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【訃報】作家・藤田宜永さんが死去 『愛の領分』で直木賞

直木賞作家の藤田宜永(ふじた・よしなが)さんが1月30日、右下葉肺腺がんのため長野県佐久市の病院で死去しました。69歳。福井県福井市出身。

 
藤田宜永さんは、1950年生まれ。早稲田大学中退。1973年、渡仏。1977年からエールフランス勤務。1980年に帰国し、1986年『野望のラビリンス』で作家デビュー。

1995年『鋼鉄の騎士』で日本推理作家協会賞および日本冒険小説協会大賞特別賞、1996年『巴里からの遺言』で日本冒険小説協会最優秀短編賞、1999年『求愛』で島清恋愛文学賞、2001年『愛の領分』で直木賞、2017年『大雪物語』で吉川英治文学賞を受賞。冒険小説から恋愛小説まで幅広く執筆。日本推理作家協会賞や大藪春彦賞、島清恋愛文学賞などの選考委員を歴任。

妻は、推理作家で直木賞作家の小池真理子さん。藤田さんが直木賞を受賞した際は、初の直木賞作家夫婦として話題に。

 
著書に、『パリを掘り返せ』『還らざるサハラ』『樹下の想い』『さもなくば友を』『じっとこのまま』『蒼ざめた街』『ダブル・スチール』『喜の行列 悲の行列』『リミックス』『乱調』『女系の教科書』『いつかは恋を』『ブルーブラッド』など。

 

愛の領分 (文春文庫)
藤田 宜永 (著)

妻に先立たれ、一人息子を育てながら静かに仕立て屋を営む中年の男。28年ぶりに突然現れた、かつての親友。その妻で、むかし男が恋焦がれた女。そして35年ぶりに訪れた故郷で出会い、男が年齢差を超えて魅かれる絵描きの女。度重なる再会が、互いのあやうい過去を明らかにしていく。許したいけど許せない、忘れたくても忘れられないことが4人には多すぎた……。大人の男女の愛憎、心の陰影を妖しく描いた直木賞受賞作。母親への想いを綴った、自伝エッセイも収録。

巴里からの遺言 (文春文庫)
藤田 宜永 (著)

「エトランゼーの自由は甘美な毒」戦前のパリで放蕩の限りを尽くした祖父の手紙に導かれ、僕は70年代のパリにたどりついた。そこで出会った日本人は、イカサマ賭博で食いつなぐ元プロレスラー、高級娼婦となった女子留学生、贋作専門の画家崩れ、謎の剣術指南…。旅情あふれる日本冒険小説協会最優秀短篇賞受賞作。

大雪物語 (講談社文庫)
藤田 宜永 (著)

多くの別荘地を抱え、避暑地として名高いK町が記録的な大雪に見舞われた。町民や観光客、仕事のため車で訪れた人々も動きがとれない。除雪作業も追いつかず、災害救助法が適用され、自衛隊の派遣を要請する事態に。想定外の変化が引き起こした出会い、別れなどを描いた六つの物語。吉川英治文学賞受賞作。

 


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