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生誕120周年記念!城昌幸の掌篇小説を全二巻に集成『みすてりい』『のすたるじあ』が刊行

城昌幸『みすてりい】(創元推理文庫)

城昌幸『みすてりい】(創元推理文庫)

城昌幸『のすたるじあ』(創元推理文庫)

城昌幸『のすたるじあ』(創元推理文庫)

東京創元社は、江戸川乱歩をして「日本探偵小説壇の最も特異な存在」と言わしめた作家・城昌幸の掌篇傑作選全二巻(『みすてりい』『のすたるじあ』)を創元推理文庫より刊行しました。

 

詩人にして探偵作家、そしてショートショートの先駆者でもある作家・城昌幸の掌篇を全二巻に集成

城昌幸は詩人として日夏耿之介と西條八十の門を潜り、城左門名義で詩を発表しながら、探偵作家として雑誌〈新青年〉を中心に掌篇小説を発表しました。また、代表作でもある時代小説の〈若さま侍捕物手帖〉シリーズは「五大捕物帳」のひとつに数えられるほどの人気を博し、戦後は雑誌〈宝石〉の創刊に携わるなど、戦後探偵小説を支えた出版人でもあります。

 
高踏詩人、人気時代作家、出版人――探偵作家でありながら様々な顔をもち、類稀なる才人である城昌幸の掌篇小説は、乱歩も「怪奇と幻想の文学のみによって、われわれの仲間入りをしている」と書いているように、探偵小説が醸成する犯罪幻想と都市生活の詩情、どこか人生の悲喜こもごもを思わせる結末の余韻が読後も後を引きます。その作風をもって乱歩から「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と評されました。

 
また、その掌篇の完成度の高さや多彩さからショートショートの先駆者のひとりにも数えられており、「ショートショートの神様」ともよばれた星新一さんも若かりし頃から愛読していたことで知られています。

 
この度、城昌幸の生誕120周年を記念して、生前刊行された選集『みすてりい』『のすたるじあ』が増補のうえ、新編集で刊行されました。

 
『みすてりい』は、同題の自選集を江戸川乱歩の跋文も含めて完全収録のうえ、記念すべき探偵小説第一作「脱走人に絡る話」と続篇「仮面舞踏会」、城左門名義の散文詩的作品などを増補。また、巻末には『モダニズム・ミステリの時代』など戦前・戦後の探偵小説研究でも著名な評論家・長山靖生さんが解説を寄稿しています。

 
一方『のすたるじあ』は、著者の逝去直前に刊行された同題の選集を星新一さんの解説も含めて完全収録のうえ、書籍初収録となる掌篇を多数増補。また、巻末には『方舟』を始めとする話題作を放ち現代日本ミステリで注目を集める作家・夕木春央さんが解説を寄稿しています。

謎と郷愁の世界に誘う珠玉の掌篇を、どうぞお楽しみください。

 

『みすてりい』『のすたるじあ』あらすじ

 
◆『みすてりい』

江戸川乱歩が「人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人」と評した、詩人にして探偵作家・城昌幸の掌篇傑作選全二巻。本巻では、たった四頁に人生の悲哀が淡彩画の筆致で浮かぶ「ママゴト」、 自殺した男の残した企みが読者にも忘れ難いイメージを残す「スタイリスト」など、自選集『みすてりい』全篇に、探偵小説第一作「脱走人に絡る話」や城左門名義の散文詩的作品などを増補。

 
〔目次〕
Ⅰ みすてりい
艶隠者
その夜
ママゴト
古い長持
根の無い話
波の音
猟銃
その家
道化役
スタイリスト
幻想唐艸
絶壁
花結び
猟奇商人
白い糸杉
殺人婬楽
その暴風雨
怪奇製造人
都会の神秘
夜の街
死人の手紙
模型
老衰
人花
不思議
ヂャマイカ氏の実験
不可知論
中有の世界
跋 江戸川乱歩
あとがき

II 補遺・その他の短篇
根の無い話 B・C
幻想唐艸 第三話 思い出
脱走人に絡る話
仮面舞踏会

五月闇
たぶれっと

跋=江戸川乱歩/解説=長山靖生/初出一覧・編集後記=藤原編集室

 
◆『のすたるじあ』

星新一さんが「異様なミステリアスな宇宙へとさそいこまれてしまう」と讃した、詩人にして探偵作家・城昌幸の掌篇傑作選全二巻。本巻では、錬金術師の甦りの秘薬をめぐる奇譚「復活の霊液」、 見知らぬ港町で名も知れぬ誰かに成り代わって暮らす「郷愁」など、逝去直前の選集『のすたるじあ』全篇に、酒場の主人が語る数奇な運命譚「面白い話」など、書籍初収録を含む掌篇を多数増補。

 
〔目次〕
Ⅰ のすたるじあ
大いなる者の戯れ
ユラリゥム
ラビリンス
まぼろし
A Fable
光彩ある絶望
燭涙
エルドラドオ
美しい復讐
復活の霊液
斬るということ
蒸発
哀れ
郷愁

II その他の短篇
今様百物語
シャンプオオル氏事件の?末
東方見聞
神ぞ知食す
死人に口なし
吸血鬼
書狂
他の一人
面白い話
三行広告
間接殺人
うら表
憂愁の人
夢見る
怪談京土産
白夢
2 + 2 = 0
はかなさ

解説=星新一、夕木春央/初出一覧・編集後記=藤原編集室

 

著者プロフィール

城昌幸(じょう・まさゆき)は、1904年生まれ、東京府出身。1923年、詩人として日夏耿之介と西條八十の門を潜る。石川道雄、矢野目源一らと興した同人雑誌〈東邦芸術〉に城左門名義で詩を発表、1930年に第一詩集『近世無頼』を刊行する。1925年に城昌幸名義で「秘密結社脱走人に絡る話」を〈探偵文芸〉に寄稿、探偵作家として〈新青年〉を中心に怪奇・幻想の味わいをもつ掌篇小説を発表する。さらに1939年に始まった〈若さま侍捕物手帖〉シリーズは「五大捕物帳」のひとつに数えられるほどの人気を博す。ショートショートの先駆者としても名高く、戦後は〈宝石〉の創刊に携わり、のちに宝石社の社長となる。1976年没。

 

みすてりい (創元推理文庫)
城 昌幸 (著)

装画:柳智之
装幀:山田英春

のすたるじあ (創元推理文庫)
城 昌幸 (著)

装画:柳智之
装幀:山田英春

 
【関連】
試し読み|みすてりい
試し読み|のすたるじあ

 


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