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『スゴ母列伝 いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける』岡本かの子ら伝説の「スゴ母」たちが現代の母親の呪縛を解く!

堀越英美さん著『スゴ母列伝 ~いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける~』

堀越英美さん著『スゴ母列伝 ~いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける~』

母性と自己犠牲に感動を強いる「道徳教育」の問題をあぶりだした話題作『不道徳お母さん講座』の堀越英美さん著『スゴ母列伝 ~いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける~』が、大和書房より刊行されました。

 

”お母さん幻想”よ、サヨウナラ――岡本かの子、青山千世、リンドグレーン、モンテッソーリなど古今東西スゴ母たちの生きざま

「正しい母」になりきろうとするのではなく、自分を貫いて独特な育児をする型破りな母親=「スゴ母」。

自我を捨てて子どもに尽くす聖母も、子どもの自我を自分の自我と同一視する毒母も、母子一体型という意味ではいずれも日本的な母親像です。

ひるがえって「スゴ母」は、強烈な自我を持つあまり、子どもの自我と真正面からぶつかり合います。

(c)梶谷牧子 岡本かの子

(c)梶谷牧子 岡本かの子

作家の岡本かの子が、息子である芸術家の岡本太郎さんを当時、柱に縛って仕事に励んでいたという育児伝説はあまりに有名。

(c)梶谷牧子 マリー・キュリー

(c)梶谷牧子 マリー・キュリー

娘への手紙に「数学の問題」をしたためる、日能研みたいなお母さんキュリー夫人。

(c)梶谷牧子 青山千世

(c)梶谷牧子 青山千世

婦人運動家・山川菊栄の母、青山千世はおそらく当時、「日本一頭の良い女の子」でした。

青山千世は、東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)開校当時の首席入学生。明治初年代の幻のような男女同権の空気を目いっぱい吸って最先端の学問に目を見開きながら、おてんばな女学生生活を満喫しました。明治政府の女子教育の方針が変わってからは、千世も家庭に入って子育てと家計のやりくりに追われましたが、その教養と社会への問題意識は、娘の山川菊栄に引き継がれました。

 
鳩山春子は、政治家の鳩山由紀夫さん・邦夫さん兄弟の曾祖母に当たる元祖・教育ママ。子どものころから女子力よりも勉学一筋に生きましたが、「女に学問はいらぬ」という明治の空気の中でたびたび妨害に悩まされます。結婚後は息子たちに、早期教育を施す「良妻賢母」ぶりを喧伝することで、女にも学問が必要であることを世間に訴えかけました。当時執筆した育児書『我が子の教育』は女学校を出た新中間層の主婦たちの教育熱に火をつけてベストセラーに。

 
リリアン・ギルブレス。20世紀初頭に労働環境の合理化を求めたギルブレス夫妻は、「1ダースなら安くなる」という”箱買い”精神で子どもを12人育てました。リリアンは、科学的管理を家庭に適用して、つらい家事を時短化。こうして生まれたのが、現代では当たり前になった「フットペダル付きゴミ箱」「冷蔵庫のドアの内側の棚」「壁の電気スイッチ」などです。お母さんになったからって、家事が好きになるわけじゃありません。

 
その他、知的障害児や貧困層の子どもたちの教育の可能性に目を向け、その能力を引き出すことに成功したカリスマ教育者マリア・モンテッソーリ。

モンスター級のコミュニケション能力を持ったアメリカ人文化人類学者マーガレット・ミード。

脳科学者・養老孟司さんの母で、女医の草分けだった養老静江。息子の孟司さんが「いくつになっても壁でした」と恐れる母は、子どもよりも恋と仕事を優先させ、最後まで「わがまま」を貫きました。

自作の映像化の条件として長女・紅葉さんの出演を要求したという親バカエピソードで知られるベストセラー推理作家、山村美紗さん。

作家・アストリッド・リンドグレーンは、「遊び死に」しそうなほど自由に遊んだ子ども時代の気持ちを生涯、忘れませんでした。女らしさ、母らしさの押し付けに抗い、子どもの我が子と一緒に遊んで、道徳や教訓抜きの楽しい児童文学『長くつ下のピッピ』を書き上げました。

 
いずれの母もとてつもない人物で、育児の参考にはまずならないでしょう。が、いかんともしがたく自分であり続ける彼女たちの姿は、自分は自分にしかなれないということを私たちに教えてくれます。

どこにもいない「正しいお母さん」像を内面化して、自分かかけ離れていることに落ち込んでいる場合じゃない。そんな古今東西の「スゴ母」11人に注目したのが、本書です。

 
◆武田砂鉄さん推薦!

人間にとって最も大切なのは、「私はこう思う」を邪魔されないこと。
そして、邪魔しないこと。
ここに連なる母たちは、それを信じ抜いた人たちだ。

 

本書が注目する「スゴ母」たち

<豪華スゴ母たち>

■岡本かの子 ――岡本太郎の「不思議な母」
■マリー・キュリー ――「キュリー夫人」とふたりの娘
■青山千世 ――婦人運動家山川菊栄の母は「日本一頭のいい女の子」
■三島和歌子 ――「いだてん」の、あのスゴ母
■鳩山春子 ――明治社会を「大冒険」した元祖・教育ママ
■リリアン・ギルブレス ――「仕事を科学する」の先駆者は12人のママ
■マリア・モンテッソーリ ――カリスマ教育者の知られざる「苦悩」
■マーガレット・ミード ――娘を「研究・発表」し続けた母の人生
■養老静江 ――恋とワガママを貫いた養老孟司の母
■山村美紗 ――ミステリー界の女王の不器用な愛情 
■アストリッド・リンドグレーン ――『長くつ下のピッピ』は遊び大好き母から生まれた

そのほか、黒柳朝(黒柳徹子の母)/桐島章子(桐島洋子の母)/桐島洋子(桐島かれん・ノエル・ローランドの母)/小池恵美子(小池百合子の母)/樹木希林(内田也哉子の母) なども掲載

 

著者プロフィール

著者の堀越英美(ほりこし・ひでみ)さんは、1973年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。

著書に、『女の子は本当にピンクが好きなのか』『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)など。翻訳書に、『ギークマム 21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』(共訳/オイラリージャパン)、『世界と科学を変えた52人の女性たち』(青土社)、『ガール・コード プログラミングで世界を変えた女子高生二人のほんとうのお話』(Pヴァイン)がある。二女の母。

 

スゴ母列伝~いい母は天国に行ける、ワルい母はどこへでも行ける
堀越 英美 (著)

正しい母親になりきろうとするのではなく、自分を貫いて独特な育児をするスゴい母、それを本書では「スゴ母」と呼びたい。

自我を捨てて子どもに尽くす聖母も、子どもの自我を自分の自我と同一視する毒母も、母子一体型という意味ではいずれも日本的な母親像である。
ひるがえってスゴ母は強烈な自我を持つあまり、子どもの自我と真正面からぶつかり合う。

スゴ母たちは、母親を監視する世間の目に追い立てられ、「少しでも育児を間違えたら取り返しのつかないことになる」という思い込みにハマりがちな現代の母親に希望を与えてくれる、実にありがたい存在なのである。
(本文より)

 


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