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芥川賞&直木賞(2020年下半期)候補作が決定 芥川賞は宇佐見りん、尾崎世界観さんら、直木賞は伊与原新さん、加藤シゲアキさんら計11作品

芥川賞&直木賞(2020年下半期)候補作が決定

芥川賞&直木賞(2020年下半期)候補作が決定

日本文学振興会は12月18日、第164回芥川龍之介賞(2020年下半期)および第164回直木三十五賞(2020年下半期)の候補作品を発表しました。

芥川龍之介賞、直木三十五賞ともに、2021年1月20日に都内で選考委員会が開催され、それぞれ受賞作品が決定します。

 

第164回芥川賞 候補作について

第164回芥川賞の候補作は以下の5作品です。

 
【第164回芥川賞 候補作】

◎宇佐見りん(うさみ・りん)さん「推し、燃ゆ」(『文藝』秋季号)

◎尾崎世界観(おざき・せかいかん)さん「母影(おもかげ)」(『新潮』12月号)

◎木崎みつ子(きざき・みつこ)さん「コンジュジ」(『すばる』11月号)

◎砂川文次(すなかわ・ぶんじ)さん「小隊」(『文學界』9月号)

◎乗代雄介(のりしろ・ゆうすけ)さん「旅する練習」(『群像』12月号)

 
宇佐見りんさんは、1999年生まれ。静岡県出身。大学生。2019年「かか」で文藝賞を受賞し、デビュー。2020年に同作で三島由紀夫賞を受賞

尾崎世界観さんは、1984年生まれ。東京都出身。2001年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。2012年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。2016年に初の小説『祐介』を刊行。候補作「母影」は著者の文芸誌初となる中篇小説として『新潮』に一挙掲載されたもの。

木崎みつ子さんは、1990年生まれ。大阪府出身。2020年9月に今回の候補作「コンジュジ」ですばる文学賞を受賞

砂川文次さんは、1990年生まれ。神奈川大学卒業。2016年「市街戦」で文學界新人賞を受賞。2018年「戦場のレビヤタン」で芥川賞候補に。

乗代雄介さんは、1986年生まれ。北海道出身。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年「十七八より」で群像新人文学賞、2018年『本物の読書家』で野間文芸新人賞を受賞。2020年『最高の任務』で芥川賞候補に。

 

第164回直木賞 候補作について

第164回直木賞の候補作は以下の6作品です。

 
【第164回直木賞 候補作】

◎芦沢央(あしざわ・よう)さん『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)

◎伊与原新(いよはら・しん)さん『八月の銀の雪』(新潮社)

◎加藤シゲアキ(かとう・しげあき)さん『オルタネート』(新潮社)

◎西條奈加(さいじょう・なか)さん『心淋し川(うらさびしがわ)』(集英社)

◎坂上泉(さかがみ・いずみ)さん『インビジブル』(文藝春秋)

◎長浦京(ながうら・きょう)さん『アンダードッグス』(KADOKAWA)

 
芦沢央さんは、1984年生まれ。東京都出身。千葉大学文学部史学科卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。2017年『許されようとは思いません』で吉川英治文学新人賞の、2019年『火のないところに煙は』で本屋大賞、山本周五郎賞の候補に。

伊与原新さんは、1972年生まれ。大阪府出身。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了。2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。2019年『月まで三キロ』で新田次郎文学賞および未来屋小説大賞を受賞

加藤シゲアキさんは、1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒業。アイドルグループ「NEWS」のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。

西條奈加さんは、1964年生まれ。北海道出身。東京英語専門学校卒業。2005年『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。

坂上泉さんは、1990年生まれ。兵庫県出身。東京大学文学部日本史学研究室卒業。2019年「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」で松本清張賞を受賞し、同年、同作品を改題した『へぼ侍』でデビュー。2020年に同作で日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞。

長浦京さんは、1967年生まれ。埼玉県出身。法政大学経営学部卒業。出版社勤務、音楽ライターなどを経て放送作家に。その後、指定難病にかかり闘病生活に入る。2011年、退院後に初めて書き上げた『赤刃』で小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー。2017年『リボルバー・リリー』で大藪春彦賞を受賞。2019年『マーダーズ』で細谷正充賞を受賞。

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

<芥川賞候補作>

推し、燃ゆ
宇佐見りん (著)

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。

宇佐見さんの作品は、ドストエフスキーが20代半ばで書いた初期作品のハチャメチャさとも重なり合って、大きな将来性を感じましたね。今後も巨大なテーマに向かって邁進していってほしいなと思います。
――亀山郁夫

母影(おもかげ)
尾崎 世界観 (著)

行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。
デビュー作『祐介』以来、4年半ぶり初の純文学作品。

小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、母親の勤めるマッサージ店の片隅で息を潜めている。
お客さんの「こわれたところを直している」お母さんは、日に日に苦しそうになっていく。
カーテンの向こうの母親が見えない。
少女は願う。
「もうこれ以上お母さんの変がどこにも行かないように」。

コンジュジ
木崎 みつ子 (著)

【第44回すばる文学賞受賞作】
二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。
小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。
寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日深夜、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。
その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって……
一人の少女による自らの救済を描く、圧巻のデビュー作。

【川上未映子氏、絶賛!】
とんでもない才能。
サバイブの果てに辿り着く、こんなに悲しく美しいラストシーンをわたしは他に知らない。
深く、胸を打たれた。
この小説が見せてくれたもの、ずっとわたしの宝物です。

小隊
砂川 文次 (著)

第164回芥川賞候補作。
元自衛官の新鋭作家が、日本人のいまだ知らない「戦場」のリアルを描き切った衝撃作。
樺太・国後半島から北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。そして、ついに戦端が開かれた――。

旅する練習
乗代 雄介 (著)

中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。
2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から、鹿島アントラーズの本拠地を目指す。

「この旅のおかげでそれがわかったの。
本当に大切なことを見つけて、
それに自分を合わせて生きるのって、
すっごく楽しい」(本書より)

<直木賞候補作>

汚れた手をそこで拭かない
芦沢 央 (著)

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。

取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。

八月の銀の雪
伊与原 新 (著)

耳を澄ませていよう。地球の奥底で、大切な何かが静かに降り積もる音に――。
不愛想で手際が悪い。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。
科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。

オルタネート
加藤シゲアキ (著)

誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を、真っ向から描ききる。
加藤シゲアキ、これが新たな代表作。

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。母との軋轢により、〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、〈亡霊の街〉から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体――。
“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。

心淋し川
西條 奈加 (著)

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。

インビジブル
坂上 泉 (著)

【昭和29年、大阪を襲う連続猟奇殺人】
デビュー作『へぼ侍』が松本清張賞、日本歴史時代作家協会賞新人賞の二冠!

実在した「大阪市警視庁」を舞台に新鋭が放つ、戦後史×警察サスペンス

昭和29年、大阪城付近で政治家秘書が頭を麻袋で覆われた刺殺体となって見つかる。大阪市警視庁が騒然とするなか、若手の新城は初めての殺人事件捜査に意気込むが、上層部の思惑により国警から派遣された警察官僚の守屋と組みはめに。帝大卒のエリートなのに聞き込みもできない守屋に、中卒叩き上げの新城は厄介者を押し付けられたと苛立ちを募らせるが―。はぐれ者バディVS猟奇殺人犯、戦後大阪の「闇」を圧倒的リアリティで描き切る傑作長篇。

アンダードッグス
長浦 京 (著)

世界に、牙を剥け。2020年大本命の超弩級ミステリー巨編!

1997年、中国返還前夜の香港に隠された国家機密を奪取せよ!
世界の諜報機関を敵に回し、¨負け犬たち¨の知略を駆使した反撃が始まる!

「君の選択肢に『No』はない。『Si(はい)』でなければ『morte(死)』だ」――1996年末、元官僚の証券マン・古葉慶太は、顧客の大富豪・マッシモからある計画を託される。それは、中国返還直前の香港から密かに運び出される国家機密を強奪せよというものだった。かつて政争に巻き込まれ失脚した古葉は、逆襲の機会とばかりに香港へ飛ぶ。だが、彼を待っていたのは、国籍もバラバラな“負け犬”仲間たちと、計画を狙う米露英中、各国情報機関だった――。裏切るか、見破るか。策謀の渦巻く香港を“負け犬”たちが駆け抜ける!

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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