【第50回星雲賞】飛浩隆さん『零號琴』、つくみずさん『少女終末旅行』、筒井康隆さん・日下三蔵さん『筒井康隆、自作を語る』などが受賞

第50回星雲賞が決定!
日本SFファングループ連合会議が、SF作品およびSF活動を対象とした「第50回星雲賞」の受賞作品・受賞者を発表しました。
「第50回星雲賞」の受賞作品・受賞者が決定!
第50回星雲賞は7月27日、第58回日本SF大会「彩こん」内で受賞作品および受賞者が発表され、贈賞式を実施しました。
各部門の受賞作品・受賞者は次の通りです。
■日本長編部門(小説)
飛浩隆(とび・ひろたか)さん
『零號琴』(早川書房)
■日本短編部門(小説)
草野原々(くさの・げんげん)さん
「暗黒声優」(早川書房/ハヤカワ文庫JA『最後にして最初のアイドル』収録)
■海外長編部門(小説)
ピーター・トライアス(Peter Tieryas)さん
『メカ・サムライ・エンパイア』(訳:中原尚哉さん/早川書房)
■海外短編部門(小説)
劉慈欣(Liu Cixin)さん・ケン・リュウ(Ken Liu)さん
「円」(訳:中原尚哉さん/早川書房/『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』収録)
■コミック部門
つくみずさん
『少女終末旅行』(新潮社)
■アート部門
加藤直之(かとう・なおゆき)さん
■ノンフィクション部門
筒井康隆(つつい・やすたか)さん著・日下三蔵(くさか・さんぞう)さん編集
『筒井康隆、自作を語る』(早川書房)
なお、メディア部門をアニメ『SSSS.GRIDMAN』が、自由部門を「はやぶさ2」プロジェクトの「MINERVA-Ⅱ1のリュウグウ着地及び小惑星移動探査」が受賞しています。
星雲賞について
星雲賞は1970年に創設された、SF作品およびSF活動を対象とした日本で最も長い歴史を誇る文学賞です。前年度に発表されたSF作品およびSF活動を対象に、毎年開催される「日本SF大会」の参加者の投票により受賞作品が決定します。1965年に結成された、日本のSFファングループ間の協議機構「日本SFファングループ連合会議」が運営。
「日本長編」「日本短編」「海外長編」「海外短編」「メディア」「コミック」「アート」「ノンフィクション」「自由」の9つの部門で構成されています。
零號琴 飛 浩隆 (著) はるかな未来、特種楽器技芸士のセルジゥ・トロムボノクと相棒シェリュバンは、大富豪のパウル・フェアフーフェンの誘いで惑星“美縟”に赴く。そこでは首都“磐記”全体に配置された古の巨大楽器“美玉鐘”の500年ぶりの再建を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。やがて来たる上演の夜、秘曲“零號琴”が暴露する美縟の真実とは? |
■「日本短編部門(小説)」受賞作「暗黒声優」収録
最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA) 草野 原々 (著), TNSK (イラスト) “バイバイ、地球――ここでアイドル活動できて楽しかったよ。” 第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞 SFコンテスト史上初の特別賞&「神狩り」以来42年ぶりにデビュー作で星雲賞を受賞し、SF史に伝説を刻んだ実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSFの表題作をはじめ、ガチャが得意なフレンズたちが宇宙創世の真理へ驀進する「エヴォリューションがーるず」、異能の声優たちが銀河を大暴れする書き下ろし声優スペースオペラ「暗黒声優」の3篇を収録する、驚天動地の草野原々1st作品集! |
メカ・サムライ・エンパイア 上 (ハヤカワ文庫SF) ピーター・トライアス (著), John Liberto (イラスト), 中原 尚哉 (翻訳) 大日本帝国統治下のアメリカ西海岸の「日本合衆国」。軍人の両親を失ったゲーマー不二本誠(ふじもとまこと)は、皇国機甲軍の巨大ロボット「メカ」のパイロットをめざすも、士官学校入試に失敗する。絶望する彼だが、偶然からエリート同級生の範子(のりこ)とともにメカのタカ號でテロリストと戦うことになり、その功績により民間の警備メカパイロット訓練生に推薦された――星雲賞受賞作『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』、待望の続篇! |
■「海外短編部門(小説)」受賞作「円」収録
折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 郝 景芳 (著), ケン リュウ (編集), 牧野 千穂 (イラスト), 中原 尚哉 (翻訳), 大谷 真弓 (翻訳), 鳴庭 真人 (翻訳), 古沢 嘉通 (翻訳) 北京、異形の都市。この街は貧富の差により三層のスペースに分割され、24時間ごとに世界が回転・交替し、建物は空間に折りたたまれていく。緻密にして巨大なルービックキューブ型都市の社会と文化に翻弄される男の冒険を描いた郝景芳によるヒューゴー賞受賞の表題作、秦の始皇帝指揮下3百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機の顛末が語られる劉慈欣「円」(ヒューゴー賞受賞作『三体』抜粋)、遺伝子改造鼠を倒すべく歩を進める隊列の闇を描いた陳楸帆「鼠年」など、7人の作家の13作品を、短篇の名手ケン・リュウが精選し英訳。いま最注目の中国SF、その最前線を奔る作家たちが放つアンソロジー。 |
少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS) つくみず (著) 文明が崩壊した終末世界。愛車のケッテンクラートで廃墟をあてもなく旅するチトとユーリの日常を描く、ほのぼのディストピア・ストーリー。 |
筒井康隆、自作を語る 筒井 康隆 (著), 日下 三蔵 (編集) デビューから「最後の長篇」まで―― 日本SF黎明期におけるSF同人誌〈NULL〉の創刊、短篇「お助け」での商業デビュー。“浸透と拡散の時代”を経て『日本SFベスト集成』の編纂や日本SF大賞の創設、エンタメ小説黄金期における大活躍と断筆活動、そして日本文学界の大家となり「最後の長篇」『モナドの領域』執筆に至るまで――半世紀を超えるそのキャリアを、筒井康隆自身が語る。〈SFマガジン〉に連載された「Live Wire」主催のロング・インタビューに自選短篇集の解題と全著作リストを併録する必携の1冊。 |
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