「第36回織田作之助賞」最終候補作5作品が決定 彩瀬まるさん、上田岳弘さん、河﨑秋子さん、窪美澄さん、辻村深月さんの各作品
織田作之助賞実行委員会は11月25日、第36回織田作之助賞の最終候補作品を発表しました。
なお、最終選考会は12月3日に開催されます。
第36回織田作之助賞の最終候補作5作品が決定!
織田作之助賞実行委員会は、2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間に初版が刊行された新鋭・気鋭の作家の小説を対象に、作家、評論家、ジャーナリスト、文芸関係者などからの推薦を受け、次の5作品を最終候補として決定しました。
<「第36回織田作之助賞」最終候補作品>
◎彩瀬まる(あやせ・まる)さん
『森があふれる』(河出書房新社)
◎上田岳弘(うえだ・たかひろ)
『キュー』(新潮社)
◎河﨑秋子(かわさき・あきこ)さん
『土に贖う』(集英社)
◎窪美澄(くぼ・みすみ)さん
『トリニティ』(新潮社)
◎辻村深月(つじむら・みづき)さん
『傲慢と善良』(朝日新聞出版)
彩瀬まるさんは、1986年生まれ。千葉県出身。2010年、「花に眩(くら)む」で女による女のためのR―18文学賞読者賞を受賞しデビュー。2017年『くちなし見つめたで高校生直木賞を受賞。
上田岳弘さんは、1979年生まれ。兵庫県出身。2013年「太陽」で新潮新人賞を受賞しデビュー。2015年『私の恋人』で三島由紀夫賞を、2018年『塔と重力』で芸術選奨文部科学大臣新人賞を、2019年『ニムロッド』で芥川賞を受賞。
河﨑秋子さんは、1979年生まれ。北海道出身。2012年に『東陬遺事(とうすういじ)』で北海道新聞文学賞を、2014年『「颶風の王』で三浦綾子文学賞を、2015年に同作でJRA賞馬事文化賞を、2019年『肉弾』で大藪春彦賞を受賞。
窪美澄さんは、1965年生まれ。東京都出身。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR―18文学賞大賞を、2011年に『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を、2012年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。
辻村深月さんは、1980年生まれ。山梨県出身。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞を、2012年『鍵のない夢を見る』で回直木賞を、2018年『かがみの孤城』で本屋大賞を、2019年『傲慢と善良』でブクログ大賞を受賞。2019年には、ベストマザー賞も受賞しています。
織田作之助賞について
織田作之助賞は、大阪生まれの作家・織田作之助の生誕70年を記念して、1983年(昭和58年)に創設された文学賞です。創設当初は公募の新人賞でしたが、現在は、前年10月1日~本年9月30日に刊行された新鋭・気鋭の作家の単行本を対象としています。
大阪市、大阪文学振興会、関西大学、パソナグループ、毎日新聞社で構成される「織田作之助賞実行委員会」が主催。受賞作には賞金100万円と記念品が贈られます。
選考委員は、いしいしんじさん(作家)、重里徹也さん(文芸評論家)、芝井敬司さん(関西大学学長)、高村薫さん(作家)、田中和生さん(文芸評論家)。
森があふれる 彩瀬 まる (著) 作家の夫に小説の題材にされ続けた主婦の琉生はある日、植物の種を飲み発芽、広大な森と化す。夫婦の犠牲と呪いに立ち向かった傑作。 |
キュー 上田 岳弘 (著) さあ、今から「世界最終戦争」を始めよう。人類を終わらせるんだ。 キュー、それは終末を告げる合図、あるいは孤独からの救済。 超越系の旗手、新芥川賞作家が放つ超・世界文学。 前世に〈太陽〉と同じ温度で焼け死んだと話す少女が同級生だった「僕」は、この〈惑星〉で平凡な医師として生きていたが、いきなり「等国」なる組織に拉致された。彼らによれば、対立する「錐国」との間で世界の趨勢を巡り争っており、その中心には長年寝たきりとなっている祖父がいるという。その祖父が突然快復し失踪、どうやら〈私の恋人〉を見つけたらしい。一方、はるか未来に目を覚ました自称天才の男は迎えに来た渋い声の〈異郷の友人〉と共に、《予定された未来》の最後の可能性にかけるため南へ向かい、途中、神をも畏れぬ〈塔〉を作り〈重力〉に抗おうとした〈ニムロッド〉の調べが鳴り響く。時空を超えた二つの世界が交差するとき、すべては完成する……? |
土に贖う 河崎 秋子 (著) 大藪春彦賞受賞第一作! カバー画:久野志乃「新種の森の博物誌」 |
トリニティ 窪 美澄 (著) 「男、仕事、結婚、子ども」のうち、たった三つしか選べないとしたら――。どんなに強欲と謗られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出す、現代日本の半世紀を生き抜いた女たちの欲望と祈りの行方。平成掉尾を飾る傑作! |
傲慢と善良 辻村 深月 (著) 婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 |
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