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平野啓一郎さん10年ぶりの短篇集『富士山』が刊行

『マチネの終わりに』『ある男』『本心』の平野啓一郎さんによる10年ぶりの短篇集『富士山』が新潮社より刊行されました。

 

あり得たかもしれない人生の中で、なぜ、この人生だったのか? 自分の人生を愛し、誰かを愛するための小説

京都大学在学中の1998年に『日蝕』で芥川賞を受賞し、その後四半世紀以上にわたって話題作を発表し続け、近年では『マチネの終わりに』『ある男』『本心』と立て続けにベストセラーを放っている平野啓一郎さんが、3年ぶりの新作小説『富士山』を発売します。

 
本書は5篇の短篇からなり、短篇集としては、2014年刊行の『透明な迷宮』以来、10年ぶりとなります。また、収録作の「ストレス・リレー」が2021年11月にNHK京都局のスペシャルドラマになるなど、雑誌発表時から話題となった「名短篇」を詰め合わせた作品集です。

 
【あらすじ】

些細なことで、私たちの運命は変わってしまう。
あり得たかもしれない幾つもの人生の中で、 何故、今のこの人生なのか?──その疑問を抱えて生きていく私たちに、微かな光を与える傑作短篇集。

◆「富士山」
結婚を決めた相手のことを、人はどこまで知っているのか。

◆「息吹」
かき氷屋が満席だったという、たったそれだけで、生きるか死ぬかが決まってしまうのだろうか?

◆「鏡と自画像」
すべてを終らせたいとナイフを手にしたその時、あの自画像が僕を見つめていた。

◆「手先が器用」
子どもの頃にかけられた、あの一言がなかったら。

◆「ストレス・リレー」
人から人へと感染を繰り返す「ストレス」の連鎖。それを断ち切った、一人の小さな英雄の物語。

 
★特設サイト:https://k-hirano.com/mt.fuji/
※本書の特設サイトでは、収録されている5篇の冒頭が試し読みできるほか、高浜寛さんによる『息吹』の試し読みマンガを公開しています。

 

平野啓一郎さん コメント

あり得たかもしれない幾つのもの人生の中で、何故、今のこの人生なのか?──
幸福の最中にあっても、不幸の最中にあっても、この疑問が私たちの心を去ることはないだろう。
誰かを愛するためには、自分の人生を愛せないといけないのか?
それとも、自分の人生を愛するために、私たちには、愛する誰かが必要なのか?
些細なことで運命が変わってしまう。これは、絶望であるかもしれないが、希望でもあるだろう。私たちの善意は、大抵、ささいなもののように見えているのだから。私たちが前を向くきっかけは、確かに、どこにでもあり得る。

 

著者プロフィール

(c) Tamaki Yoshida

(c) Tamaki Yoshida

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)さんは、1975(昭和50)年、愛知県生れ、北九州市出身。京都大学法学部卒業。1999(平成11)年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した「日蝕」により芥川賞を受賞。以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。

著書は小説作品として『日蝕・一月物語』『葬送』『高瀬川』『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』(第59回芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『ドーン』(第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞)、『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』(第2回渡辺淳一文学賞)『ある男』(第70回読売文学賞)、『本心』などがある。評論、エッセイとして『私とは何か「個人」から「分人」へ』『「カッコいい」とは何か』『死刑について』、『三島由紀夫論』(第22回小林秀雄賞)などがある。

 

富士山
平野 啓一郎 (著)

あり得たかもしれない人生の中で、なぜ、この人生だったのか?
『マチネの終わりに』『ある男』 『本心』の平野啓一郎、10年ぶりの短篇集。

 
【関連】
『富士山』特設サイト|平野啓一郎

 


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