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『暁の宇品』堀川恵子さん「第48回大佛次郎賞」受賞記念講演会「リーダーはなぜ罷免されたのか~”浜っ子中将”田尻昌次の足跡」開催

堀川恵子さん著『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(講談社)

堀川恵子さん著『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(講談社)

大佛次郎記念館と朝日新聞社は、第48回大佛次郎賞を『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』(講談社)で受賞した堀川恵子さんの受賞記念講演会「リーダーはなぜ罷免されたのか~”浜っ子中将”田尻昌次の足跡」を6月4日に横浜市南公会堂で開催します。

 

第48回大佛次郎賞受賞作『暁の宇品』の著者・堀川恵子さんが田尻昌次を語る

大佛次郎賞は、小説、戯曲、評論、ノンフィクション、歴史記述、ルポルタージュなど、形式のいかんを問わず、優れた散文作品に贈られる賞です。第48回大佛次郎賞は、選考委員全員一致で堀川恵子さんの『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』に決まりました。

 
すべての著作が面白く希代の書き手と評されるノンフィクション作家・堀川惠子さん。
広島に生まれ育ってた堀川さんにとって、ヒロシマ/原爆は、ライフワークであり、この作品は、まさにそれらの集大成といえます。

 
昭和12年~15年の間、宇品の陸軍船舶司令部で司令官を務めた田尻昌次は、この作品を貫く主人公と言える人物。作品には、ご遺族の協力により未公開だった田尻の自叙伝を軸に、田尻の生き様が見事に描かれています。

今回の講演で語られるであろう、戦時下の陸軍にあって苦悩しつつ自らの信念を貫いた田尻の姿には、誰しも心ゆすぶられるに違いありません。

 
【堀川惠子さんからのメッセージ】

陸軍中将の田尻昌次は、横浜育ちの元神中生。自由な気風に育まれ、一風変わった軍人になった。
陸軍最大の輸送基地・広島の宇品で、兵士や物資の輸送を担う船舶司令部を率い、「船舶の神」と呼ばれた。田尻は世界の最先端をいく緻密な海洋輸送体制を築きながらも、太平洋戦争開戦直前に陸軍を罷免される。その後、日本軍の兵站は壊滅、多くの兵隊を餓死させ敗戦を迎えた。組織のリーダーはなぜ罷免されたのか、運命の昭和15年に焦点を当てて考察する。

 

堀川惠子さん プロフィール

(c)MAL

(c)MAL

堀川恵子(ほりかわ・けいこ)さんは、1969年生まれ。広島県出身。広島大学総合科学部卒業。広島テレビ放送での報道記者、ディレクター、フリーのドキュメンタリーディレクターを経てノンフィクション作家に。『チンチン電車と女学生』(小笠原信之さんと共著)を皮切りに、ノンフィクション作品を次々と発表。

『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』で第32回講談社ノンフィクション賞、『裁かれた命―死刑囚から届いた手紙』で第10回新潮ドキュメント賞、『永山則夫―封印された鑑定記録』(岩波書店)で第4回いける本大賞、『教誨師』で第1回城山三郎賞、『原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年』で第47回大宅壮一ノンフィクション賞と第15回早稲田ジャーナリズム大賞、『戦禍に生きた演劇人たち―演出家・八田元夫と「桜隊」の悲劇』で第23回AICT演劇評論賞、『狼の義―新 犬養木堂伝』 (林新さんと共著)で第23回司馬遼太郎賞を受賞。

 

大佛次郎賞受賞記念講演会 概要

■開催日時:2022年6月4日(土)14:00開演(13:30開場/15:40終了予定)

■会場:横浜市南公会堂(横浜市南区浦舟町2丁目33番地)

■チケット料金:800円(全席自由)
※ チケット提示で、大佛次郎記念館でテーマ展示「文士は必ずカメラを持て」(~4/17)「実朝と桜子」(4/23~8/21)を1回観覧できます。
※未就学の方の入場はご遠慮ください。

■チケット販売
◎チケットぴあ(Pコード:647769):3/17(木)10:00~6/3(金)23:59
◎大佛次郎記念館窓口:3/17(木)10:00~6/3(金)16:00
◎吉野町市民プラザ窓口:3/17(木)10:00~6/3(金)21:00

■当日券:残席があった場合のみ、講演会場にて12:30より販売

■主催:大佛次郎記念館・朝日新聞社
■後援・協力:横浜市南区(後援)、横浜市吉野町市民プラザ(協力)

★詳細:http://osaragi.yafjp.org/info/6713/

 

暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ
堀川 惠子 (著)

広島の軍港・宇品に置かれた、陸軍船舶司令部。
船員や工員、軍属を含め30万人に及ぶ巨大な部隊で、1000隻以上の大型輸送船を有し、兵隊を戦地へ運ぶだけでなく、補給と兵站を一手に担い、「暁部隊」の名前で親しまれた。
宇品港を多数の船舶が埋め尽くしただけでなく、司令部の周辺には兵器を生産する工場や倉庫が林立し、鉄道の線路が引かれて日々物資が行きかった。いわば、日本軍の心臓部だったのである。
日清戦争時、陸軍運輸通信部として小所帯で発足した組織は、戦線の拡大に伴い膨張に膨張を重ね、「船舶の神」と言われた名司令官によってさらに強化された。
とくに昭和7年の第一次上海事変では鮮やかな上陸作戦を成功させ、「近代上陸戦の嚆矢」として世界的に注目された。
しかし太平洋戦争開戦の1年半前、宇品を率いた「船舶の神」は志なかばで退役を余儀なくされる。

昭和16年、日本軍の真珠湾攻撃によって始まった太平洋戦争は、広大な太平洋から南アジアまでを戦域とする「補給の戦争」となった。
膨大な量の船舶を建造し、大量の兵士や物資を続々と戦線に送り込んだアメリカ軍に対し、日本の参謀本部では輸送や兵站を一段下に見る風潮があった。
その象徴となったのが、ソロモン諸島・ガダルカナルの戦いである。
アメリカ軍は大量の兵員、物資を島に送り込む一方、ガダルカナルに向かう日本の輸送船に狙いを定め、的確に沈めた。
対する日本軍は、兵器はおろか満足に糧秣さえ届けることができず、取り残された兵士は極端な餓えに苦しみ、ガダルカナルは餓える島=「餓島」となった。

そして、昭和20年8月6日。
悲劇に見舞われた広島の街で、いちはやく罹災者救助に奔走したのは、補給を任務とする宇品の暁部隊だった――。
軍都・広島の軍港・宇品の50年を、3人の司令官の生きざまを軸に描き出す、圧巻のスケールと人間ドラマ。
多数の名作ノンフィクションを発表してきた著者渾身の新たなる傑作。

 
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