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【第23回司馬遼太郎賞】林新さん・堀川恵子さん『狼の義 新 犬養木堂伝』が受賞

第23回司馬遼太郎賞が決定!

第23回司馬遼太郎賞が決定!

司馬遼太郎記念財団は12月4日、第23回司馬遼太郎賞の受賞作を発表しました。

 

第23回司馬遼太郎賞が決定!

第23回司馬遼太郎賞の受賞作が次の通り決定しました。

選考委員は、安部龍太郎さん、井上章一さん、後藤正治さん、辻原登さん、柳田邦男さん。

 
<第23回司馬遼太郎賞 受賞作品>

林新(はやし・あらた)さん・堀川惠子(ほりかわ・けいこ)さん
『狼の義 新 犬養木堂伝』(KADOKAWA)

 
今回の受賞作『狼の義 新 犬養木堂伝』は、2017年に逝去した林新さんが厳格なノンフィクションでなく、敢えて小説的な形式で構想し着手したものを、林さんの没後、妻である堀川惠子さんがその意志を受け継ぎ、書き上げたものです。

林新さんは、1957年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NHKに入局し、エグゼクティブ・プロデューサーとしてNHKスペンシャル、大型企画を担当。1993年、NHKスペシャル『ドキュメント太平洋戦争 第4集 責任なき戦場~ビルマ・インパール~』で文化庁芸術作品賞、1998年、NHKスペシャル「家族の肖像」シリーズでギャラクシー賞大賞、2013年、BSドキュメンタリーWAVE『原子力”バックエンド”最前線~イギリスから福島へ~』で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム奨励賞(公共福祉部門)を受賞。2016年にNHKを退職。著書に『よみがえる熱球 プロ野球70年』(集英社)、『日本人と象徴天皇』(共著/新潮社)。2017年没。

堀川惠子さんは、1969年生まれ。広島県出身。広島大学総合科学部卒業。広島テレビ放送での報道記者、ディレクター、フリーのドキュメンタリーディレクターを経てノンフィクション作家に。2010年『死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの』で講談社ノンフィクション賞、2011年『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』で新潮ドキュメント賞、2014年『教誨師』で城山三郎賞、2015年『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、2016年、同作で大宅壮一ノンフィクション賞、2018年『戦禍に生きた演劇人たち』でAICT演劇評論賞を受賞。林さんとの共同制作に『ヒロシマ・戦禍の恋文』『新藤兼人95歳 人生との格闘果てず』『死刑囚 永山則夫~獄中28年間の対話~』等(いずれもNHK)。

 
贈賞式は2020年2月14日によみうりホール(東京都千代田区有楽町)で開催される「菜の花忌シンポジウム」にて行われます。

贈賞理由など詳細は、http://www.shibazaidan.or.jp/shibasho/ をご覧ください。

 

堀川惠子さん 受賞コメント

司馬遼太郎氏の名を冠した賞をいただき、とても光栄です。

今作は夫が命をかけた仕事であり、私がこれまでに手掛けてきた作品の中でも、最も必死に取り組んだものです。出版後も、夫の思いに本当に応えられたのかと、不安の念に駆られる時がありました。そのため、受賞によって及第点をいただけた思いで、嬉しい限りです。

現在の政治にも様々な問題があります。日本の「これまで」と「いま」、そして「これから」を考える上で、今回の受賞が多くの方々に『狼の義』を参照していただける契機となれば、これに優る喜びはありません。
この作品に光を当てていただいたことを、たいへん感謝しております。

 

司馬遼太郎賞について

司馬遼太郎賞は、作家・司馬遼太郎さんの活動を記念して、毎年1回、「文芸、学芸、ジャーナリズムの広い分野のなかから、創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させる作品」を対象に選考し、顕彰します。司馬遼太郎記念財団が主催。

選考は、まず、全国の報道機関関係者・作家・学者・文化人にアンケートを実施し、候補作品を推薦してもらいます。次に、司馬遼太郎記念財団を構成するマスコミ11社の候補選定委員会がアンケート結果から候補を選定し、最終的に、選定作品の中から選考委員の合議によって決定されます。

受賞者には正賞として懐中時計が、副賞として賞金100万円が贈られます。なお、贈賞式は、司馬遼太郎さんの命日である2月12日(菜の花忌)の前後に開催される「菜の花忌シンポジウム」の会場で行われます。

 

狼の義 新 犬養木堂伝
林 新 (著), 堀川 惠子 (著)

この男を失い、日本は焦土と化した。

最期の言葉は「話せばわかる」「問答無用」ではなかった!?
5・15事件の実態はじめ、驚愕の事実に基づく新評伝。
政界を駆け抜けた孤狼の生涯を圧倒的筆力で描く!!

「極右と極左は毛髪の差」(犬養毅)
日本に芽吹いた政党政治を守らんと、強権的な藩閥政治に抗し、腐敗した利権政治を指弾し、増大する軍部と対峙し続け、5・15事件で凶弾に倒れた男・犬養木堂。
文字通り立憲政治に命を賭けた男を失い、政党政治は滅び、この国は焦土と果てた……。
戦前は「犬養の懐刀」、戦後は「吉田茂の指南役」として知られた古島一雄をもう一人の主人公とし、政界の荒野を駆け抜けた孤狼の生涯を圧倒的な筆力で描く。

「侵略主義というようなことは、よほど今では遅ればせのことである。どこまでも、私は平和ということをもって進んでいきたい」
(1932年5月1日、犬養首相の日本放送協会ラジオ演説より)
真の保守とは、リベラルとは!? 明治、大正、昭和の課題を、果たして私たちは乗り越えられたのか?

※本書は2017年に逝去された林新氏が厳格なノンフィクションでなく、敢えて小説的な形式で構想し、着手したものを、堀川惠子氏がその意志を受け継ぎ、書き上げたものです。

 
【関連】
司馬遼太郎賞|司馬遼太郎記念館

 


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