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『大人の道徳』生きづらい時代を生きる現代人に贈る、先人たちからの時を超えた叡智

齋藤孝さん著『大人の道徳』

齋藤孝さん著『大人の道徳』

齋藤孝さん著『大人の道徳』(扶桑社新書)が、扶桑社より刊行されました。

 

官僚、政治家、スポーツ界、芸能界…… 連日テレビをにぎわせる不祥事には「大人の道徳」が必要だ!

このところ、政治の世界やスポーツ界、芸能界などの「非道徳的」な振る舞いが後を絶ちません。このような状況について、齋藤孝さん(明治大学文学部教授)は、「子どもたちに道徳を学ばせる前に、まず大人たちが学ぶべき」と厳しく指摘します。

 
「心」というのは移ろいやすいものです。「心」はいわば鏡餅みたいに、「精神の文化」と「身体の文化」の土台の上に支えられているととらえています。しかし現代人は「心」が肥大化し、「精神」と「身体」で支え切れなくなっています。当然、「身体」にも悪影響が出て、それがストレスになります。

人間の脳には怒りや不安や攻撃性を司る扁桃体と、その興奮を抑える前頭葉があります。ストレス状態になると扁桃体が興奮し、不安と攻撃性が一体となって増大しますが、人間はそれを前頭葉で抑えることによって、冷静さを保っています。この前頭葉を鍛えるのに「精神文化」は極めて効果的なのです。

しかし、現代人はこの前頭葉の訓練が足りないために働きが弱く、扁桃体の興奮を抑えきれずに衝動に任せてしまうということがあり得るわけです。

だからこそ「道徳」を身に付けることによって「精神」と「身体」の土台をしっかり作り、その上に「心」を乗せて、バランスを取ることが必要になるのです。―――『大人の道徳』扶桑社新書より

生きづらい時代を生きる大人たちに、先人たちからの時を超えた叡智である「道徳」を著者が伝えます。

 

本書の構成

はじめに――大人たちにこそ「道徳」は必須の〝能力〟

第1章 今までの価値観が通用しない時代
1 大人たちの非道徳的な振る舞い
2 変容する家族のカタチを踏まえた価値観の再構築
3 冷静な「世間の目」を自分の中に持つ

第2章 道徳=心+精神文化+身体文化
「心」――個人的で移り変わりやすい感情や気分
「精神文化」――共同体で共有される普遍的な意思、気構え、秩序
「身体文化」――礼儀作法、書道、武道など……

第3章 今の日本人が軽視する「礼」は形式的だからこそ意味がある
仁、儀、礼、智、信――5つの徳目
剣道でガッツポーズがいけない理由
「礼」で「心」を制御する
形式化されているから誰にでも通じる……

第4章 道徳のベース「理解力」と「対話力」を育むために文学に触れ「心」を知る
1 文学から「心」を学び人間を理解する
2 他者を理解するために対話を続ける
3 対話を続ける粘り
4 どうしても苦手な相手には「敬遠策」

第5章 ネット社会が増幅させる人間の負の感情を直視する
1 IT社会は今まで以上にコミュニケーション力が必要
2 SNSが中世の魔女狩りを現代に再現させた

第6章 他者とより良い人間関係を築くために道徳を実践する
1 日本人は押しが弱いが道徳が試されるのは行動時である
2 他者とより良い人間関係を築くための道徳
3 道徳は「できるか、できないか」
4 今汝(なんじ)は画(かぎ)れり

おわりに――精神文化と身体文化を受け継ぎ道徳を実践する

 

齋藤孝さん プロフィール

著者の齋藤孝(さいとう・たかし)さんは、明治大学文学部教授。昭和35(1960)年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。

『声に出して読みたい日本語』(草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくる。
『頭のよさはノートで決まる』『すぐ使える! 四字熟語』『西郷どんの言葉』(以上、ビジネス社)、『超訳こども「アドラーの言葉」』(KADOKAWA)、『こども孫子の兵法』『こどもブッダのことば』(以上、日本図書センター)など著書多数。

 

大人の道徳 (扶桑社新書)
道徳はキレイごとではありません。
先人たちが伝えてくれた「精神文化」と「身体文化」の結晶です。

よくビジネスパーソンに必要なスキルとして「IT・会計・英語」の3つが挙げられたりしますが、
私はここに「道徳」も入れたい! と本気で思っているほどです。

インターネットが世界中を駆け巡り、すべての情報が一瞬のうちに共有されるグローバル社会において、 人間関係はどんどん多様に、そして複雑になっています。

本来人を幸せにする技術が、人をおとしめたり、誤解したり、孤立化させる要因にすらなっています。
こうした閉塞感のただよう社会を生き抜くために必要なのが、本当の意味での「道徳」なのです。――(「はじめに」より)

 


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