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ノンフィクション作家・星野博美さん初期傑作3作品を電子書籍化

ノンフィクション作家・星野博美さん初期傑作3作品を電子書籍化

ノンフィクション作家・星野博美さん初期傑作3作品を電子書籍化

ノンフィクション作家・星野博美さんの著書『謝々!チャイニーズ』『銭湯の女神』『のりたまと煙突』が電子書籍化され、文藝春秋より配信開始されました。

 

何気ない日常のなかに静かなドラマを見つける名人・星野博美さんの初期傑作を電子化

「何気ない日常のなかに静かなドラマを見つけるのが抜群にうまい」(斎藤美奈子さん)
「私は星野博美という人の、目線の先をいつも追いたいのである」(角田光代さん)

 
その的確な洞察力と端正な文体で、同業の作家や評論家から絶大な支持を受けている星野博美さん。2001年に『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞を、2012年に『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞。エッセイから紀行文、ルポルタージュまで、幅広い分野で執筆活動を行っています。

 
今回電子化されるのは、長らく絶版状態だった星野さんの初期作品群。

『謝々!チャイニーズ』は、開放政策に沸いていた頃の中国が舞台のデビュー作です。

1993年、星野さんはベトナム国境から上海まで、華南地方を埃だらけの長距離バスに乗って旅をします。急激な自由化の波に翻弄される国で出会った人々の肖像が、みずみずしいタッチで描き出されます。

著者が自ら撮った写真が、電子版ではカラーで収録されているのも見逃せません。

『銭湯の女神』は、2年にわたる香港での滞在から帰国し、東京で一人暮らしを始めた星野さんが感じた違和感──まるで自分の存在そのものが異物になってしまった──を独自の視点で綴った散文集です。

銭湯とファミリーレストランを周遊する暮らしから芽生えた思いを、39のエッセイとしてスケッチします。

『のりたまと煙突』は、まるで短篇小説のようなエッセイ集です。

星野さんはさまざまな猫たちとの出会いと別れを経験し、生と死、そして忘れえぬ過去の記憶へと思いをめぐらせていきます。さりげない日常からつむぎ出されるエッセイの一つ一つに、現代への警鐘と内省がにじみます。

「いまの自分からすると、あまり振り返りたくない時代である。この三冊も、読み返すことはめったにしない。たとえるなら、あまり目につくところに置きたくない、思い出のつまった玉手箱。どこにしまってあるかは把握していて、大掃除のたびに開けては、思い出にひたるが、また閉じてクローゼットの奥にしまう。でも、絶対に捨てることはできない。これらがいまの自分の土台になっていることは確かだからだ」(電子版序文より)

 
ファミレスで、近所の公園で、100円ショップで、人生の瞬間と現代を鋭く見すえる──。他のどんなエッセイストや小説家ともひと味もふた味も違う、独自の星野ワールドをぜひ堪能してください。

 

著者プロフィール

著者の星野博美(ほしの・ひろみ)さんは、1966年、東京都生まれ。ノンフィクション作家、写真家。

2001年『転がる香港に苔は生えない』で第32回大宅壮一ノンフィクション賞、2012年『コンニャク屋漂流記』で第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」を受賞。

著書に『謝々!チャイニーズ』『銭湯の女神』『のりたまと煙突』『迷子の自由』『愚か者、中国をゆく』『島へ免許を取りに行く』『みんな彗星を見ていた』『戸越銀座でつかまえて』『今日はヒョウ柄を着る日』、写真集に『華南体感』『ホンコンフラワー』がある。

 

謝々! チャイニーズ (文春文庫)
星野 博美 (著)

何も知らず飛び込んだ国で、こんなにも優しい人々に出会った。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。開放政策に沸く等身大の中国を描いたデビュー作が、電子版で登場!

時は1993年。中国に魅せられた私は、ベトナム国境から上海まで、改革開放に沸く中国・華南地方を埃だらけの長距離バスに乗って旅をした。
急激な自由化の波に翻弄される国で出会った、忘れえぬ人々。
『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者の、みずみずしいデビュー作。

解説・斎藤美奈子

銭湯の女神 (文春文庫)
星野 博美 (著)

いとしい香港から戻ってみれば、違和感のなかに生きる私がいた。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。銭湯とファミレスから透視した「東京」をめぐる39の名エッセイが、電子版で登場!

「銭湯に通っている。酔狂ではなく、切実に。三十を過ぎてから銭湯通いをするという将来を十年前には想定していなかった──」(本文より)

2年間にわたり香港に滞在していた著者は、1997年の中国への返還を体験した後、東京に戻り、中央線沿線でひとり暮らしを始める。
切なくも騒々しく、温かい街から戻ってみれば、違和感のなかに生きる私がいた。自分の存在そのものが異物になってしまったようだった──。
銭湯とファミリーレストランを周遊する暮らしから芽生えた思いを、鋭い観察眼と端正な文体で描いた39の名エッセイ。

解説・中野翠

のりたまと煙突 (文春文庫)
星野 博美 (著)

ファミリーレストランで、近所の公園で、人生の瞬間と現代を鋭く見すえる──。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。本好き達に激賞された、短篇小説のようなエッセイ集が電子版で登場!

すべてを忘れて、私たちは幸せに近づいたのだろうか……。
吉祥寺と、戸越銀座。著者はさまざまな猫たちとの出会いと別れを経験し、生と死、そして忘れえぬ過去の記憶へと思いをめぐらせていく。
さりげない日常からつむぎ出される短篇小説のようなエッセイのひとつひとつに、現代への警鐘と内省がにじむ。

解説・角田光代

 


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