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『119番と平穏死 「理想の最期」を家族と叶える』25年在宅医療に携わった医師が教える、平穏な最期を迎えるために知っておくべきこと

長尾和宏さん著『119番と平穏死 「理想の最期」を家族と叶える』

長尾和宏さん著『119番と平穏死 「理想の最期」を家族と叶える』

長尾和宏さん著『119番と平穏死 「理想の最期」を家族と叶える』が、大和書房より刊行されました。

 

「平穏死」を望む一方で「蘇生拒否問題」が取り沙汰される日本の医療のリアル

15万部のベストセラー『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)や『痛くない死に方』(ブックマン社)の映画化も控えた話題の著者、長尾和宏さんの最新刊『119番と平穏死 「理想の最期」を家族と叶える』は、メディアでも話題となった「蘇生拒否」問題に絡め、家族との最期を後悔せずに迎えるための手立てを指南する一冊です。

 
■日本の医療は「平穏死」とはほど遠い

たとえ高齢で回復の見込みがなくても、患者を生かし続けるのが日本の医療。延命措置を始めると、医師も家族もその後の判断は容易ではないという。最期は安らかに迎えたくても、日本の医療とのギャップが「蘇生拒否」問題を引き起こしています。

 
■119番は、穏やかな最期を脅かす運命の分かれ道

119番要請=「フルコースの蘇生処置と延命治療受ける」意思表示であると心得てほしいと長尾さんは指摘します。
高齢で体力が無く、回復の見込みがなく、家族が延命治療の継続を望まないと申し出ても、簡単には後戻りできないのが日本の医療の現状です。

 
■回復見込みのない8割の人が延命治療で管に繋がれたまま病院で亡くなっている

厚労省「平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、自身が末期がんのとき、多くの人が延命治療を望まないという結果が出ています。しかし回復の見込みがない約8割の患者が、延命治療で管につながれたまま、最期を迎えている現実があります。

 
■119番のリスクも知っておく

もし搬送先の病院で死亡が確認されると、救急医によっては警察に通報する場合があるそうです。事件性がないか調べるための検死、家族への事情聴取、自宅の現場検証が行われる場合もあります。これでは亡くなった家族を悼む間もないですね。最悪のケース「殺人者」扱いされ、後々トラウマになってしまった家族もいるそうです。

 
■東京都で施行された新たな条例

2019年12月より東京都消防庁で新条例が施行されました。心肺停止状態で救急車を呼んだ後も、患者のリビングウィルが確認でき、かかりつけ医と連絡できれば「心肺蘇生不要」と判断され、蘇生措置も病院の搬送も中止できるようになったようです。

※リビングウィル…「自分の命が不治かつ末期であれば、延命措置を施さないでほしい」と宣言する「生前意思」

 
自分自身はもちろん、家族の最期についても、「平穏」にその時を迎えられるかどうか、知っておくべきことが書かれた一冊です!

 

本書の構成

序章――119番は、穏やかな最期を脅かす運命の分かれ道

1章 119番の先に待っていること
救急車を呼ぶ意味、考えていますか?
119番は「フルコースの蘇生処置を」というメッセージ
8割の人が延命治療を受けて、病院で亡くなっています  他

2章 119番の裏で起きていること
119番がつながった瞬間から消防法が発効します
救急隊にはほぼ裁量がありません
救急隊は病院側しか見ていません  本人の意思を尊重する法律がありません 他

3章 幸せな119番と不幸な119番、そしてその間
意識が戻らないまま、3年生きた100歳の患者さん
「死」はいったい誰のものか
「救急車を呼ばない」という選択肢をした家族 他

4章 理想の最期を叶えるための終活
「緊急人生会議」のススメ
信頼できる在宅医の見つけ方
満足のいく在宅医療は「訪問看護師」が要です
60歳からリビング・ウィルを残しておく
おひとりさまは冷蔵庫に張り紙を 他

 

著者プロフィール

著者の長尾和宏(ながお・かずひろ)さんは、医学博士。医療法人社団裕和会理事長。長尾クリニック院長。一般財団法人日本尊厳死協会副理事長。日本慢性期医療協会理事。日本ホスピス・在宅ケア研究会理事。一般社団法人エンドオブライフ・ケア理事。関西国際大学客員教授。

2012年『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)がベストセラーに。著書に、『糖尿病と膵臓がん』『痛い在宅医』『痛くない死に方』(以上、ブックマン社)、『病気の9割は歩くだけで治る!』(山と渓谷社)など。

 

 


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