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文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』 映画作家・大林宣彦さんの軌跡を振り返る総特集

文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』 映画作家・大林宣彦さんの軌跡を振り返る総特集

文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』 映画作家・大林宣彦さんの軌跡を振り返る総特集

映画作家・大林宣彦さんの軌跡を辿るムック、文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』が河出書房新社より、10月28日に刊行されます。

 

余命3ヶ月宣告を受けて撮った最新作『花筐/HANAGATAMI』の公開を前に 大林家・家族座談会も!

大林監督は、個人映画作家としてスタートしたのち、約2000本におよぶTVコマーシャルを制作。1977年、『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出後は、〈尾道三部作〉とよばれる『転校生』(82)、『時をかける少女』(83)、『さびしんぼう』(85)をはじめ、薬師丸ひろ子さん主演で角川アイドル映画路線を打ち立てた『ねらわれた学園』(81)、純文学の映画化である『廃市』(83)、『野ゆき山ゆき海べゆき』(86)、山田太一さん原作のファンタジック・ホラー『異人たちとの夏』(88)、〈新・尾道三部作〉とよばれる『ふたり』(91)、『はるか、ノスタルジィ』(93)、『あした』(95)、ベストセラー小説を独自の手法で映像化した『理由』(04)、『その日のまえに』(08)、そして〈古里映画〉と銘打ち、戦争や震災の記憶から紡ぎ出される物語を圧倒的なスケールで描き出した『この空の花 長岡花火物語』(12)、『野のなななのか』(14)など、多彩な題材を、しかし一貫した〈大林映画〉として完成させ、世に放ってきました。

2017年12月16日には、新作『花筐/HANAGATAMI』の公開が決定。檀一雄さんの純文学を映画化したこの作品は、大林監督が40年前、自身の商業映画第1作として企画していたもの。
ところが、撮影開始直前、大林監督は肺がんと診断され、一時は「余命3ヵ月」とも言われました(監督いわく、現在は「余命未定」になった、とのこと)。そんななかで制作された『花筐/HANAGATAMI』は、まさにキャリアをかけた執念の一作であり、現代に生きるわれわれに痛烈なメッセージを訴えかける映画ともなっています。

そうしたタイミングで刊行される本書は、監督とともに〈大林映画〉をつくりあげてきた妻でプロデューサーの大林恭子さん、娘の大林千茱萸さんとの家族座談会、尾美としのりさん、常盤貴子さん、根岸季衣さん、南原清隆さん(ウッチャンナンチャン)、寺島咲さん、窪塚俊介さん、山崎紘菜さんら映画を支えてきた俳優たち、スタッフたちのインタビュー、『時をかける少女』などに出演した伝説的な元俳優・高柳良一さん、声優に初挑戦した『この世界の片隅に』(16)などで女優としての評価を高め、熱烈な大林映画ファンであることを公言するのんさん、大林監督と同じく戦争をテーマにした近作『野火』(14)が話題を呼んだ映画監督の塚本晋也さんらのコメント、さらにゆかりのある人々によって書かれたエッセイや論考、過去の対談記事の再録など、大林監督の軌跡を振り返るのにふさわしい充実の内容です。

 

『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』の目次 〔敬称略〕

大林映画のことばたち
写真アルバム OB’S MEMORIAL
家族座談会 大林恭子×大林千茱萸×大林宣彦 家族で映画ばかり撮ってきた
大林宣彦フィルモグラフィー
大林監督江
高柳良一(ニッポン放送総務部長)
のん(女優)
塚本晋也(映画監督)
久石譲(作曲家)
小林亜星(作曲家)
ロケット・マツ(パスカルズ)
石川浩司(パスカルズ)
今関あきよし(映画監督)
原將人(映画監督)
犬童一心(映画監督)
井口昇(映画監督)
本広克行(映画監督)
糸曽賢志(映像監督)
椹木野衣(美術評論家)
笹公人(歌人)
竹石研二(深谷シネマ支配人)
北沢夏音(ライター)
インタビュー
尾美としのり 大林映画、悲喜こもごも
常盤貴子 いま、大林映画に出演できる幸福
根岸季衣 大林映画の常連役者として歩んだ幾年月
南原清隆 大林監督はいつも心のなかに夕凪の風景をもっている
寺島咲 安心感と緊張感がつねに一緒にある現場
窪塚俊介 唯一無二の“純映画”をつくる人
山崎紘菜 メッセージを受け止め、伝えること
桂千穂 四〇年後の“決着”
阪本善尚 僕の撮影監督としての骨格は大林映画で築かれた
三本木久城 監督の生理にもとづいて生み出される映像
竹内公一 “絵空事”としての映画美術
KAN いつか見たミカン箱の上で
呉美保 大林組が映画と社会への入口だった
大林宣彦エッセイ選
やがてかなしいドラキュラ
闇–ひとりぼっちの空間
恋の相手はもうひとりの自分
ひとの想いのなかで死者も生きる
対談再録
泉谷しげる×大林宣彦 通りすがりのぼくたちが垣間見たのはプラスチックなお祭り騒ぎ
石上三登志×大林宣彦 ジュブナイルだからこそ語れる大人の心の痛み
宮部みゆき×大林宣彦 107人素顔の俳優の渾身の演技
コラム
真魚八重子 大林宣彦の明朗ホラー&ミステリー
モルモット吉田 大林映画はどう評価されてきたか
エッセイ
淀川長治 私のシネマ交遊 ~大林宣彦~
山中恒 その出会い
赤川次郎 崖っぷちの時代に
内藤誠 大林さんとわたしとプラス・アルファ
大森一樹 媒酌人・大林宣彦様
黒沢哲哉 “失われゆくもの”を刻み込むために 映画の言霊をひろう
コミック
三留まゆみ
とり・みき
森泉岳土
論考
草森紳一 失声の悲しい饒舌 大林宣彦の透視
金子遊 フィルム・アンデパンダンの時代
樋口尚文 あらゆる映像ハードは「大林映画」を降臨させるためにある
中川右介 大林映画と角川映画から始まった
渡辺武信 大林宣彦メモランダム 主として二〇〇〇年以降の作品について
野村正昭 私的大林映画体験=大林映画考

 

文藝別冊 大林宣彦 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
実験映画、コマーシャルフィルム、角川映画、尾道三部作、戦争や日本の「古里」と向き合った近作群――他に類を見ない独自の世界観を築き上げてきた映画作家・大林宣彦の軌跡を振り返る。

 


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