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【第17回『このミステリーがすごい!』大賞】倉井眉介さん『怪物の木こり』が大賞 優秀賞に井上ねこさん『殺戮図式』

第17回『このミステリーがすごい!』大賞 受賞作発表!

第17回『このミステリーがすごい!』大賞 受賞作発表!

宝島社が主催する第17回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作が発表されました。
なお、次回より新設されることが決定した映像化を前提とした賞「U-NEXT・カンテレ賞」を、今年の1次選考通過作品の中からサプライズで選考しています。

 

大賞作は”サイコパスVSサイコパス”「このミス」史上最凶のミステリー! 優秀賞は最年長受賞の65歳

第17回『このミステリーがすごい!』大賞は、応募総数449作品の中から、1次選考(24作品通過)、2次選考(7作品通過)を経て、次の通り受賞作が決定しました。

 
■大賞
倉井眉介(くらい・まゆすけ)さん
『怪物の木こり』

■優秀賞
井上ねこ(いのうえ・ねこ)さん
『殺戮図式(さつりくずしき)』

■U-NEXT・カンテレ賞
登美丘丈(とみおか・じょう)さん
『その男、女衒(ぜげん)』

 
大賞を受賞した倉井眉介さんは、1984年3月生まれ。横浜市戸塚出身、戸塚育ち。帝京大学文学部心理学科卒業。学生時代より社会心理学、発達心理学などに興味を持つ。卒業後、フリーターをしながら執筆を続けていたが、2018年に就職。ガスボンベの管理会社で作業員として働いていたところ『このミス』大賞を受賞。趣味は自転車。左利き。

優秀賞を受賞した井上ねこ(応募時筆名:猫吉)さんは、1952年12月生まれ、長野県岡谷市出身、在住。名古屋で40年間暮らす。中京大学法学部法律学科卒業。学生時代に将棋同好会、SF研究会などに所属。測量会社に勤務し、定年退職後、古物商の免許を取りネット古書店を経営。詰将棋パラダイス半期賞、日めくり詰将棋カレンダー山下賞受賞。趣味は詰将棋創作、読書、ゲーム。座右の銘は「人生なんとかなる」。

U-NEXT・カンテレ賞を受賞した登美丘丈(応募時筆名:浪華壱)さんは、1969年生まれ。大阪府出身、大阪市在住。会社員。

 
倉井眉介さんには賞金1200万円が、井上ねこさんには賞金200万円が贈られます。お二人受賞作品は2019年1月から順次、書籍化される予定です。

また、U-NEXT・カンテレ賞を受賞した登美丘丈さんの『その男、女衒(ぜげん)』は、連続ドラマ化の予定です。

 

第17回『このミステリーがすごい!』大賞 受賞者および受賞作品について

■大賞『怪物の木こり』(倉井眉介さん)

倉井眉介さん

倉井眉介さん

【あらすじ】
主人公の二ノ宮は、辣腕弁護士にしてサイコパスのシリアルキラー。対する敵は、被害者の脳をかち割って脳を奪う殺人鬼、通称・脳泥棒。事件の背後には、人格をあやつる「脳チップ」の存在が・・・。

【受賞コメント】
大学卒業後、10年間フリーターをしながら執筆を続けていました。34歳になり、さすがに筆を一旦置くつもりでガスボンベの管理会社に就職を。日々、ボンベを転がしていたところ、乱歩賞の最終選考に残り、さらに『このミス』大賞の大賞受賞と、人生って本当にわかりません。

【執筆のきっかけ】
海外の映像作品をよく観るのですが、アメリカのドラマ『デクスター』の主人公が殺人鬼でありながら『人』でもあろうともがく姿をみて、「『人』であろうとするのではなく、実際に『人』になってしまったサイコパスの話でも面白いのではないか」と思ったことから、この作品を執筆しました。

<選評>
・ぶっ飛んだ設定の面白さに加えて、テンポのよさと意外性のあるプロットの魅力が光る(大森望さん)
・飽きさせない話運び、毒の強いキャラクターの描き方などにおいて抜きん出ていた。勢いがあり強い個性が感じられた。(吉野仁さん)

 
■優秀賞『殺戮図式(さつりくずしき)』(井上ねこさん)

井上ねこさん

井上ねこさん

【あらすじ】
名古屋を舞台に、連続老女殺人事件の謎に挑む、警察ミステリー。

【受賞コメント】
まさか、私が『このミス』大賞・最年長受賞者としてコメントを書くことになるとは思いもしませんでした。応募したのも締め切りギリギリで、来年にしようかなんて弱気になったこともありました。世の中なにが起こるかわかりませんから、あきらめたらだめですね。受賞したとはいえ、今はスタート地点に立っただけ。これからが本番と考え、がんばりたいと思います。

【執筆のきっかけ】
10年前にアイデアが閃いたが、長編小説を書くだけの技術がなく、11年間毎月ショートショートコンテストに応募するという荒行を決行。執筆期間3年を経て応募作が完成。次回は派手な趣向の長編ミステリーを、と考えています。

<選評>
・ロジカルながら意表を突くプロットの転がし方も堂に入ったもの。ゲーム性のある本格ミステリー。(大森望さん)
・何より驚いたのは、犯人が仕掛けた謎のゲームの真相。このジャンルのミステリーにまだこんな手があったとは!(香山二三郎さん)

 
■U-NEXT・カンテレ賞『その男、女衒(せげん)』(登美丘丈さん)

【あらすじ】
妻を失った“女衒”の復讐劇と偽装結婚から始まるメロドラマの二重奏。
八戸で缶詰工場を営む中年男・佐藤幸造は、女衒(ぜげん)と称する男の提案を受け、中国人女性・李雪欄と偽装結婚した。籍を入れるだけで金がもらえるなら「一度くらい冒険するのもいいかもしれない」と思ったのだ。ホステスの母親に捨てられて施設で育ち、歌舞伎町の顔役になった女衒は、妻を自殺させた男達への復讐を続けていた。李は中国にいる夫の治療費を稼ぐため、女衒に斡旋されたマッサージ店で働いていた。
一年後。末期肝臓癌を宣告された佐藤は上京し、身元を伏せて李に逢い、本物の夫に嫉妬する。いっぽう”最後の復讐相手”に辿り着いた女衒は、黒幕の正体と己の過去に直面していた。
壮絶な過去を持つ新宿の斡旋屋、見知らぬ相手と擬装結婚した中年男、夫のために出稼ぎをする中国人女性──三人の境遇や想いを交互に示すことで、復讐譚とメロドラマが並走していく。(1次選考委員 福井健太氏(書評家)選評より)

<選評>
この物語の軸になるのは、日本の裏社会で生きるしかなかったある男の壮絶な復讐劇です。現代日本の大都市に蔓延る闇、そしてそこに横たわる人間味あふれるドラマが繊細に描かれており、かつ映像化した際のエンタメ的な伸びしろを感じさせ、拝読した瞬間に「チャレンジしたい」と思わせる内容でした。このたび、サプライズでのU-NEXT・カンテレ賞として連続ドラマ化できることを、プロジェクトチーム一同大変嬉しく思っております。ぜひご期待ください。(U-NEXT・カンテレ賞選考会)

 

『このミステリーがすごい!』大賞とは

『このミステリーがすごい!』大賞は、ミステリー&エンターテインメントブックガイド『このミステリーがすごい!』を発行する宝島社が、新時代の新しいミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設した新人賞です。大賞賞金は文学賞最高額である1200万円。受賞作はすべて書籍化されます。

これまで、第153回直木賞を受賞した東山彰良さんや、累計1000万部突破の『チーム・バチスタの栄光』シリーズの海堂尊さんなどの作家を輩出しています。受賞作品からは多数のベストセラーが生まれ、『さよならドビュッシー』(中山七里さん/2013年映画化・主演:橋本愛さん、2016年テレビドラマ化・主演:黒島結菜さん・東出昌大さん)、『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』(梶永正史さん/2016年テレビドラマ化)、『一千兆円の身代金』(八木圭一さん/2015年テレビドラマ化)、『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(岩木一麻さん/2018年テレビドラマ化)など、映像化作品も多数世に送り出しています。また、受賞には及ばなかったものの将来性を感じる作品を「隠し玉」として他の受賞作と同様に書籍化しており、『スマホを落としただけなのに』(志駕晃さん/2018年11月映画公開予定)などの話題作も生み出しています。

【「U-NEXT・カンテレ賞」について】
次回の第18回『このミステリーがすごい!』大賞から新設される、連続ドラマ化を前提とした新賞。今回は特別に応募作の中から1作品をサプライズ選出。

 
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