詩人・最果タヒさんエッセイ集『コンプレックス・プリズム』が刊行 嘉江さんの漫画も収録
詩人・最果タヒさんのエッセイ集『コンプレックス・プリズム』(画・マンガ:嘉江さん)が、大和書房より刊行されました。
あなたがあのころに感じた傷は、いまどうなっていますか?
今最も注目される詩人・最果タヒさんによる人気Web連載が、6篇の描きおろしとともに書籍化されました。10代のときの劣等感に光を当てて映る世界を紡ぐエッセイ集です。
連載時にはなかった嘉江さん (Twitter @mugoisiuchi)による漫画も収録。
<「はじめに」より>
劣等感とはいうけれど、それなら誰を私は優れていると思っているのだろう、理想の私に体を入れ替えることができるなら、喜んでそうするってことだろうか? 劣っていると繰り返し自分を傷つける割に、私は私をそのままでどうにか愛そうともしており、それを許してくれない世界を憎むことだってあった。劣等感という言葉にするたび、コンプレックスという言葉にするたびに、必要以上に傷つくものが私にはあったよ、本当は、そんな言葉を捨てたほうがありのままだったかもしれない。コンプレックス・プリズム、わざわざ傷をつけて、不透明にした自分のあちこちを、持ち上げて光に当ててみる。そこに見える光について、今、ここに、書いていきたい。
本書の目次
はじめに
天才だと思っていた
わたしのセンスを試さないでください。
謙虚殺人事件
本気の「好き」じゃないんじゃない br> 「変とか言われて喜ぶやつは凡庸だ」
慰めたいとは思うけど。
生きるには、若すぎる。
私はだれも救えない。
成人の日に。
正しさを気取っている。
何もしたくないわけではないし、できないわけでもないが、しない日。
この良さが、わからないなんてかわいそう。
話すのが苦手って、本当 br> 自分大好きちゃん
憧れは屈辱。
心をあなたに開かない。
拝啓、私は音痴です。
恋愛って気持ちわるわる症候群
「悪い人なんていないと思う」
音楽に救われたことがない。
どうか話しかけないでください。
全てはにわかから始まる。
私は、バカじゃない。
どうか味方ができませんように。
優しさを諦めている。
結論至上主義破壊協奏曲
言語化中毒
あとがき
最果タヒさん プロフィール
著者の最果タヒ(さいはて・たひ)さんは、1986年生まれ。2004年よりインターネット上で詩作をはじめ、翌年より『現代詩手帖』の新人作品欄に投稿をはじめる。
2006年、現代詩手帖賞を受賞。2007年、詩集『グッドモーニング』を刊行し、中原中也賞を受賞。2014年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』刊行以降、詩の新しいムーブメントを席巻、同作で現代詩花椿賞受賞。
2016年の詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は2017年に映画化され(『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』石井裕也監督)、話題を呼んだ。
詩集に『愛の縫い目はここ』『天国と、とてつもない暇』『恋人たちはせーので光る』『空が分裂する』など、小説家に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』など、対談集に『ことばの恐竜』、エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞』『「好き」の因数分解』。
2017年に清川あさみさんとの共著『千年後の百人一首』で100首の現代語訳をし、2018年には案内エッセイ『百人一首という感情』を刊行。
★Twitter:https://twitter.com/tt_ss
コンプレックス・プリズム 最果 タヒ (著) 劣等感にあてた光が乱反射して言葉となって煌めく、珠玉のエッセイ集。 |
◆最果タヒさん第11詩集『落雷はすべてキス』が刊行 | 本のページ
◆最果タヒさん〈「劣等感」をテーマに綴った〉エッセイ集『コンプレックス・プリズム』が書き下ろし作品を加えて文庫化 | 本のページ
◆「だれも悲しみを、きみの心臓が生んでいるとは知らないらしいよ。」最果タヒさん第10詩集『不死身のつもりの流れ星』が刊行 | 本のページ
◆最果タヒさん詩集『さっきまでは薔薇だったぼく』が刊行 「合わせ鏡の詩」「激流」を全文公開 | 本のページ