台湾高校生愛読書ベスト10ランクイン!李屏瑤さん『向日性植物』が刊行 翻訳は芥川賞作家・李琴峰さん

李屏瑤さん著『向日性植物』(訳:李琴峰さん)
台湾で2016年に刊行されるとたちまち話題となり、現在9刷のベストセラーとなった李屏瑤さんの小説『向日性植物』が光文社より刊行されました。
本書は、セクシュアル・マイノリティの女子高生たちの苦悩と青春の日々が瑞々しく描かれた作品です。2018年高校生愛読書ベスト10(TSMC文学賞委員会調査/https://www.facebook.com/teenagerwrite/photos/a.1616183995281677/2218349645065106)で、太宰治や村上春樹さん、東野圭吾さんの作品と並んでランクインするほど多くの読者の心を掴みました。
この作品を、台湾出身の作家で、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川龍之介賞を受賞した李琴峰さんが薫り高く翻訳しています。
新時代のセクシュアル・マイノリティを描く
著者の李屏瑤さんは、1984年台湾生まれの小説家。本作品は2011年~15年に台湾のレズビアン掲示板で連載形式で発表され、連載時から大好評。2016年に台湾で書籍『向光植物』として刊行され作家デビューしました。
台湾のLGBT運動などにも積極的に関わっているオープンリー・レズビアンの著者は、「私はレズビアンが自殺しない物語が書きたかった」と語っています。本作は、これまでの台湾レズビアン文学に敬意を払いつつも、根強くあった自死のイメージ、悲劇性からの脱却に成功した新時代のレズビアン文学として受け入れられました。当事者が描く繊細かつ誠実な等身大の物語は、多くの人の心を打ちました。
<本書のあらすじ>
台北の女子高に入学した「私」は、先輩の小游と惹かれ合い、戸惑いながらも付き合うことに。しかし、小游には親の無理解で入院させられていた元恋人・小莫がいた。
台湾大学に合格した小游と小莫は、大学近くのアパートで同居を始める。一年後、「私」も台湾大学に合格するが、二人とは距離を取ってしまう。
大学を卒業した小游と小莫は渡米し大学院へ。翌年卒業した「私」は台北で会社員になる。時は流れ数年後、小莫から国際電話で「心臓の手術をするため帰国する」と連絡があり・・・・・・
今を生きる少女たちの揺れ動く青春の日々を、繊細かつ誠実に描き出した傑作。
著者プロフィール
■李屏瑤(り・へいよう/リー・ピンヤオ)さん
1984年生まれ、台湾出身。台湾大学中国文学科卒業。台北藝術大學戯曲藝術創作研究科修了。小説家、劇作家、ライター。
2016年『向日性植物』で作家デビュー。台湾で9刷りとなるベストセラーに。そのほかの代表作に戯作《無眠》(仮訳:眠れない夜)、エッセイ集《台北家族、違章女生》(仮訳:台北家族・アウトロー女子)などがある。
■訳者:李琴峰(り・ことみ)さん
1989年生まれ、台湾出身。2013年来日。2015年、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。作家・翻訳家。
2017年『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞。2021年『ポラリスが降り注ぐ夜』で第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川賞を受賞。他の著書に『星月夜』『生を祝う』などがある。
李琴峰さんデビュー作『独り舞』文庫版も同時刊行!
デビュー作の『独り舞』は、『向日性植物』と対をなすような作品でもあり、両作ともに80年代生まれの台湾人レズビアンが主人公で、どちらの主人公も女子高を卒業した後、台湾大学に入学します。両作品をあわせて読むことで、若い世代のセクシュアル・マイノリティの実像がより鮮明に伝わります。
向日性植物 李 屏瑤 (著), 李 琴峰 (翻訳) |
独り舞 (光文社文庫) 李 琴峰 (著) 小学生の頃、想いを寄せていた同級生が亡くなった。迎梅は死への思いに囚われながら、レズビアンである疎外感に苛まれて生きていた。高校時代の淡い恋、そして癒えない傷。日本に渡り、名を変え、異なる言語を使う彼女を苦しめ続けるものとは何なのか――。 第60回群像新人文学賞優秀作にして、芥川龍之介賞受賞作家・李琴峰のデビュー作! |
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