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【第73回芸術選奨】滝口悠生さん、渡辺松男さん、岡塚章子さん、中野正昭さんらが文部科学大臣賞を受賞

第73回芸術選奨文部科学大臣賞および同新人賞の受賞者が決定!

第73回芸術選奨文部科学大臣賞および同新人賞の受賞者が決定!

文化庁は3月1日、芸術各分野で優れた業績を挙げた方、新生面を開いた方に贈る「令和4年度(第73回)芸術選奨」文部科学大臣賞および同新人賞の受賞者を発表しました。

 

第73回芸術選奨文部科学大臣賞および同新人賞の受賞者が決定!

令和4年度(第73回)芸術選奨では、文部科学大臣賞には11部門で計19名の方が、新人賞には計11名の方が選ばれました。主な受賞者と業績は次の通りです。

 
■文部科学大臣賞

<文学>

◎滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)さん〔小説家〕
「水平線」の成果

◎渡辺松男(わたなべ・まつお)さん〔歌人〕
歌集「牧野植物園」の成果

 
<評論等>

◎岡塚章子(おかつか・あきこ)さん〔東京都江戸東京博物館都市歴史研究室長〕
「帝国の写真師 小川一眞」の成果

◎中野正昭(なかの・まさあき)さん〔淑徳大学教授〕
「ローシー・オペラと浅草オペラ」の成果

 
■文部科学大臣新人賞

<文学>

◎九段理江(くだん・りえ)さん〔小説家〕
「Schoolgirl」の成果

 
<評論等>

◎佐藤未央子(さとう・みおこ)さん〔法政大学助教〕
「谷崎潤一郎と映画の存在論」の成果

 
<メディア芸術>

◎野田サトル(のだ・さとる)さん〔漫画家〕
「ゴールデンカムイ」の成果

 
全部門の受賞者の一覧および受賞理由、選考経過など詳細は、https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/93842101.html をご覧ください。

なお、贈呈式は3月9日(木)に都内ホテルにて開催されます。

 

芸術選奨について

「芸術選奨」は、芸術各分野において、優れた業績を挙げた者、またはその業績によってそれぞれの部門に新生面を開いた者を選奨し、芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞を贈ることによって芸術活動の奨励と振興に資するものです。

演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論等、メディア芸術の11部門にて実施され、受賞者には賞状と、大臣賞には30万円、新人賞には20万円の賞金が贈られます。

★歴代の受賞者:https://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/jutenshien/geijutsuka/sensho/index.html

 

水平線
滝口 悠生 (著)

かつての激戦地・硫黄島。そこに生きていた人々が、現代の私に語りかけル。祖父母の故郷・硫黄島を墓参で訪れたことがある妹に、見知らぬ男から電話がかかってきた頃、兄は不思議なメールに導かれ船に乗った。戦争による疎開で島を出た祖父母たちの人生と、激戦地となった島に残された人々の運命。もういない彼らの言葉が、今も隆起し続ける島から、波に乗ってやってくルルル――時を超えた魂の交流を描く。

牧野植物園
渡辺松男 (著)

閉ぢられてある鏡にて白鳥は漆黒の夜をわたりの途中

記憶を歌にする。
ますます研ぎ澄まされていく渡辺松男の歌は
限りなく清明で美しく生命溢れる。

【収録歌より】
土佐の牧野植物園へ飛ばしたり日差しとなりてわたしのからだ
団子虫のやうなる涙吊るすときここから俺は号泣をする
皺くちやの細目の奥のかなしみのその奥のおく虚空燦燦

帝国の写真師 小川一眞
岡塚章子 (著)

写真師として日本初の帝室技芸員となった小川一眞。その知られざる生涯と事績を明らかにする画期的大著。

小川一眞は明治中期から大正期にかけて写真撮影から印刷、出版、乾板製造など、写真を軸とした一連の事業を展開し帝室技芸員を拝命した人物である。帝室技芸員とは、1890年に皇室による日本美術工芸の保護奨励を目的として定められた「帝室技芸員制度」により任命された美術家であり、小川は写真師として唯一選ばれた。その作品は旧千円札に使われた夏目漱石の肖像などで知られるが、撮影者としてだけではなく、印刷技術の革新、写真乾板の国産化を試みるなど日本の写真文化の発展に影響を与えた。

九鬼隆一やフェノロサの美術史調査にも同行し多くの文化財を撮影するとともに、日本各地の名所や風俗、文化財をはじめ、日清・日露戦争、明治天皇の大喪の礼、濃尾地震など数多くの題材を写真に収めた。特に日露戦争時には『日露戦役写真帖』『日露戦役海軍写真帖』を印刷・発行し、写真による戦争報道の先鞭をつけた。また1901年には中国・北京城(紫禁城を含む城壁で囲まれた市街地を含んだ地域)の撮影も行う。

本書では明治から大正という「変容する帝国」と生涯を共にした、未だ知られざる「写真メディアの体現者」の生涯をその撮影した膨大な写真とともに明らかにする。詳細な年譜、索引を付す。

ローシー・オペラと浅草オペラ──大正期翻訳オペラの興行・上演・演劇性
中野正昭 (著)

Schoolgirl
九段 理江 (著)

第166回芥川賞候補作&第35回三島賞候補作

どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、
お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。

社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、
私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。
そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――?

第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」を同時収録。

谷崎潤一郎と映画の存在論
佐藤未央子 (著)

〝映画の魔〟に魅入られて、
映画、この欲望と快楽のメディアを題材として取り上げるのみならず、媒体の特質、俳優の身体、興行形態、鑑賞行為といった構造的要素までをも小説へと移植した谷崎潤一郎。
その強靭なる映画的思考/欲望は、いかにして〝映画小説〟の血肉となったのか。
映画の富を小説においても展開し、みずからの文学に新生面を開くまでの作家の足跡を緻密にたどり、谷崎文学のさらなる深みを開削する。

***
谷崎は映画という存在をメディア/芸術/産業面から複層的に捉えて物語化した点で、現代に至る文学と映画の協働関係における先駆の作家と位置づけられる。……映画小説において、谷崎は映画を単に尖端的な題材として恣意的に選択したのではなく、媒体的特質や流通過程を有機的に文脈化した。映画を観る、あるいは消費し、愛玩する行為と空間をその在り方に仮託して表象したのだ。(序章より)

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)
野田 サトル (著)

明治時代末期、日露戦争終結直後の北海道周辺を舞台とした、莫大な埋蔵金をめぐる生存競争サバイバル。

舞台は気高き北の大地・北海道。時は激動の明治時代後期。
日露戦争という死戦を潜り抜け『不死身の杉元』という異名を持った元兵士・杉元はある目的のために大金を欲していた。
一攫千金を目指しゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れた杉元を待っていたのは、網走監獄の死刑囚が隠した莫大な埋蔵金への手掛かりだった。
雄大で圧倒的な大自然、VS凶悪な死刑囚。
そして純真無垢なアイヌの少女・アシ?パとの出逢い。莫大な黄金を巡る生存競争サバイバルが幕を開ける。

『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

 
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令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について | 文化庁

 


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