伊藤潤二さんが「アイズナー賞」最優秀アジア作品賞と最優秀ライター/アーティスト賞を同時受賞!
アメリカで開催された「第33回ウィル・アイズナー コミック・インダストリー・アワード」にて7月24日、「コミック界のアカデミー賞」と呼ばれ、過去一年間で優れた業績、活動を残した国内外のコミック作品とアーティストを表彰するアイズナー賞(The Will Eisner Comic Industry Award)の「最優秀アジア作品賞」(Best U.S. Edition of International Material-Asia)を伊藤潤二さん著『地獄星レミナ』の英語版が受賞しました。
さらに、伊藤潤二さんは「最優秀ライター/アーティスト賞」(Best Writer/Artist)も、『地獄星レミナ』および『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』の英語版で受賞しています。
ちなみに、昨年は最優秀アジア作品賞を松本大洋さんの『ルーヴルの猫』と白浜鴎さんの『とんがり帽子のアトリエ』、最優秀ユーモア賞をおおのこうすけさんの『極主夫道』が受賞、一昨年(2019年)は最優秀アジア作品賞を東村アキコさんの『東京タラレバ娘』、最優秀コミカライズ作品賞を伊藤潤二さんの「フランケンシュタイン」が受賞しています。
さらに過去には、手塚治虫さん、水木しげるさん、辰巳ヨシヒロさん、浦沢直樹さん、田亀源五郎さんらが受賞しています。
<参考> アイズナー賞受賞者(抜粋)
2021 Eisner Award Winners
Best U.S. Edition of International Material―Asia
Remina, by Junji Ito, translation by Jocelyne Allen (VIZ Media)
Best Writer/Artist
Junji Ito, Remina, Venus in the Blind Spot (VIZ Media)
伊藤潤二さん 受賞コメント
この度、英語版『地獄星レミナ』と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』に対し、アメリカのアイズナー賞を授かりまして、本当に夢のようです。応援してくださった読者の皆様、素晴らしい翻訳と装丁で出版してくださったアメリカVIZメディア様のお力添えに、心からの感謝を申し上げます。そしてなによりも、1998年に「ビッグコミックスピリッツ」で『うずまき』を連載して以来、お世話になっている小学館様のお力添えがなければ、今回の受賞はありませんでした。
今回アイズナー賞を受賞した『地獄星レミナ』は、『うずまき』から担当していただいていた中熊一郎氏のアイデアから始まった作品です。「次の連載は、星を食べる星の話なんてどうですか、伊藤さん!?」奇想天外なこの案にひるみつつも、自分なりの科学(似非科学)の知識を交えて描き上げ、そして、ボラーレの星野ゆきお氏による世紀末的なデザインで本にしていただきました。
『伊藤潤二短編集BEST OF BEST』は、小学館さんで執筆した読み切りを集めた作品集です。担当の加藤辰巳氏の指揮の下、ロケットボムの簑原圭介氏によるデザインで凝りに凝った豪華本にしていただいたもので、加藤氏と私にとっても、思い入れのある本となりました。
私もとても思い入れがあるこの2作品がアメリカで評価いただいた事を心の糧にして、これからも頑張りたいと思います。
繰り返しになりますが、日本版、英語版を作り上げるにあたってご尽力いただいた全ての関係者の皆様、そして支えてくださった読者の皆様に重ねてお礼申し上げます。この度は本当にありがとうございました。
2021年7月 伊藤潤二
伊藤潤二さん プロフィール
伊藤潤二(いとう・じゅんじ)さんは、1963年7月31日生まれ。岐阜県中津川市出身。ホラー漫画家。高校を卒業後、歯科技工士学校に進み歯科技工士となるが、1986年に朝日ソノラマの少女向けホラー雑誌『月刊ハロウィン』で新人漫画賞「楳図かずお賞」が創設をきっかけに、楳図さんに読んでもらいたい一念で投稿、「富江」で佳作入選した事をきっかけに漫画家デビュー。
歯科技工士として働きながら、同誌に作品を発表する生活が続きましたが、3年後、歯科技工士を辞め、漫画家業に専念。以後『富江』シリーズ、『双一』シリーズ、『道のない街』、『首吊り気球』、『死びとの恋わずらい』などを執筆。1998年から小学館『ビッグコミックスピリッツ』で『うずまき』の連載を始め、その後『ギョ』、『憂国のラスプーチン』(原作:佐藤優さん、脚本・長崎尚志さん)、『溶解教室』、『人間失格』(原作:太宰治)、『幻怪地帯』などの作品を発表し続けています。
2019年に英語版『伊藤潤二傑作集 10 フランケンシュタイン』が、アメリカのアイズナー賞最優秀コミカライズ作品賞(Best Adaptation from Another Medium)を受賞。
Remina (Junji Ito) 英語版 Junji Ito (著) Another of Junji Ito’s classics, the sci-fi masterwork Remina tells the chilling tale of a hell star. An unknown planet emerges from inside a wormhole, and its discoverer, Dr. Oguro, christens the body “Remina” after his own daughter. His finding is met with great fanfare, and Remina herself rises to fame. However, the object picks up speed as it moves along in its curious course, eliminating planets and stars one after another, until finally Earth itself faces extinction… Is the girl Remina the true cause of the catastrophe? A masterwork of horror from Junji Ito, unfolding on a universal scale. |
Venus in the Blind Spot (Junji Ito) 英語版 Junji Ito (著) A “best of” collection of creepy tales from Eisner award winner and legendary horror master Junji Ito. This striking collection presents the most remarkable short works of Junji Ito’s career, featuring an adaptation of Rampo Edogawa’s classic horror story “Human Chair” and fan favorite “The Enigma of Amigara Fault.” With a deluxe presentation?including special color pages, and showcasing illustrations from his acclaimed long-form manga No Longer Human?each chilling tale invites readers to revel in a world of terror. |
■原本
地獄星レミナ (ビッグコミックススペシャル) 伊藤潤二 (著) ▼第1話/おぞましき星▼第2話/美少女狩り▼第3話/疫病神▼第4話/舌の影▼第5話/舐める星▼最終話/果てしない真空▼読み切り/億万ぼっち●主な登場人物/麗美奈(大黒博士の一人娘。星の名に元になったことで一躍スターになるが…)、大黒博士(「ワームホール」から出現した未知の惑星を発見。その星の名を、娘にちなんでレミナと名付けた)●あらすじ/我々の宇宙と別の宇宙をつなぐ「ワームホール」から出現した未知の惑星。その発見者である大黒博士は、一人娘・麗美奈の名にちなんで「レミナ星」と名付けた。この異次元惑星の発見は絶賛され、麗美奈も芸能界デビューを果たすなど、一躍時の人となる。だが、レミナ星が惑星を次々と消滅させ、地球消滅の危機が伝えられると、群衆の態度は一変し、ついには大黒親子の命が狙われる事態に…(第1話)。●本巻の特徴/スピリッツ増刊「Casual」2004年9月16日号~2005年7月24日号に掲載された、伊藤潤二の新たなるホラー世界。ひきこもりの青年・道夫が遭遇した“集合遺体”事件を描いた作品「億万ぼっち」(スピリッツ本誌2004年2号掲載)も同時収録。●その他の登場人物/光村康実(芸能プロ「ベスタ・プロ」社員。麗美奈のマネジャー)、郷田直矢(麗美奈のファンクラブ会長)、峰石邦弘(麗美奈のスポンサー「峰石建設」社長の息子。麗美奈のファン) |
伊藤潤二短編集 BEST OF BEST (ビッグコミックススペシャル) 伊藤 潤二 (著) ホラーの名手・伊藤潤二氏、究極の短編集。 世界がこの怖くて可笑しい漫画に熱くなっている。 |
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