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『働く大人のための「学び」の教科書』生き残る人材は本を1トン読んでいる?100年時代を生き抜く“大人の学び方”

『働く大人のための「学び」の教科書』生き残る人材は本を1トン読んでいる?100年時代を生き抜く“大人の学び方”

『働く大人のための「学び」の教科書』生き残る人材は本を1トン読んでいる?100年時代を生き抜く“大人の学び方”

かんき出版より、東京大学 大学総合教育研究センター准教授・中原淳さん著『働く大人のための「学び」の教科書』が刊行されました。

 

僕たちはなぜ学び続けなければならないのか?

ベストセラーとなった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』(東洋経済新報社・刊)では、「100年ライフの時代には、80歳まで働くようになる」という予想が大きな話題となりました。

人生100年時代、ひとつのスキルや技能で“一生食べていける”時代ではなくなり、このことは40代・50代のミドル世代も、20代・30代の若手世代も、うっすら感じているようです。

では、一生働き続けるために、今から私たちはどんな準備をすればいいのでしょう?

「教養(リベラルアーツ)」に関する書籍や、100年時代に備えて行動する「大人の学び直し」に関する学習参考書も売れています。
長期化する仕事人生を全うするためには、「学び直すこと」が重要になります。しかし、私たちはそもそも「大人の学び方」を教わってきていません。子どもの頃は、学び方や勉強の仕方を、学校や塾の先生、そして親が教えてくれました。しかし「大人の学び」はどうでしょう。みなさんは「大人の学び方」を、どこかで、誰かから学んだことがありますか?

 

「100年時代」はキャリアを登って下りて、新たに登る時代

ピークに達した自分のキャリアを横ににらみつつ、長い仕事人生をまっとうするべく、「下山」したり、再び山に向かう「再登山」が求められます。仕事人生の長期化に面喰ってしまい、下山途中で「遭難」する人も急増。

ピークに達した自分のキャリアを横ににらみつつ、長い仕事人生をまっとうするべく、「下山」したり、再び山に向かう「再登山」が求められます。仕事人生の長期化に面喰ってしまい、下山途中で「遭難」する人も急増。

昔なら、市場環境が安定していて、ひとつの組織に入ったら、右肩上がりで給与があがり、転職なども少なく、一生ひとつの組織に奉職できた時代においては、ことさら学び直すことや変化を求めることは、それほど必要なことではありませんでした。

しかし、私たちは、今、ゲームのルールが日々変化していく社会(ゲームチェンジング社会)に生きています。この社会において、変化に対応していくためには、学び、変化し続けていくことがどうしても必要です。

大人が、新世代の子どものレベルに堕してしまわないためには、来し方を振り返り、未来を構想し、次のステージに自らを振り向ける。つまり、学び続けていくことが必要になるのです。

 

読書とは「自分のなかに地図をもつこと」

大人の学びにとって、最も重要な要素のひとつが「本を読むこと」です。本を読み、知識をアップデートしておくことは、不確実性の高い時代にあって最も重要です。

「本を1トン読む」とは、ヤフー株式会社の宮坂学社長の言葉です。宮坂社長は多読家で、2012年からはじまったヤフー株式会社の変革を率いた経営者で、かつて著者も参加した研修で「本を1トン読め」と若いメンバーに檄を飛ばしていました。「本を1トン読め」は、「メタファ」ですが、その言葉には「本をたくさん読め」という言葉では表しきれない重みがあります。

首都圏のサラリーマンの平均通勤時間は往復116分(2014年不動産サービスアットホーム調べ)。単純計算でも、年間では2万5520分になります。
これは、時間に換算すれば425時間です。この時間を読書にあてている人と、スマホでのゲームにあてている人では、「自分のなかの地図の広がり」や「他者の経験の代理学習」に明確な差が生じることは言うまでもないことです。

 

やることをOSとアプリに例えて、わかりやすく解説

「3つの原理原則」はOS、「7つの行動」はアプリと捉えると理解しやすい。OSは(1)背伸び、(2)振り返り、(3)つながり。アプリで注目なのは「(2)本を1トン読む」!

「3つの原理原則」はOS、「7つの行動」はアプリと捉えると理解しやすい。OSは(1)背伸び、(2)振り返り、(3)つながり。アプリで注目なのは「(2)本を1トン読む」!

まずChapter 1では、今、大人が大人になってまでも、なぜ学ばなければならないのかを論じています。環境の変化、仕事人生の長期化など、わたしたちは、大人になっても「学び」とよいかたちでつきあっていかなければならないことを論じます。

つづくChapter 2と3では、学びの原理原則として「背伸びの原理」「振り返りの原理」「つながりの原理」を、そして、7つの具体的な行動「行動(1)タフな仕事から学ぶ」「行動(2)本を1トン読む」「行動(3)人から教えられて学ぶ」「行動(4)越境する」「行動(5)フィードバックをとりに行く」「行動(6)場をつくる」「行動(7)教えてみる」を紹介しています。

Chapter 4では「学びの履歴書」として、7人のビジネスパーソンの「学びの様子」を事例として紹介しています。7人のビジネスパーソンは、いずれも、自ら学ぶことに向き合い、そのスタイルを築かれた人たちです。

本書には、大人が効果的に学ぶために、ぜひ参考にしたい原理原則や行動原理がちりばめられています。我流のまま、徒手空拳で学ぶことに向き合うのではなく、本書をもとに、自ら学びたいものを学ぶスタイルを確立してみてください。

“「会社の看板」に頼らず「自分」に力をつける”と考えたMさん(46歳・男性)のケース。著者の解説とともに、ご本人の「学びから得たもの」や「うまくいかなった学び」を掲載。

“「会社の看板」に頼らず「自分」に力をつける”と考えたMさん(46歳・男性)のケース。著者の解説とともに、ご本人の「学びから得たもの」や「うまくいかなった学び」を掲載。

著者は、人材育成・キャリア開発・リーダー育成に関する様々な研修、ワークショップを実施する東京大学 大学総合教育研究センター准教授。これまで行ってきた人材開発研究のアカデミックな知見に基づいて解説していますが、本書では、専門用語を極力排した平易な読みやすい文章で紹介しています。
就活生、新入社員、管理職、定年退職を控えている方など、世代を問わずに学びを深める一冊です。

 

本書の目次

Chapter1★僕たちはなぜ学び続けなければならないのか?
・キャリアを登って下りて、そしてあらたに登る時代
・下山で遭難する人たちの共通点
・何もしなければ「次世代の子ども」より劣る存在になる

Chapter2★「大人の学び」3つの原理原則
<原理原則(1)>背伸びの原理
<原理原則(2)>振り返りの原理
<原理原則(3)>つながりの原理

Chapter3★「大人の学び」7つの行動
<行動(1)>タフアサイメント=タフな仕事から学ぶ
<行動(2)>本を1トン読む
<行動(3)>教えられて学ぶ
<行動(4)>越境する
<行動(5)>フィードバックを求める
<行動(6)>場をつくる
<行動(7)>教えてみる

 

中原淳さん プロフィール

著者の中原淳(なかはら・じゅん)さんは、東京大学 大学総合教育研究センター准教授。東京大学大学院 学際情報学府(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。

北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等をへて、2006年より現職。「大人の学びを科学する~働く大人の学びと成長」をテーマに、企業の人材開発・リーダーシップ開発について研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。

おもな単著(専門書)に『職場学習論』『経営学習論』(東京大学出版会)、一般書に『研修開発入門』(ダイヤモンド社)、『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書ラクレ)、『はじめてのリーダーのための 実践!フィードバック』(PHP研究所)など、他共編著多数。人材育成・キャリア開発・リーダー育成に関する様々な研修、ワークショップを実施。研究の詳細は、Blog:NAKAHARA-LAB.net(http://www.nakaharalab.net/) に。

 

働く大人のための「学び」の教科書
本書は、東京大学大学総合教育研究センターで、「大人の学びを科学する」をテーマに、学びと自己成長の関係を研究し続けている著者が、「学ぶ、成長する、変わる」のサイクルをまわせば、人生は楽しいという主張のもと、今の仕事を介して、読書やワークショップなどの勉強会やセミナーに参加して、あるいは大学院などの教育機関で、どうすれば最も効果的に、かつ継続して学べるか、変わり続けることができるかを、図やイラストを使って解説。

本書の特徴は2つ。
勉強法の類の書籍は、著者自身の体験が語られているものが大半だが、本書は10万人以上のビジネスパーソンの考え方と行動を客観的にみてきた著者が、大人の学びの原理原則、やるべき行動を体系だてて整理しているということ。

ふたつめは、そもそも学び続けるにはどうしたらいいか、全員一律の答えはなく一人ひとり、自分自身の最適解を導き出すしかないのだが、本書ではそれを「他者の学びから学ぶ」べく、試行錯誤を繰り返しながら学び続けている7人のビジネスパーソンを紹介。
本書を読めば、若手の人は長期化する仕事人生に今からどう備えていけばいいか、中年以降の人は、あと一山、二山越えていくために、今からやるべきことは何かが見えてくる。

 


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