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執筆14年!佐藤友哉さん『青春とシリアルキラー』が書籍化

佐藤友哉さん著『青春とシリアルキラー』

佐藤友哉さん著『青春とシリアルキラー』

ホーム社は、佐藤友哉さん著『青春とシリアルキラー』を集英社より刊行しました。

 

佐藤友哉さんによる青春文学の集大成『青春とシリアルキラー』が発売

〈この本は、なんだかわからないうちに人生をしくじった僕と、その周辺について書いたものである。〉

かつて思春期の自意識を描いてきた小説家も、既に三十代の終わりに差し掛かっていた。妻子と共に暮らす現在の幸福とかつてシリアルキラーに魅了された己自身との葛藤の中で、新たなるステージが幕を開ける――。男たちの救済を描く佐藤友哉さんのWeb好評連載を書籍化。

 
◆滝本竜彦さん推薦!
「中年男性は生きにくい。
結婚しても結婚しなくても地獄だ。
どうすれば我々は救われるのか?
そんな疑問への答えが描かれたメタフィクション。
面白い!」

 
《本文より》

三十八歳だというのに暮らしが崩壊寸前で、キッチンに山積みになった皿を洗う前にビールを飲まないと気合いが入らず、 夜遅くに帰ってきた妻と顔を合わせるとき、変に緊張してしまうような僕は、まあざっくり云って人生がしんどい。
————–
ナイフはすっかり研がれている。僕はそんなナイフを見て、自分と他人のどちらに突き刺すべきかを考える。答えはすでに出ている。臆病者の僕はそもそもナイフなんて使わないし、他人を殺すよりも自分を殺すほうがいいし、自殺するときは首吊りってむかしからきめているから。
————–
犯人の男は五十一歳で、社会との接点がなかったという。
僕は思わず、ほんの一瞬だけど、共感しそうになった。
つまりその男は、五十一歳まで生きたあげく、まともな人生ではなかったことにがまんならなくなり、それで他者と自分を殺すしか道がなくなってしまったのだろう。三十八歳になってもぼんやりしている僕にしてみれば、よくわかる話だった。でも同時に、なにやってんだよと思った。僕は劇場型の少年犯罪には甘いところがあるけれど、劇場型の中年犯罪は大きらいだ。だいたい、子供を何人殺したところで欲求不満が解消されるはずもないだろ。
—————
Q. 疲れた人生を救うものはなにか? 殺人と自殺以外で答えなさい。
A. 失踪と不倫!

 
★佐藤友哉さん『青春とシリアルキラー』刊行記念インタビュー「一人の小説家が十四年をかけた作品」:https://hb.homesha.co.jp/n/nc65fd4f2ed81

 

本書の目次

0 はじめに
1 自殺のメインターゲット
2 太宰治が死んだときと同じ年齢になっちゃった問題
3 阿南さんのこと
4 あげくの果てのシリアルキラー
5 人を傷つけない文章
6 虚構に生きる人間を現実的に描く
7 連載スタート
8 死体さがしにおける「家庭の幸福」
9 家庭内における「家庭の幸福」
10 大量殺人(1)
11『神曲』
12 結局マイノリティ、そして
13 あげくの果てのロックンロールバンド(1)
14 大量殺人(2)
15 青春とシリアルキラー
16 どうしてだれも僕の心配をしなかったんだ!
17『神曲』と『孤独と好色』のあいだで
18 ジョーカーでスランプを解決するようになったらもうおしまい
19 阿南さんによるシリアルキラー講座地獄篇
20 セロトニンの(ごくわずかな、しかしすばらしい)効能
21 あげくの果てのロックンロールバンド(2)
22 シリアルキラーとしての新型ウイルス
23 びっくり! 僕が世界の最先端に?
24 学校(日常)と拳銃(非日常)
25 ライブ
26 ウイルスで幸せになってもいいんだよ
27 そしてとうとうライブ当日
28 ちょっとまった!
29 擬人化された妻にかんする長い話
30 プランB
31 日やそのほかのすべての星を動かす愛に(1)
32 日やそのほかのすべての星を動かす愛に(2)
33 ☆

ほかに「ドグマ34」(『すばる』2015年4月号掲載)を収録。

 

著者プロフィール

著者の佐藤友哉(さとう・ゆうや)さんは、1980年生まれ。北海道出身。2001年『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』でメフィスト賞を受賞。2007年『1000の小説とバックべアード』で三島由紀夫賞を最年少で受賞。

他の著書に『クリスマス・テロル invisible×inventor』『世界の終わりの終わり』『デンデラ』『ナイン・ストーリーズ』『転生! 太宰治 転生して、すみません』等がある。

★Twitter:https://twitter.com/yuyatan_sato

 

青春とシリアルキラー
佐藤 友哉 (著)

 
【関連】
佐藤友哉『青春とシリアルキラー』刊行記念インタビュー「一人の小説家が十四年をかけた作品」|HB ホーム社文芸図書WEBサイト

 


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