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『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』わずか5年で利益を15倍にした運送会社の「心の経営」とは?

宮田博文さん著『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』

宮田博文さん著『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』

宮田博文さん著『社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。』が、かんき出版より刊行されました。

 

社員募集に100倍以上の応募が集まる人気企業

近年、大きな問題となっている危険な“あおり運転”。
そんなあおり運転防止を減らす取り組みで話題になっているのが、関西に本社を構える運送会社、宮田運輸です。

 
運送の仕事でもっとも大切なのは安全の確保。宮田運輸では、数年前よりトラックのうしろにドライバーの子どもが描いたイラストやメッセージをラッピングする「こどもミュージアムプロジェクト」という取り組みをはじめました。

これにより、ドライバーが丁寧な運転を心掛けるようになり、事故率は約4割も減ったそう。また、ラッピングされたトラックのうしろを走るクルマの運転手も、子どもの絵が目に入ることでやさしい気持ちになる効果もあり、実際に“あおり運転”をされることが減ったというドライバーからの反響もあるといいます。

 
また、ドライバーの急発進や急停車が減ったことで燃費も向上するという嬉しい副産物もありました。この取り組みは現在、宮田運輸だけではなく150を超える事業者に広がり、海を渡った中国の企業にも採用されています。

 
こうした、数々の革新的な取り組みを推進しているのが、宮田運輸4代目社長の宮田博文さん。社長就任後、わずか5年で利益を15倍にした、敏腕社長です。その経営理念はシンプルに「人を信じること」にあります。

 

各メディアでから注目される「人を信じる経営」

「こどもミュージアムプロジェクト」のほかにも注目されているのが、毎月1回日曜日に開催している「みらい会議」です。

この会議では、各事業所の売上、利益、目標値との差、前年比などすべての数字を全従業員に開示しているだけでなく、社内にかぎらず、すべての人に開放しています。

さらに、この会議は、事前に予約すれば参加費無料で、同業他社の社員でも他業種からの見学でも主婦や学生でも参加できるオープンなもの。

こうすることで、社員を評価し管理していたころよりも、参加者が主体性を持って次々とアイデアを出し、現場の改善策が次々と提案されているそうです。

 
こうした愛のあるクリーンな取り組みにより、「厳しい」「ブラック」と揶揄され、人材不足が当たり前となっている運送業界において、宮田運輸では社員募集に対し100倍以上の応募が集まる、人気の企業へと成長しました。

これらの宮田運輸の取り組みは、NHK『おはよう日本』などや読売テレビ『ウェークアップぷらす』などなど各メディアで紹介され、中国、韓国などでも有名になっています。

 
しかし、この「人を信じる経営」が生まれる以前は、4代目社長である宮田さんは「結果を出せ」と社員にプレッシャーをかけ、目標で縛る経営を行っていたといいます。

そんな宮田社長の心に大きな変化をもたらしたのは、ある一つの悲しい出来事がきっかけでした。

 

現場のヘルプの声に全国の事業所から駆け付ける

2013年8月に、宮田運輸のトラックによる死亡事故が発生。亡くなった男性には、小学校4年生の娘がいました。4代目社長の宮田博文さんは、これに大きなショックを受けました。

なぜなら、事故が起きた原因は、幹部や社員たちに数字を達成させるための多大なプレッシャーをかけていた経営者である自分自身にあると思ったからです。そこから、宮田運輸は変わりました。

現在では、かつてのギスギスした雰囲気はなくなり、「困ったときは大騒ぎ」という合言葉をもとに助けを求めることで、周囲の人々が現場に駆け付けます。ときには、岡山県の岡山事業所、愛知県の半田事業所、さらに埼玉県の埼玉深谷事業所からと、全国から続々と助っ人が集まるなど、自主的に「助け合う」社風が育まれています。

 

本書の構成

プロローグ

第1章 モチベーションの源泉は「人の役に立てること」
「助け合う社風」はどのように生まれたのか?

第2章 1人ひとりを信じて任せる
従業員の主体を生みだす仕組み

第3章 リーダーに最も必要なのは「愛」
人をとことん信じ切る「心の経営」

第4章 目先の数字は絶対に追わない
目の前の困っている人を助け続ければ、会社と従業員は成長する

第5章 人は「管理」ではなく「幸せ」になってこそ成長する
従業員と社会を幸せにするプロジェクト

エピローグ

おわりに

 

宮田博文さん プロフィール

著者の宮田博文(みやた・ひろふみ)さんは、1970年大阪府生まれ。高校卒業後、祖父が創業した宮田運輸に入社。運転士、専務などを経て2012年社長に就任。当時、売上高は25億円、経常利益は1000万円弱だったが、19年3月期は売上高40億円、経常利益1億5300万円に拡大。

社長就任当初、従業員に対する管理を強め、数字を上げようとしたことが引き金となり、死亡事故が発生。そこから方針を大転換。現在は、従業員をとことん信じる「心の経営」をモットーとしている。その経営手法は、国内のみならず、中国、韓国などアジアの経営者からも注目されており、毎年多くの企業が視察に訪れている。

2007年、稲森和夫さんが主宰する経営塾「盛和塾」に入塾。2018年6月に行われた中国北京主催の盛和塾全国大会では、3200人もの経営者の前で講演した。

死亡事故をきっかけに同社がはじめた、トラックに子どもの絵をラッピングして、事故抑止につなげる仕組み「こどもミュージアムプロジェクト」は、現在150社以上の企業が参加。国内のみならず、中国、韓国など海外の官公庁、企業からも大きな注目を集めている。

また、同社が行っている、すべての従業員、社外の人誰もが参加できる経営会議「みらい会議」には、全国各地から数多くの人が参加している。NHK『おはよう日本』、読売テレビ『ウェークアップ! ぷらす』などメディア出演多数。

 

社長の仕事は社員を信じ切ること。それだけ。
宮田 博文 (著)

極限まで効率を求める「生産性至上主義」の経営は、従業員を「コスト」と考え、疑う経営だと言えます。これでは、従業員はただ言われたことを効率よくこなすだけの存在となり、助け合うことも、人の役に立とうとすることもなくなります。そう考えると、「人」を中心に物事を考える経営は当たり前のことではないでしょうか。そして、それを実践するためには、従業員を心の底から信じることが不可欠なのです。

 


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