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『中高年ひきこもり』40~60代のひきこもりが61.3万人の衝撃!根本的な要因は日本の独特な社会構造にあった!?

藤田孝典さん著『中高年ひきこもり 社会問題を背負わされた人たち』

藤田孝典さん著『中高年ひきこもり 社会問題を背負わされた人たち』

“不寛容大国”ニッポンで増え続ける中高年ひきこもりの実態に迫った、藤田孝典さん著『中高年ひきこもり 社会問題を背負わされた人たち』(扶桑社新書)が、扶桑社より刊行されました。

 

年老いた親×ひきこもりの子ども=8050問題に解決策はあるのか?――親との確執、パワハラで離職、うつ病……ひきこもりの原因は多岐にわたるが、根本的要因は日本の独特な社会構造にあった!?

中高年ひきこもりが想像以上に増えています。
2018年の内閣府調査では、40歳から64歳までの中高年ひきこもりは、推計値ですが、61.3万人が存在しており、15~64歳までのひきこもりの全国推計の数は115万人です。

 
この調査では、ひきこもりの半数以上が40歳以上であると報告されており、若年層よりも中高年層のひきこもりの方が数としては多いのではないか、という調査報告が社会に衝撃をもたらしました。

もはやひきこもりは若者特有の問題ではなく、中高年と「8050(ハチマルゴーマル)問題」に象徴されるような高齢者家族の問題が明らかになってきました。

 
本書では、ひきこもり問題が従来の若者の問題、精神医学の問題という狭い範囲の課題としては捉えていません。より広範な視点から、社会全体、日本全体に広がる構造的な問題として取り上げていきます。

 

本書の構成

 
第1章 中高年ひきこもりとは何か

「中高年ひきこもりとは何か」を明らかにしていきます。その際には最新の内閣府の調査結果を中心に、民間支援団体の報告書も概観していきます。そして、過去の議論を振り返りながら、ひきこもりの定義、当事者や家族はどのような問題を抱えているのか、をまとめています。

 
第2章 中高年ひきこもりの実態

中高年ひきこもりの実態に焦点を当てて、具体的に4人の当事者の声を聞いいています。登場するのは、場面緘黙(かんもく)症で、職場の人間関係に苦労し、精神科での不適切な対応に苦慮したという41歳の女性、大学を出て就職した後、半年で離職したという49歳の男性、小学5年生で、性差別によるいじめで不登校になったという40歳で体は男性、性自認ジェンダーの人、高校2年で不登校になり、その後にうつ病、強迫性障害が悪化したという40歳の女性。4人のインタビューから、中高年ひきこもりとはどんな状態なのかを浮き彫りにしていきます。

 
第3章 なぜ中高年ひきこもりが生まれるのか

どこから中高年ひきこもりが生まれるのか、その発生原因に迫っていきます。

 
第4章 中高年ひきこもりにどう向き合えばいいのか?

中高年ひきこもり問題の相談先、関係機関を紹介しつつ、ひきこもり家族会や支援者、当事者たちが語る提言や対応策をまとめています。従来のように、専門家が語る「8050問題」やその対策ではなく、当事者視点から何が必要かを明らかにしていきます。

 

藤田孝典さん プロフィール

著者の藤田孝典(ふじた・たかのり)さんは、1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(2012年度)。

ソーシャルワーカーとして現場で活動する一方、生活保護や生活困窮者支援のあり方に関する提言を行う。著書に、『貧困クライシス 国民総「最底辺」社会』(毎日新聞出版)、『下流老人』『続・下流老人』(ともに朝日新聞出版)、『貧困世代』(講談社)のほか、共著に『未来の再建』(筑摩書房)、『闘わなければ社会は壊れる』(岩波書店)など。

 

 


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