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『極夜行』角幡唯介さん大佛次郎賞受賞記念講演を6/29開催 極地探検家にしてノンフィクション作家が語る「結婚と冒険」とは?

▲角幡唯介さん/撮影:朝日新聞社

▲角幡唯介さん/撮影:朝日新聞社

大佛次郎記念館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)は、昨年12月に第45回大佛次郎賞を『極夜行』で受賞した角幡唯介さんの大佛次郎賞受賞記念講演会を、6月29日に横浜市開港記念会館で開催します。

 

角幡唯介さんによる「結婚と冒険」をテーマにした講演会が開催

『極夜行』で第45回大佛次郎賞を受賞した角幡唯介さんは、チベットの奥地ツアンポー渓谷を単独探検した『空白の5マイル』や、雪男の捜索隊に加わった『雪男は向こうからやって来た』などのでも知られる探検家です。

 
今この瞬間もグリーンランドの北極圏で犬ゾリ訓練の真っ最中なのですが、第45回大佛次郎賞受賞作の『極夜行』では、同じくグリーンランドの極夜(白夜の反対で太陽が昇らず、24時間ずっと暗闇)の中をたった一人、犬一匹だけを伴っての3カ月にわたる探検を描いています。

 
不思議なことに、この作品の冒頭は奥様の出産シーンから始まります。
そして舞台は北極圏へ。最初は月明かりを頼りに冒険を始めますが、やがて一日が全くの闇となる「極夜」を迎えます。孤独と闘い、飢えに苦しみ…人間が極限状態を迎えると何を感じるのか、何が見えてくるのかが、美化されることなく余すところなく書かれています。

最後まで読んだ方には、なぜこの作品が、出産シーンから始まったのかが分かるはずです。

本講演会では、そんな角幡さんが「結婚と冒険」について語ります。

 
【角幡唯介さんからのコメント】

「結婚は選択ではなく事態である。過去のおのれのふるまいや言動が結婚という事態を引き起こし、人はその事態に呑みこまれて結婚する。私はそんな結婚観をもっているが、じつは結婚の事態性は冒険の現場における経験則と共通する。事態という概念をキーワードに人生の構造について考えます。」

 

<大佛次郎賞受賞記念講演会 角幡唯介氏「結婚と冒険」>開催概要

■開催日時:2019年6月29日(土)14:00開演(13:30開場)

■会場:横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1-6)

■チケット:800円(全席指定)
◎チケットぴあ(Pコード:642027):~6/28まで販売
◎大佛次郎記念館窓口:~6/27 16:00まで販売
※当日券は、残席がある場合のみ会場にて12:00より販売
※チケット提示で大佛次郎記念館で開催中の「大和和紀『ヨコハマ物語』×大佛次郎の横濱」展(開催中~2019.9/8(日))を1回ご観覧になれます。

■主催:大佛次郎記念館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団) /朝日新聞社
■後援:横浜市中区

★詳細URL:http://osaragi.yafjp.org/info/4689/

 

角幡唯介さん プロフィール

角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さんは、1976年生まれ。北海道出身。。早稲田大学卒業。

2010年『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、2011年同作で大宅壮一ノンフィクション賞、2012年『雪男は向こうからやって来た』 で新田次郎文学賞、2013年『アグルーカの行方』で講談社ノンフィクション賞、2015年『探検家の日々本本』で毎日出版文化賞書評賞、2018年『極夜行』で本屋大賞ノンフィクション本大賞と大佛次郎賞を受賞。

 

極夜行
探検家にとっていまや、世界中どこを探しても”未知の空間“を見つけることは難しい。大学時代から、様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。 シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。本番の「極夜の探検」をするには周到な準備が必要だった。それに3年を費やした。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。そしていよいよ迎えた本番。2016年~2017年の冬。ひたすら暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。 読む者も暗闇世界に引き込まれ、太陽を渇望するような不思議な体験ができるのは、ノンフィクション界のトップランナーである筆者だからこそのなせる業である。

 
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6/29(土)大佛次郎賞受賞記念講演会 角幡唯介氏「結婚と冒険」 | 大佛次郎記念館
【第45回大佛次郎賞】角幡唯介さん『極夜行』が受賞 | 本のページ

 


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