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【第50回大佛次郎賞・第23回大佛次郎論壇賞】大佛次郎賞に平山周吉さん『小津安二郎』 大佛次郎論壇賞は五十嵐元道さん『戦争とデータ 死者はいかに数値となったか』 が受賞

朝日新聞社は、優れた散文作品に贈る「第50回大佛次郎賞」および、優れた論考に贈る「第23回大佛次郎論壇賞」の受賞作品を発表しました。

 

第50回大佛次郎賞&第23回大佛次郎論壇賞が決定!

第50回大佛次郎賞および第23回大佛次郎論壇賞の受賞作品は次の通りです。

 
■第50回大佛次郎賞
平山周吉(ひらやま・しゅうきち)さん
『小津安二郎』(新潮社)

 
■第23回大佛次郎論壇賞
五十嵐元道(いがらし・もとみち)さん
『戦争とデータ 死者はいかに数値となったか』 (中公選書)

 
大佛次郎賞を受賞した平山周吉さんは、1952年生まれ、東京都出身。慶応義塾大学文学部卒業。雑文家。元『文學界』編集長。2016年『戦争画リターンズ 藤田嗣治とアッツ島の花々』(芸術新聞社)で第34回雑学大賞出版社賞、2019年『江藤淳は甦える』(新潮社)で第18回小林秀雄賞、2022年『満洲国グランドホテル』で第26回司馬遼太郎賞を受賞。著書に『昭和天皇「よもの海」の謎』(新潮選書)、『昭和史百冊』(草思社)など。

大佛次郎論壇賞を受賞した五十嵐元道さんは、1984年生まれ、北海道出身。2014年英サセックス大学国際関係学部博士課程修了(D.Phil)。北海道大学大学院法学研究科高等法政教育研究センター助教、日本学術振興会特別研究員(PD)、関西大学政策創造学部准教授を経て、2023年より教授。専攻は国際関係論、国際関係史。著書に『支配する人道主義 植民地統治から平和構築まで』(岩波書店)、共著に『グローバル・ガバナンスの歴史と思想』(有斐閣)、『EUの規制力』(日本経済評論社)、『「国際政治学」は終わったのか』(ナカニシヤ出版)など。

平山さんと五十嵐さんには、それぞれ賞金200万円が贈られます。贈呈式は2024年1月26日に東京都内で開催。

 

大佛次郎賞および大佛次郎論壇賞について

大佛次郎賞は、小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎(おさらぎ・じろう)さんの業績をたたえて、1973年に朝日新聞社が創設。その形式のいかんを問わず、優れた散文作品に贈られます。

大佛次郎論壇賞は、大佛次郎賞の評論部門として2001年に創設。「よりよい社会の創造を目指し、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係等をめぐる優れた論考」を顕彰します。

 

小津安二郎
平山 周吉 (著)

小津のキャメラが捉える原節子の向こうには、戦死した天才・山中貞雄監督の存在があった。
世界に誇る傑作群の謎を解き明かす決定的評伝!

「晩春」「麦秋」「東京物語」――世界に誇る傑作群には、盟友への鎮魂歌がいつも静かに流れていた。
鶏頭、麦畑、未亡人、粉雪、京都東山、龍安寺、そして壺……。
激動の戦後史の中で、名匠は画面のディテールに秘められた想いを託す。
生者と死者との間の「聖なる三角関係」が織り成す静寂の美の謎を解き明かす、決定的評伝!

戦争とデータ―死者はいかに数値となったか (中公選書)
五十嵐 元道 (著)

戦争全体の把握にはデータが肝要だ。特に死者数のデータは、戦争の規模、相手との優劣比較で最も説得力を持つ。ただ発表されるデータが正しいのかは常に疑念があるだろう。ウクライナ戦争での戦死者数についても、ウクライナ、ロシア双方から発表される数字は異なる。では、そうしたデータはどのように集められてきたのか。
 戦場での死者数は、総力戦となった第1次世界大戦以降、国家による将兵だけの把握では難しくなり、赤十字国際委員会、国際連盟といった国際機関が介在していく。しかし第2次世界大戦後、特定地域での内戦・紛争・ゲリラ戦が頻発。政府側・反政府側で異なる数字が発表されていく。大国間対立で国連が機能不全に陥るなか、国際的な人道ネットワークが、先進各国や国連の支持を受け、死者数の調査・精査を行い発表していく。
 本書では、特に1960年代以降のベトナム戦争、ビアフラ内戦、エルサルバドル内戦から、第3次中東戦争、イラン・イラク戦争、旧ユーゴ紛争、そして21世紀のシリア内戦、ウクライナ戦争を辿る。その過程で国際的な人道ネットワークが、統計学や法医学の知見を取り入れ、どのように戦争データを算出するようになったか、特に民間人死者数に注目する。また、データをめぐる人々の苦闘にも光を当てる。

 
【関連】
大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞 | 朝日新聞社

 


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