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『蜂と蟻に刺されてみた』ヒアリは「チクッとくる軽い痛み」100種以上のハチやアリに刺されてわかったことを詰め込んだ昆虫エッセー

ジャスティン・シュミットさん著『蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』

ジャスティン・シュミットさん著『蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』

ジャスティン・シュミットさん著『蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ』(訳:今西康子さん)が、白揚社より刊行されました。

 

虫刺されの痛さの尺度「シュミット指数」を考案した、ジャスティン・シュミット博士による昆虫エッセーが登場!

去年ちまたを騒がせたヒアリ、夏の風物詩スズメバチとアシナガバチ、刺されたら最も痛いサシハリアリ……お馴染みの面々から、外国の恐ろしいハチ・アリまで実際に刺されたシュミット博士。

その痛みを毒液や生態と関連させるというユニークな手法で、ハチとアリの知られざる一面を明かしていきます。

 

シュミット指数とは

ながらく虫刺されの痛みが科学研究の対象になっていなかったことに気づいたシュミット博士は、自ら刺され、その痛さを数値にして記録することを考案。

痛みの強度をレベル1からレベル4の4段階とし、セイヨウミツバチに刺されたときの痛みをレベル2として基準に据えました。この研究はそのユニークさから2015年にイグ・ノーベル賞を受賞しました。

▲100種類以上の昆虫に、合計1000回以上刺されたというシュミット博士

▲100種類以上の昆虫に、合計1000回以上刺されたというシュミット博士

 

シュミット博士の素顔がのぞく昆虫記

みずから刺されるという研究スタイルはインターネットで人気を博し、「虫に刺されたがる物好き」などと評されることがしばしば。でも実は、研究をしていてうっかり刺されたときにその痛さを記録していたり、他の人が刺されるように仕向けたり、もう刺されるのはうんざりとこぼしたりと、伝説のように語られるシュミット博士の意外な人物像が浮かび上がります。

 
●「[ミツバチに]刺されるのはもううんざりなので、刺されないように気をつけているからだ。なぜ、うんざりかって? ハローウィンのキャンデーをずっと食べていると、数日で飽きてくるように、いつも同じハチに刺されていると、そのうちいやになってくる」(本文より)

 
●「会議の合間をみて、私たち[研究者]は数台のバスに分乗してカンガルー島を訪れた。その帰り道、ドライバーが道路沿いにあるブルドッグアリの大きなコロニーを指差して、バスを停めましょうかと言ってくれた。……よし、チャンスだ……何気なく誘って、みんなにも刺されてもらおう」(本文より)

 

ヒアリはあまり痛くない!?

2017年に日本に上陸し、世間を騒がせたヒアリ。本書では、外来ヒアリの侵入をゆるしてしまったアメリカの事例が紹介され、日本にヒアリが定着したときに起きるであろう事態を垣間見せてくれます。本書によると、ヒアリは人間が乱した生態系に侵入してくるのだそうです。

●「ヒアリにとって一番の相棒は人間……ヒアリという生き物は脚が六本生えた雑草のようなもの」(本文より)

気になるヒアリの痛みは、シュミット指数でレベル1。「刺されても大したことはない。……ミツバチよりも軽い痛み」と予想を裏切る事実が明かされます。強毒のアリとして報道されているヒアリですが、100種以上の虫に1000回以上刺された著者だからこその信頼のおける評価です。

 

ハチ・アリ82種に刺されたときの痛さ一覧付き

巻末の付録では、ユニークな記述で虫刺されの痛みを紹介。ミツバチとスズメバチ(北米産)の痛さが同じ「レベル2」だったりと、意外な発見も。

●ヒアリ(レベル1)「突然チクッとくる軽い痛み。真っ暗な部屋で照明を点けようとして、パイル地のカーペット上を歩いていたら、カーペット鋲が足に刺さったような感じ」(付録より)

●ホーネット(スズメバチの仲間。レベル2)「ずしんとくる強烈な一撃。若干のきしみ感。回転ドアに指をつぶされたような」(付録より)

●シュウカクアリ(レベル3)「悶絶するほどの激痛が12時間以上続く。筋肉組織が次から次へとヒト食いバクテリアに破壊されていくみたいに」(付録より)

●サシハリアリ(レベル4)「目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛る炭の上を歩いているような」(付録より)

 

ハチとアリを見る目が変わる本

素朴なギモンから、クスッとするトリビア、実用的な知識、不思議な生態、深遠な進化の歴史までを明かしていく本書。ハチやアリに対する見る目がガラリと変わること請け合いです。

 
<たとえば、こんなことがわかります>

●ハチに刺されないようにするには息を止める

●ミツバチとスズメバチ(イエロージャケット)の痛さはほぼ同じで、シュミット指数でレベル2

●刺される場所によって痛みは違い、舌をさされるとミツバチでも「死んだほうがまし」と思うくらい痛い

●ヒアリの巣を簡単に駆除する方法は、10リットルの熱湯を注ぐ

●スズメバチが農業の害虫駆除に役立っている

●刺されて一番痛い昆虫は、サシハリアリという南米のアリ

●ハチ・アリの毒は巣を襲う動物に痛みを与えて、巣を守るのが目的

●巣の規模が大きい虫のほうが、刺されるとより痛い 等々

 

本書の目次

第1章 刺された記憶

第2章 刺針の意義

第3章 史上初めて毒針を装備した昆虫

第4章 痛みの正体

第5章 虫刺されを科学する

第6章 きれいな痛み、むき出しの敵意――コハナバチとヒアリ

第7章 黄色い恐怖――スズメバチ、アシナガバチ

第8章 昆虫最強の毒――シュウカクアリ

第9章 孤独な麻酔使いたち――オオベッコウバチと単独性狩りバチ

第10章 地球上で最も痛い毒針――サシハリアリ

第11章 ミツバチと人間

付録 毒針をもつ昆虫に刺されたときの痛さ一覧

 

ジャスティン・シュミットさん プロフィール

ジャスティン・シュミットさんは、サウスウェスタン・バイオロジカル・インスティテュート所属の生物学者、アリゾナ大学昆虫学科研究員。

ハチ・アリ類に刺されたときの痛みを数値化した「シュミット指数(シュミット刺突疼痛指数)」の生みの親として有名。この研究は、2015年にイグ・ノーベル賞を受賞している。

 

蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ
虫刺されの痛さの尺度「シュミット指数」
その生みの親が自分の体で実験し、謎に包まれたハチとアリの生態に迫る!

虫刺されという現象の基本特性は「毒性」と「痛み」。毒性は生理学や毒性学の範囲だが、「痛み」は?
ながらく虫刺されの痛みが科学研究の対象になっていなかったことに気づいた著者は、自ら刺され、その痛みを記録することにした。
刺されると一番痛い昆虫、痛みの原因となる物質、ハチ・アリ類の防衛戦略と社会性の発達……素朴なギモンから深遠な進化の歴史まで、昆虫に身を捧げながら明らかにしていく異色の昆虫記。

:::::ハチ・アリ82種に刺されたときの痛さ一覧付き:::::
虫刺されの痛さをレベル1(弱)~4(強)にランク付けし、その痛さをユニークな記述で解説。
■ヒアリなんて、序の口!
・レベル1 ヒアリ――チクッとくる軽い痛み。
・レベル2 ホーネット(スズメバチの仲間)――ずしんとくる強烈な一撃。
・レベル3 シュウカクアリ――悶絶するほどの激痛が12時間以上続く。筋肉組織が次から次へとヒト食いバクテリアに破壊されていくみたいに。
・レベル4 サシハリアリ――目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛る炭の上を歩いているような。
[付録より]

 


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