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『読書の価値』人気作家・森博嗣さんによる読書論!誰も言わない「読み方」を教えよう──。

人気作家・森博嗣さんによる体験的読書論『読書の価値』

人気作家・森博嗣さんによる体験的読書論『読書の価値』

NHK出版より、森博嗣さん著『読書の価値』(NHK出版新書)が刊行されました。

 

なんでも検索できる時代だ。娯楽だって山のように溢れている。それでも、本を読むことでしか得られないものがある──。

本書『読書の価値』は、著作発行累計1600万部を誇る人気作家・森博嗣さんが、並外れた発想力とアウトプットを下支えする、読書の極意を明らかにした一冊です。

 
本選びで大事にすべきただ一つの原則とは?
「つまらない本」はどう読むべきか?
漱石ってそんなに面白いですか?

きれいごと抜きに読書という行為の本質を突く、体験的読書論です。

 

森博嗣さんにしか書けない、あまりに「正直すぎる」内容

読書論といえば、古今東西の「名作」をお勧めしたり、速読や多読の「テクニック」を教えたりすることが多いもの。しかし、森博嗣さんがそんなことを書くはずがありません。

良識的な読書人にはとても言えないようなことを率直に、それでいてロジカルに述べていきます。たとえば……

・速読は読書とは言えない
・読書感想文ほど無意味なものはない
・「読みやすい本」は流動食のようなものだ
・夏目漱石の作品が面白いと思ったことは一度もない

など、歯に衣着せぬ直言が満載。森博嗣ファンならずとも、きっと痛快な気分になるでしょう。

 

本好きが直面する悩みにズバリ回答!

たとえば、読書になかなか集中できないことってありますよね。しかし森博嗣さんは、次のように述べます。

 
「読んでいるうちに別のことを考えてしまい、読書に集中できない、ということがあるけれど、それは願ってもない状況といえる。勉強や仕事で読んでいるのではないし、早く読み切る競争をしているわけでもない。集中しなければならない理由は一つもない。

たびたび中断して別のことを考えるのも良い。なにか思い出したらじっくりとそれを考える。文章が頭に入らないと気づいたら、少し戻って読み直せば良い。それは損をしたのではなく、文章を二回読めたのだから得をしたと思った方が正解だ。頭に入らなかったのは、なにか理由がある。それを考えてみよう。そちらの方が大事だと思う。」(本書162ページより)

 
遅々として進まない読書、その方がタメになるというのです。そのほか、「つまらない本」をどう読むべきか、専門書を読むために必要なセンス、など思わず膝を打ちたくなる話が満載です。

 

本邦初? 読書家とはいえない作家による読書論

実は、人より多く本を読んできたわけではないという森博嗣さん。子どものころは、字がうまく書けないこともあり、読書は苦痛以外のなにものでもなかったそうです。

けれども、本書では次のように書いています。

 
「しかし、いずれにしても明らかなことは、僕がもの凄く沢山のことをすべて本から学んできた、という事実である。文字がすらすらと読めないハンディを背負いながらも、とにかく本を読むしかなかった。知りたいことは、活字を追うことでしか得られなかったのだ。そして、本を読むことが僕にとって、いつの間にか日常になり、また、そういったインプットを体験していたからこそ、逆にアウトプットする仕事を得られたのである。」(本書21ページより)

 
本を読めなかった少年が、それでも本を読むことで世界を拓いていき、工学博士・ベストセラー作家へとなっていった軌跡は感動的です。あまり他に例のない、体験的読書論となっています。

 

本書の目次

まえがき
僕は文字がうまく書けなかった/読書嫌いだった理由/読書の価値とは何か……など

第1章 僕の読書生活
速読は読書ではない/僕が初めて買った本/日本に小説好きが少ない理由/優れた小説の条件/専門書を読むためのセンス/ある家庭教師の思い出……など

第2章 自由な読書、本の選び方
どのように本を選ぶか/本はすすめられて読むものではない/教養とは何か/「つまらない本」の読み方/僕の本の選び方/ベストセラを避けるべき理由……など

第3章 文字を読む生活
世間に文章下手が多い理由/雑誌の創刊号はなんでも面白い/「文字を書く」という苦痛/文章は何のためにあるか/上手な文章の条件/「広く読む」ことのメリット……など

第4章 インプットとアウトプット
僕は言葉で考えない/知識を蓄える意味/ただ文字を辿って読んではならない/読書感想文は無意味だ/真に意味のあるアウトプット/本はイメージを運ぶメディア……など

第5章 読書の未来
日本の特殊な出版事情/紙の本には横書きが合う/「読みやすさ」の罠/本作りの「中間業者」は消えていく/娯楽産業の限界/出版社は読者集団のままで良いのか……など

 

森博嗣さん プロフィール

著者の森博嗣(もり・ひろし)さんは、1957年生まれ。小説家、工学博士。

某国立大学の工学部助教授のかたわら、1996年に『すべてがFになる』で作家デビュー。小説に『スカイ・クロラ』『ヴォイド・シェイパ』、エッセィに『小説家という職業』『孤独の価値』など。

 

読書の価値 (NHK出版新書 547)
何でも検索できる時代にも、本を読む意味がある――。
わからないことは何でも検索できる時代だ。娯楽だって山のように溢れている。それでも読書でしか得られないものがある――。読書が苦手でしかたのなかった少年は、どのように本と向き合い、大学教授・ベストセラー作家となったのか。並外れた発想力と知的生産術を可能にする「読書の効能」がいま明らかに! 著作累計1,600万部超を誇る作家・森博嗣が、「きれいごと」抜きに語る体験的読書論。

 
デビューして二十数年になり、これまでに三百冊以上の本を上梓してきた。最初のうちは小説ばかり書いていた(というよりも依頼があったので、書かされていた)のだが、ここ数年、エッセィや新書を多く執筆している。僕としては、子供のときがそうだったように、虚構の世界よりは現実について書く方が「素直」な行動だと感じているし、未だに、自分で読むものはノンフィクションが九十九パーセントである。それなのに、何故こんな職業に就いてしまったのか、と不思議だ。今でも、ときどき首を捻ひねっている。
しかし、いずれにしても明らかなことは、僕がもの凄く沢山のことをすべて本から学んできた、という事実である。文字がすらすらと読めないハンディを背負いながらも、とにかく本を読むしかなかった。知りたいことは、活字を追うことでしか得られなかったのだ。そして、本を読むことが僕にとって、いつの間にか日常になり、また、そういったインプットを体験していたからこそ、逆にアウトプットする仕事を得られたのである。
(「まえがき」より抜粋)

 


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