『着飾らない辞世の言葉』哲学的に検証する、正しい人生の終わり方
鎌倉女子大学教授・福田喜一郎さんの著書『着飾らない辞世の言葉』が、幻冬舎ルネッサンス新社より発売中です。
人生は、「幸せだった」の一言では締めくくれないものである。
「往々にして、辞世の言葉は誠実さを失う」
誰もが死の直前、自分の人生は価値あるものであったと肯定したくなります。
ですが、それは自分で自分を偽っていることにはならないのでしょうか。
人生の不幸も抱きしめてこれに「同意」するからこそ、人生の本格的な終わりを迎えることができるのです。
本書は、シュンカタテシス論(同意論)を専門に研究している大学教授が、「人生の総括」について哲学的に検証した一冊です。
本書の目次
はじめに
第一章 言葉の大切さと同意論 言葉を奪われた人間の悲惨
第二章 ストア派のゼノン 知っていることと、これに対する同意と確信
第三章 ピュロンの懐疑主義 けっして何にも同意しない
第四章 デカルトの同意論 人間の誤りはまちがった同意が原因
第五章 スピノザの同意論批判 すでに知っていることに新たに同意することはない
第六章 ヤコービの確信感情 人間はすでに自分の存在と他者の存在を確信している
第七章 ウィリアムズのビリーフ論 言葉が同意を完成させる
あとがき
福田喜一郎さん プロフィール
著者の福田喜一郎(ふくだ・きいちろう)さんは、東京都出身。鎌倉女子大学教授。
1978年、上智大学文学部哲学科卒業、1980年、京都大学大学院文学研究科修士課程(西洋哲学史)修了。
1989年、鎌倉女子大学専任講師となる。その後、助教授を経て現在に至る。
2011年4月~2012年3月、マールブルク大学客員研究員。長年、カントおよび18世紀ドイツ啓蒙思想を研究しており、現在はストア派のゼノンが始めた同意論(シュンカタテシス論)に基いて、デカルト、スピノザ、ロック、ヒューム、カント、ヤコービの哲学説を検討。
著書に『Untersuchungen zu Kants Religionslehre』 (Marburg)、『日本カント研究』No. 1、No. 16(共著)、訳書に岩波書店版『カント全集』No.3、No.14(共訳)。