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【第7回角川つばさ文庫小説賞】一般部門は高杉六花さん『シークレット ブレス』が金賞を受賞

小・中学生を読者対象とした児童文庫レーベル「角川つばさ文庫」を発行するKADOKAWAは、2018年7月1日から8月31日に作品を募集した「第7回角川つばさ文庫小説賞」の受賞作を発表し、贈賞式を開催しました。

なお、本賞の「一般部門」では、現役の高校2年生が〈奨励賞〉を受賞。この方は、第5回の「こども部門」で〈準グランプリ〉を受賞した経歴の持ち主です。
また、「こども部門」では鹿児島県の小学6年生が〈グランプリ〉を、山形県の中学3年生が〈準グランプリ〉を受賞しています。

 

第7回角川つばさ文庫小説賞が決定! 贈賞式を「神楽座」で開催

第7回角川つばさ文庫小説賞の贈賞式が3月23日、東京 飯田橋「神楽座」にて開催されました。

選考委員の宗田理さん、あいはらひろゆきさん、本上まなみさんも参加。
一般部門は本上さんが贈賞と総評を、こども部門はグランプリと準グランプリの贈賞をあいはらさんが、特別賞と入賞の贈賞、こども部門の総評を角川つばさ文庫編集長が行いました。

最後に主催者と選考委員を代表して宗田さんが本小説賞全体の総評を行いました。

「第7回角川つばさ文庫小説賞」贈賞式

「第7回角川つばさ文庫小説賞」贈賞式

 
【第7回角川つばさ文庫小説賞 受賞作品】

■一般部門(応募作品数:181作品)
〈大賞〉 該当作品なし
〈金賞〉『シークレット ブレス』 高杉六花 (たかすぎ・りっか)さん/北海道
〈奨励賞〉『ピアニスト・ウォーズ!』 日部星花 (ひべ・せいか)さん/関東

■こども部門(応募作品数:325作品)
〈グランプリ〉『足跡の主』山元麻央 (やまもと・まお)さん/小学6年・鹿児島県
〈準グランプリ〉『アンサー』九月ねこ(くがつ・ねこ)さん/中学3年・山形県
〈低学年の部特別賞〉『さくらとかぜのはるのおはなし』かとうかりなさん/小学1年・埼玉県
〈中学年の部特別賞〉『何でも屋』みゆうさん /小学4年・東京都
〈高学年の部特別賞〉『宇宙ラーメンの歴史』横田 玲(よこた・れい)さん/小学5年・大阪府
〈中学生の部特別賞〉『感情』SARA(さら)さん/中学2年・東京都

〈入賞〉
『夢に向かってHOP,STEP,JUMP!』夢岡ゆめ (ゆめおか・ゆめ)さん/小学4年・東京都
『雪の日のキセキ』廣瀬咲良 (ひろせ・さくら)さん/小学5年・神奈川県
『せみとの一週間』KOUSEI (こうせい)/小学5年・兵庫県
『6年3組AI先生!』和花 (のどか)さん/小学6年・愛知県
『五月の暖かさは天使の温かさ』山本彩世 (やまもと・あやせ)さん/小学6年・和歌山県
『一花の夏』三木泉月 (みき・いつき)さん/小学6年・千葉県
『ザ・シティ~音楽を知らない町の物語~』モモ音 (ももね)さん/小学6年・北海道
『笑顔』ひすいさん /小学6年・大阪府
『泣けない赤鬼』青藤 糸 (あおふじ・いと)さん/小学6年・愛知県
『忘れられた記憶』坂本彬紘 (さかもと・あきひろ)さん/小学6年・岐阜県
『亡霊猫』高木 司 (たかぎ・つかさ)さん/小学6年・京都府
『あなたの願い、叶えます。』川田菜奈 (かわだ・なな)さん/小学6年・福岡県
『もう一度、親友になりたくて』森末彩日 (もりすえ・あやか)さん/小学6年・香川県
『ひーろー』雪森るな (ゆきもり・るな)さん/中学1年・京都府
『空気屋~空気、変えませんか?~』辻堂あかり (つじどう・あかり)さん/中学1年・東京都
『人機戦争』弥生 六 (やよい・むい)さん/中学2年・東京都
『図書室怪奇譚』柚月咲良 (ゆづき・さくら)さん/中学2年・福岡県
『一夏の出会いと別れと思い出と』赤羽すばる (あかばね・すばる)さん/中学3年・新潟県

 

一般部門 <金賞> <奨励賞>作品概要

〈金賞〉 『シークレット ブレス』 高杉六花 さん

【あらすじ】
第一志望校に落ちて、やる気ゼロ状態で進学した吉川さくら。なりゆきで入った吹奏楽部で出会ったのは、全校生徒あこがれのトランぺッター・伊吹先輩だった。かっこいいけれどクールで無愛想、近寄る女子は全員撃沈!の伊吹先輩は、さくらにはただ遠いだけの存在。先輩ファンの友だちをよそに、なるべく目立たないようにしていたのに……なぜか伊吹先輩と2人っきりで、秘密のレッスンを受けることになって!?

【受賞の言葉】
「このたびは「第7回つばさ文庫小説賞金賞」という素晴らしい賞をいただくことができ、心が震えるほどの喜びを噛みしめています。選考委員の先生方、編集部の方々をはじめ、選考に関わられた皆さま、誠にありがとうございました。
私は今、子育てをしながら大学院に通っています。子どもの心理や発達、教育学、特別支援教育学などを学んでいると、児童期の子どもたちに伝えたいことがたくさん溢れてきます。けれど私は保育者でも教育者でもないので、その機会がありませんでした。今回の受賞によって「物語で伝える」という手段を得ることができ、とても嬉しく、わくわくしています。主人公のさくらが物語の中で気づいたように、自分が進む道に悩んだとしても道の先を創るのは自分自身なのだなと、私も身をもって実感しています。
皆さんの心に届くような物語を書けるよう、そして長く愛される作家を目指し、これからも精進してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。」

 
〈奨励賞〉 『ピアニスト・ウォーズ!』 日部星花 さん

【あらすじ】
須藤凜香(すどう・りんか)には、とある特技がある。どんな曲でも、楽譜を見ただけでピアノで弾けてしまうのだ。あるとき、親友のちぃがコンクールで優勝し、式典のソロピアニストに選ばれた。友達の快挙に大喜びの凜香だったけど、大変なことを知ってしまう。なんと、この世には楽譜を【汚染】し、その曲を弾いた者を昏睡状態にさせる【汚染者】がいて、式典を狙っているらしい! 【汚染者】を倒す【バスター】黒木玲也(くろきれいや)とともに【汚染者】を止めようとする凜香は!?

【受賞の言葉】
「この度は、身に余る賞をいただきまして、大変光栄に思います。ありがとうございました。角川つばさ文庫読者の1人として、新しく作家になるにむけて、努力していきたいと思います。
小さな頃から本が大好きで、それはもう、無人島に遭難した時に何か1つ持っていけるならと聞かれたら、すぐに本と答えるほどでした。もちろん今もですが。今も放課後になれば、ほぼ毎日、クラスメイトをひっぱって図書室に行っています。
今回小説の題材にしたのは音楽、特にピアノでしたが、大体クラスに1人か2人はとってもピアノが上手い人がいます。残念ながら私は大して上手くはないですが、小説で天才ピアニストを書くと、天才になった気持ちになれてちょっといい気分になれました。いろいろな登場人物の、いろいろな人生を描けるというのは、小説を書く上の素敵な理由の1つだと思います。私もこれから出来るだけたくさんの人々の物語をつづっていけたら嬉しいです。」

 

「一般部門」選考委員選評

■あいはらひろゆき さん
作家。著書に『くまのがっこう』『がんばれ!ルルロロ』『クローバーフレンズ』など。

「今年も力作がたくさん集まりました。
まず、金賞の「シークレット ブレス」ですが、吹奏楽の厳しい練習や大会の臨場感などがよく伝わってくるすばらしい作品でした。選考に落ちても黙々と練習を続け、最後は代表の座を勝ち取る主人公の姿にはたくさんの共感が集まると思います。
また、奨励賞の「ピアニスト・ウォーズ!」は若い作家らしいフレッシュな作品でした。楽譜が汚染されるというアイデアも秀逸でした。ただ、全体的に表現が硬く、エンタテインメント作品としては課題が残りました。
残念ながら賞には入らなかった2作品ですが、まず「ドリームガールズ」は勢いがある筆致が魅力ですが、バスケットに取り組む姿勢が少し安易に見えてしまっているところが残念でした。「おそうじクラブはゴーストバスター?」は定番の学校オバケ物ですが、このテーマは数々の名作がありますので、それを超えるユニークなキャラクターや展開がほしかったです。来年も力作を楽しみにしています。」

 
■宗田 理 さん
作家。代表作『ぼくらの七日間戦争』。「ぼくら」シリーズは角川つばさ文庫でも人気。

「最終選考に残った四作はどれもうまく書けていたが、大賞に値する、読者をアッと驚かすような作品はなかった。題材も学園だけでなく、もっと視野を広げたものが出てくるかと期待していたのだが、それがなかったのは少し残念であった。
その中で最も優れていたのが「シークレット ブレス」だったので、金賞に推すことにした。
「ドリームガールズ」の寿命泥棒のアイディアはおもしろかったが、それがバスケットチームのストーリーにうまく活かしきれていないのが惜しかった。「ピアニスト・ウォーズ!」は、作品としては硬い文体の印象を受けたが、発想などに作者の将来性を感じたので奨励賞に決めた。「おそうじクラブはゴーストバスター?」は題材にもストーリーにも新鮮味がなかったので、賞外にした。
金賞の「シークレット ブレス」は、受験に失敗し落ち込んでいた少女が、進学した学校で吹奏楽部に入り、クールでイケメンの先輩に会う、という出だしまでは、よくある少女小説だ。だが、そこから展開するラブストーリーと、吹奏楽の練習でつまずきながらも次第に成長していく主人公が、本作ではよく書けていた。読み進めるうちに自然と主人公に感情移入してしまうので、長い作品ではあるが一気に読めてしまう。注文をつけるとすれば、先輩のキャラクターにはもう一考あってほしい。二人の間にハラハラドキドキするエピソードがあると、もっと魅力的な物語になる気がする。」

 
■本上まなみ さん
女優、タレントとして活躍する他、エッセイや絵本などの著作も多数。

「金賞受賞作は、吹奏楽のクラブ活動に打ち込む女子高校生の青春小説。吹奏楽が好き、この曲をみんなと一緒に奏でたい! という主人公のひたむきさ、純粋さが非常に爽やかでした。受験で志望校に落ちてしまったり、同級生に誤解されたことから人間関係につまずいたり、コンクールの選抜メンバーに選ばれなかったり。次々とやってくる試練に落ち込みながらも、諦めずに練習を積み重ねる姿は、読者に勇気を与えてくれるものと感じました。
奨励賞受賞作は呪われた楽譜、それを弾く者の魂が狙われるという発想のユニークさが魅力。悪に立ち向かう少年の動機や、ベートーヴェン、リストなど作曲家の情報、ピアノ曲の説明もわかりやすく好感が持てました。一方、もったいないなと感じたのは前半に説明文が多かったこと。この導入部をもう少し整理すればもたつきが解消し、よりスムーズに物語世界へ誘えると思います。是非これからも書き続けてください。
贈賞とはならなかった2作品、「ドリームガールズ」はバスケットボールをモチーフに、それぞれの個性を生かして活躍する様子は面白かったのですが、トントン拍子に話が進みすぎてしまうのがもったいなかったかと思います。「おそうじクラブはゴーストバスター?」は学校で幽霊退治という設定で既視感があるため、そもそものハードルが高かったと思います。これなら! という自分だけの強み、こだわりの分野を見つけて、また挑戦してください。次作も期待しています。」

 

こども部門 〈グランプリ〉〈準グランプリ〉作品概要

〈グランプリ〉『足跡の主』 山元麻央 さん

【あらすじ】
ある冬の朝、散歩に出かけた少女・マカは、雪の上に不思議な穴が並んでいるのを見つけます。これはなにかの足跡? でもこんな足跡をつける動物ってなんだろう? 持ち前の好奇心に動かされ、足跡を追いかけていったマカは、入ることを禁止されていた森の中で、意外な人物に出会って!?

【受賞の言葉】
「『足跡の主』は、小学5年生に時に国語の授業で書いた小説が元になっています。うまく書けた手ごたえもありました。将来は角川つばさ文庫などで活躍できるような作家になりたいと思います。」

 
〈準グランプリ〉『アンサー』 九月ねこ さん

【あらすじ】
数学教師をしている成瀬は、インターネット上の質問投稿サイトで出会った投稿者が、教え子の望月ではないかと気づきます。匿名の質問者と回答者の立場だからこそ、望月の将来の夢や、本当の気持ちを知ることができた成瀬。進路について、親身なアドバイスをしてみると…?

【受賞の言葉】
「『アンサー』は、私自身の体験を元に書き始めました。作品内の展開は自分で考えて書いています。将来はできれば作家になれればと思っています。」

 

角川つばさ文庫・角川つばさ文庫小説賞について

「角川つばさ文庫」は、2009年3月に創刊。「次はどんな本を読もう?」そんな子どもたちの「読みたい気持ち」を応援する児童文庫レーベルです。青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園、SF、ミステリー、ホラーなど幅広いジャンルの作品を刊行しています。レーベル名には、物語の世界を自分の「つばさ」で自由自在に飛び、自分で未来をきりひらいてほしい。本をひらけば、いつでも、どこへでも……そんな願いが込められています。

主な作品に2019年にアニメ映画化が決定している『ぼくらの七日間戦争』『新訳 ふしぎの国のアリス』『怪盗レッド』『いみちぇん!』『四つ子ぐらし』シリーズなど。毎月15日発行。

 
「角川つばさ文庫小説賞」は、小・中学生の子どもたちにもっと読書を楽しんでもらいたい、という願いを込めて2011年9月に創設された小説賞です。

★角川つばさ文庫オフィシャルサイト:https://tsubasabunko.jp/
★角川つばさ文庫小説賞オフィシャルサイト:https://tsubasabunko.jp/award/

 
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