講談社が「創文社オンデマンド叢書」を創刊
講談社は、2020年6月に解散した創文社の刊行物を引継ぎ、オンデマンドで発売する「創文社オンデマンド叢書」を創刊しました。
「創文社オンデマンド叢書」創刊の経緯
2020年6月、創文社は約70年の歴史に幕を下ろしました。
1951年に創業された創文社は、トマス・アクィナス『神学大全』(全39冊)、『西谷啓治著作集』(全26巻)、『ハイデッガー全集』(全103巻〔刊行中〕東京大学出版会が継承)などを刊行し、哲学、キリスト教、法制史関連の書籍がたいへん充実していた版元として知られていました。他にも、歴史、経済、政治、文学、また資・史料集など広範多岐にわたるジャンルをカバーし、日本の学術界の発展に大きく貢献してきました。
2020年6月に解散するまでの約70年間の出版活動で、創文社が刊行した書籍は約1800点。
太平洋戦争の痛手から立ち上がり、あらためて日本の学問を構築するために、新しい知を貪欲に吸収し、日本ならではの新たな学問のあり方を模索し続けた熱い時代に寄り添ってきたのが、創文社にほかなりません。大いなる知のレガシーが、創文社の書物には込められています。
講談社学芸部は、一方で1976年に創刊した「講談社学術文庫」というシリーズを持っています。刊行点数も2700点になろうとしています。創文社の創業より25年遅れてのスタートではありますが、同じ学術というジャンルで日本の読書界や学界と深い関係を持ってきました。
また、講談社は「講談社学術文庫大文字版オンデマンド」を3年前にスタートし、オンデマンドという出版形態になじみがあり、その可能性にも通じています。オンデマンドとは、読者の注文に応じて1部から本を届ける刊行形態です。
講談社では、こうした自社の編集力とノウハウが役に立つのではないかと信じて、今回のプロジェクトを創文社の久保井正顕社長(当時)に提案し、新事業がスタートすることとなりました。
講談社が刊行するこの新しいシリーズは「創文社オンデマンド叢書」と名づけられ、2021年5月31日に販売用特設サイトがオープン、第一弾として全500点の販売を開始しました。
「創文社オンデマンド叢書」 概要
★販売特設サイトURL:https://sobunsha.bookstores.jp/
■初回発売の主な書名/シリーズ
トマス・アクィナス『神学大全』(全39冊)
マックス・ウェーバー『経済と社会』(全7巻)
石井良助『法制史論集』(全10巻)
鈴木禄弥『民法論文集』(全6巻)
『宮田光雄思想史論集』(全7巻+別巻)
「現代経済学選書」シリーズ※
「現代自由学芸叢書」シリーズ※
「中国学芸叢書」シリーズ※
その他の単行本を合わせ、全500点でスタート。
※一部、都合により配信できないものがあります。
今後は『青山秀夫著作集』(全6巻+別巻)、『浅野順一著作集』(全11巻)、『高橋誠一郎経済学史著作集』(全4巻)、『西谷啓治著作集』(全26巻)、『柳田謙十郎著作集』(全8巻)なども順次追加予定。
また、今年秋には電子版の配信もスタートする予定です。
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▼創文社オンデマンド叢書 | BookStoreS.jp
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