預けているので、その日の日中は執筆に集中しています。子供が寝てから続きを書く日もありますが、執筆時間を確保できているので、会社員との兼業作家時代よりはその点でありがたいですね。子育てももちろん責任重大ですが、会社員は期日に追われますし、上司の命令に左右されるので、平日に時間を確保するのが難しくて。けれども、土日はなるべく余暇にあてないと仕事とのメリハリがきかなくなってしまうので、とにかく平日の夜に書いていました。その頃に比べたら、今の方が楽です(笑)。
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著者プロフィール

著者の辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)さんは、1992年生まれ、神奈川県藤沢市辻堂出身。東京大学法学部卒業。2014年「夢のトビラは泉の中に」が第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞に選ばれ、翌年同作を『いなくなった私へ』と改題しデビュー。

2021年『十の輪をくぐる』で第42回吉川英治文学新人賞候補となる。2022年1月『トリカゴ』で第24回大藪春彦賞を受賞

著書に『卒業タイムリミット』『あなたのいない記憶』『悪女の品格』『あの日の交換日記』『僕と彼女の左手』『二重らせんのスイッチ』など。

 

君といた日の続き
辻堂 ゆめ (著)

娘を亡くし妻と離婚した僕に、未来を生きる資格があるのだろうか。終わりがあると知りながら過ごす、僕と君のひと夏。

コロナ禍のリモートワークを言い訳に自宅に引きこもるばかりのある日、僕はずぶ濡れの女の子を拾った。
1980年代からタイムスリップしてきたらしい彼女は僕の大切な人の命を奪った連続少女誘拐事件に関係しているのか……。
その時の僕は知るよしもなかった、すべての過去の意味を。
その答えは、今の僕が持っていたんだ。
心揺さぶる、著者の新たな代表作、遂に誕生!

 


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