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【第37回詩歌文学館賞】田中庸介さん『ぴんくの砂袋』、志垣澄幸さん『鳥語降る』、遠山陽子さん『遠山陽子俳句集成』が受賞

「第37回詩歌文学館賞」各部門の受賞作が決定!

「第37回詩歌文学館賞」各部門の受賞作が決定!

日本現代詩歌文学館は3月9日、第37回詩歌文学館賞の受賞作を発表しました。

 

「第37回詩歌文学館賞」各部門の受賞作が決定!

第37回詩歌文学館賞の受賞作が次の通り決定しました。

 
■詩部門
田中庸介(たなか・ようすけ)さん
『ぴんくの砂袋』(思潮社)

■短歌部門
志垣澄幸(しがき・すみゆき)さん
『鳥語降る』(本阿弥書店)

■俳句部門
遠山陽子(とおやま・ようこ)さん
『遠山陽子俳句集成』(素粒社) ※未刊句集「輪舞曲」部分が対象

 
「詩部門」を受賞した田中庸介さんは、1969年生まれ。東京都出身。詩人・細胞生物学者。1988年度「ユリイカの新人」。詩誌「妃」を主宰。

「短歌部門」を受賞した志垣澄幸さんは、1934年、台北市に生まれ、終戦後に引き揚げてそのまま宮崎に居住。宮崎大学学芸学部を卒業後、教職の道に就き、公立中高校、私立高校などに勤務。19683年に「原型」に入会し、斎藤史さんに師事。

「俳句部門」を受賞した遠山陽子さんは、1932年生まれ。東京都出身。「馬酔木」「鶴」「鷹」を経て三橋敏雄さんに師事。茨城文学賞、現代俳句協会賞、桂信子賞など受賞。

 
選考委員は、「詩」部門が伊藤比呂美さん、小池昌代さん、佐々木幹郎さん、「短歌」部門が加藤治郎さん、吉川宏志さん、米川千嘉子さん、「俳句」部門が西村和子さん、三村純也さん、渡辺誠一郎さん。

受賞者には、正賞として鬼剣舞手彫り面が、副賞として賞金100万円が贈られます。贈賞式は、5月28日(土)15時より日本現代詩歌文学館(岩手県北上市)にて開催。

 

詩歌文学館賞について

詩歌文学館賞は、現代詩歌文学の振興に寄与すべく設立された「日本現代詩歌文学館」を記念して、優れた詩歌作品集を各ジャンルから選んで顕彰するもので、井上靖初代名誉館長の提唱によって設けられた文学賞。1年間に刊行された詩、短歌、俳句作品集の中から、それぞれ最も優れたものに贈られます。

 
選考は、同館の振興会役員・評議員をはじめとする主要詩歌人、文芸誌編集者など約1,000名からのアンケートを参考に、各分野3名の選考委員が行います。選考結果は集英社が発行する文芸誌『すばる』6月号に掲載されます。

 

ぴんくの砂袋
田中 庸介 (著)

「ぼくすなわちお父さんすなわちパパすなわち彼。/彼すなわちパパすなわちお父さんすなわちぼく」(「ぴんくの砂袋」)。都市のなかの自然、人体のなかの自然―ー。いかにして迫りくるこの危機と向きあうか。30余年の詩を生きるように編む、入魂の新詩集! 装幀=祖父江慎+根本匠+志間かれん、装画=中上あゆみ

鳥語降る
志垣澄幸 (著)

移ろいゆく時代と、社会と、人生とそして自然と真摯に向き合う、透徹の第14歌集。

遠山陽子俳句集成
遠山陽子 (著)

既刊句集『弦楽』『黒鍵』『連音』『高きに登る』『弦響』にくわえ、著者第6句集にあたる新作『輪舞曲(ろんど)』を集成。
巻末には、永島靖子・福田若之による「解説」および「自筆年譜」「解題」「初句索引」を付す。

句業60年余、『評伝 三橋敏雄―したたかなダンディズム―』の著者による、ひたすらな俳句の響き。

父ほどの男に逢はず漆の実
白芥子をまはり躰が逢ひにゆく
橋を来る揚羽に双手ひろげたる
卯月浪この子を抱き飽きにけり
呼ぶ声を空は返さず花ぐもり
もう誰の墓でもよくて散る桜
嗅いでから抱く赤ん坊朝ぐもり
雨から雪へ老人ばかりのタンゴ
桃と桃かすかに触れてゐてこはい
謎のないわたしと老いた梟と
花ふぶき花ふぶき机上死こそあらめ
白蛾も来よわが九十の賑ひに

 
【関連】
第37回 詩歌文学館賞 決定 – 日本現代詩歌文学館

 


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