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『もしもがんを予防できる野菜があったら』遺伝子組み換え食品は悪者じゃないのです!

山根精一郎さん著『もしもがんを予防できる野菜があったら』

山根精一郎さん著『もしもがんを予防できる野菜があったら』

山根精一郎さん著『もしもがんを予防できる野菜があったら』が幻冬舎より刊行されました。本書は遺伝子組み換え食品に関するトピックを網羅した一冊です。

 

遺伝子組み換え食品は体に良くないって本当?

遺伝子組み換え食品には「何となく怖い」「体に良くない」「大企業が支配」といったネガティブなイメージを持つ人が少なくありません。

 
しかし著者は、長年に渡って遺伝子組み換えの事業に携わってきた経験から、食糧問題や地球温暖化問題の解決に貢献するテクノロジーであり、日本の農業を救う可能性を秘めていると主張しています。

当然私たちの健康や生活にも深く関わります。本書はそんな遺伝子組み換え食品に対する誤解を解き明かし、メリットをていねいに説明した本です。

 

遺伝子組み換え食品でガンが予防できる?

遺伝子組み換え食品のメリットは多くあります。消費者にとっては栄養価がアップした食品が食べられるようになり、生産者である農家にとっては収穫量の増加、農薬散布量の減少をもたらします。

大量生産と安定供給が可能となることで生ずる食糧問題への貢献、温室効果ガス削減による地球温暖化問題への貢献、さらに、医療分野では、iPS細胞の開発やコロナワクチンを含む治療薬の大量生産を可能とするなど、多くのメリットがあります。

毎年多くの日本人を悩ませる花粉症も、遺伝子組み換え食品を使った治療法が現在注目されていますし、がんを予防する食品の研究開発も行われています。

 
これだけメリットのある遺伝子組み換え食品がなぜ普及しないのか。そこには、ネガティブな先入観があるからにほかなりません。

本書ではその疑問を細かく取り上げます。例えば「遺伝子組み換え食品を食べるとがんになる?」といった疑問に著者はデータを用いて鮮やかに否定して行きます。

「子供や孫への影響がある?」という疑問には「遺伝子組み換え技術で生み出されるタンパク質は消化管で分解され蓄積されない」と科学的に否定しています。

 

先入観にとらわれず、科学者の心を持つことの大切さ

著者は科学的なものの見方をすることの重要性を本書の中で繰り返し述べます。それはどのようなものなのでしょうか。

 
◎根拠に乏しい情報を鵜呑みにして自分の考えにしない
◎最先端の科学者の主張に耳を傾ける
◎「絶対に安全な食品」「絶対に食べてはいけない食品」と白黒の二項対立を作らない(そもそも安全性が100%確認されている食品は存在しない)
◎情報に対しては常に批判的、客観的な態度を持つ

専門的な知識を身に着けなくとも、ちょっとした心がけでフェイクニュースに操られないようになります。

 

遺伝子組み換え作物の第一人者が説く真実

著者の山根精一郎さんは、農業に関する事業を幅広く手がける株式会社アグリシーズの代表取締役社長を務める人物です。東京大学大学院を修了後、大手バイオ化学メーカーの日本法人である日本モンサント株式会社に約40年に渡り勤務、後半は日本法人の代表取締役も務めました。

25年以上にわたって遺伝子組み換え作物に携わってきた人物であり、いわば遺伝子組み換え食品のプロと言えます。あいまいなイメージの次元にとどまらず、客観的かつ科学的な立場に立ったプロの言葉に触れてみてはいかがでしょうか。遺伝子組み換え食品に対する先入観がなくなるはずです。

 

本書の構成

 
まえがき
なぜ「科学者の心」を持つべきなのか?
新型コロナワクチンもiPS細胞も「遺伝子組み換え技術」 ほか

第1章 誤解だらけの遺伝子組み換え食品
誤解1:食べるとがんになりそうで怖い?
誤解4:虫が死ぬ作物を食べて安全なわけがない?
誤解6:消費者や生産者の選択の自由が奪われてしまう?
誤解8:子や孫に影響が出るのではないか? ほか

第2章 なぜローマ教皇は「遺伝子組み換え」を認めたのか?
遺伝子組み換え技術とはいったいなんなのか?
遺伝子組み換え技術に関するリスクはないのか?
世界中の研究者や公的機関が安全性を認めている
バチカンが「遺伝子組み換えで生産性を上げるべき」と表明 ほか

第3章 遺伝子組み換え食品 世界の常識・日本の非常識
スーパーの納豆にはこんな表示がされている
なぜ日本では「遺伝子組み換え作物」が栽培されていないのか?
世界29か国で栽培され、栽培面積も増加し続けている
ウイルスに負けないハワイのパパイヤ「レインボー」 ほか

第4章 もしもがんを予防できる野菜があったら
スギ花粉症を治すコメが開発されている
抗酸化力がある作物でがんを予防する
健康増進に役立つ「GMナタネ」や「GMダイズ」の開発
ゴールデンライスが貧困層の子どもたちを救う ほか

第5章 「持続可能な社会」を作る方法
批判して一番得するのは誰なのか?
食料自給率37%の日本こそ「栽培先進国」に
地球温暖化でも作物がグングン育つ
温室効果ガスを減らす不耕起栽培ができる ほか

 

著者プロフィール

著者の山根精一郎(やまね・せいいちろう)さんは、1947年生まれ。東京都出身。東京大学理学部生物学科植物課程に進学し、東京大学大学院農学部植物病理学博士課程修了。株式会社アグリシーズ代表取締役社長。

1976年に日本モンサント株式会社に入社し、その後、遺伝子組み換え技術の第一人者として第一線で活躍。2002年から代表取締役社長に就任。2017年3月に退職し、同年4月に株式会社アグリシーズを設立。農業・食品・医療・環境などの分野に遺伝子組み換え技術が持つ大きな可能性を感じ、遺伝子組み換え技術を通じて世の中に貢献したいと考えている。

 

もしもがんを予防できる野菜があったら 「遺伝子組み換え食品」が世界を救う
山根 精一郎 (著)

●スーパートマトで病気知らず
●花粉症を治すお米
●害虫に負けないトウモロコシ
●青魚に豊富なEPA/DHAが大豆から摂れる……

実は日本人が世界一「遺伝子組み換え食品」を食べている?
第一人者が教える、SDGsな食卓の未来

 


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