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『ITエンジニアの「海外進出」読本』人の仕事を手伝うのはNG?外国人と働く日本人にありがちな勘違い

『ITエンジニアの「海外進出」読本』人の仕事を手伝うのはNG?外国人と働く日本人にありがちな勘違い

『ITエンジニアの「海外進出」読本』人の仕事を手伝うのはNG?外国人と働く日本人にありがちな勘違い

幻冬舎より、『ITエンジニアの「海外進出」読本』が刊行されました。

グローバル化が進み、外国籍の人と一緒に働くビジネスマンも増えてきました。異なる価値観を持つ人材が集まり、新しいビジネスや商品が次々と生まれている一方で、「みんなで助け合う」という日本人の感覚が、外国の人とのひずみを生むこともしばしば。

ITエンジニアとして海外で働いている著者も、日々その価値観の違いを痛感しています。

 

集団主義的な日本人、個人主義的な外国人

日本人には作業を分け合って助け合うという傾向があります。みんながみんなというわけではないにしても、仕事が遅れている人がいれば、それをカバーしてくれる人が出てきます。上司の命令の場合もありますが、多くの場合、話し合いで作業分担の見直しが行われます。この意味で日本人は、集団主義的だといえるでしょう。

これに対して、海外の人たちは、最初に決めた役割分担を見直すことはあまりありません。いったん役割が決まると、自分にできる作業量やリードタイムをまわりの人に宣言します。途中で誰かが周囲に助けを求めたときは、助ける人ももちろんいます。しかし、自分の担当以外の部分に遅れが発生しているからといって、自分から進んでフォローに入るということはありません。海外の人たちは個人主義的なのです。

 

責任感があるからこそ、人の仕事に手を出さない

自分の仕事以外に手を出さないのは、やる気がないからではなく、人の仕事を奪う可能性があるから、という理由もあるようです。
これに関して日本人は無頓着なことがあり、せっかく親切で手伝おうとしたのに、かえって迷惑がられる……といったトラブルにもなりかねません。

例えば、国民性でいえば、韓国人はわりと日本人と似ていて、他の人の遅れをカバーしようとする人が多いようです。また、性差でいえば、外国人でも女性は他の人のカバーに回る人が多い傾向にあります。

これはあくまで傾向であって、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではありません。また、例外的な人は、日本にも海外にももちろんいます。
ただ、前提として、「基本的に自分の分担以外には手を出さない人ばかりなんだ」と考えて、作業の計画を組む必要があります。

 

「フォロー」であっても、役割分担を明確に

外国の人が、他の人の仕事を自分から手助けしないのは、それによって自分の仕事が増えるだけという理由もあるかもしれません。

著者は以前、ブラジルのプロジェクトでトラブルが発生したので、取り急ぎ現地に飛んで、リーダーの仕事を手伝ったことがあったそうです。
仕事を手伝うことよりも、プロジェクト納期を絶対に守るとか品質を確実に担保するといった本気の姿勢を見せて、リーダーを鼓舞することが目的でした。

ところが、それが裏目に出てしまいました。「それはあなたに任せた仕事なのでよろしくお願いします」と、ことごとく逃げ腰の発言をされるようになってしまったのです。手伝うというスタンスではなく、お互いの役割と担当を正式に再定義するべきだったのだと思ったと言います。

残念ながら、日本的な「背中を見せる」というやり方は海外では通じません。手伝うにしても、明確な役割分担をして合意しておくことが大切です。

 

本書の目次

第1章 海外へと広がるITエンジニアのマーケット

第2章 現地で外国人と働き、システム導入を成功に導く──
市場価値が高まる「グローバルPMO」とは

第3章 合理主義? 契約社会? 日本式が通用しない海外のシステム導入プロジェクト

第4章 語学よりも特性をつかむことが重要。現地エンジニアとのコミュニケーションノウハウ

第5章 海外経験豊富な「ITコンサルタント」となってグローバル時代を勝ち残れ

 

著者プロフィール

■五嶋 仁(ごとう・ひとし)さん
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。2002年、海外で働きたいとの思いから(株)東芝に入社。グループ内外のアメリカ、タイ、中国、ブラジルの基幹(ERP)システム、グローバルSCMシステムで、多数のプロジェクトリーダー、PMOを経験。2007年、イー・ビー・ソリューションズ(株)入社。米国公認会計士。

■高木 右近日向(たかぎ・うきひこ)さん
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。メーカーSEとして石油・化学業向けのシステム開発に12年間従事。2002年、コンサルタントとしてキャリアアップすべくイー・ビー・ソリューションズ(株)入社。(株)東芝のグローバル・プロジェクトにおける本社側でのプロジェクトマネジメント支援などを行う。中小企業診断士。

 

ITエンジニアの「海外進出」読本
ITエンジニアの海外進出は、将来性とやりがいに満ちている!

今後IT業界で必要とされ、ポジションも報酬もアップしていく「市場価値の高い」人材とは、どのような知識やスキルを身につけている人なのか?

悩めるエンジニアに本書が示す一つの答えは、海外現地で活躍するシステム導入プロジェクトのマネジメント職(PMO)です。
PMOとして働くことで、今後ますますグローバル化していくビジネスにおいて欠かせない実践的な力が身につくうえに、多様な価値観の人をマネジメントするため、近年重要視されているダイバーシティへの対応力が備わります。
また、語学力が自然に磨かれるのはもちろん、海外の先進的なソフトウェアや開発方式にいち早く触れることも可能です。

本書では、海外プロジェクトをマネジメントする仕事の魅力と、具体的な現地のエピソードに基づいた、海外で働くうえでの注意点、外国人をマネジメントするためのポイントなどを解説します。

 


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