発表から半世紀、M.B. ゴフスタイン『おさかなごはん』が新訳で復刊
発表からほぼ半世紀を経ても全く色褪せない、アメリカの絵本作家M. B. ゴフスタインの『おさかなごはん』(原題:FISH FOR SUPPER)が新訳にてトンカチより復刊しました。
静かで強い、おばあちゃんの毎日。
誰もが歳をとり、誰もが食べて眠り、出かけて戻る。
たんたんと、普通にしっかり生きている、私のおばあちゃんのパーフェクトな日々。
『おさかなごはん』は、一人暮らしのおばあちゃんの日常を描いています。朝5時に起き、釣りに出かける彼女の姿は、時が止まったかのような静けさと繰り返しの中にありながら、自然と同調して生きていくことの喜びに触れています。現代社会において「品のある暮らし」を実践することは容易ではありませんが、彼女の毎日はその大切さと可能性を教えてくれます。
ゴフスタインの絵はシンプルな線でありながらも、決して情報量を失わず感情にあふれています。私たちはページをめくるたびに、湖に浮かんだ船のように心が揺さぶられます。おばあちゃんと私たちは同じ風景の同じ時間の中に漂っているのです。
この本には現代的なテーマが多く含まれています。エコロジカルでサステナブルな生活、心の余裕と規律、いつまでも楽しんで生きること、そして老い。1976年の初版時より大きくせり上がってきたこれらのテーマに、おばあちゃんの生活は静かな示唆を与えてくれます。
『おさかなごはん』は、ただの児童書ではありません。むしろ、大人が自分の人生を振り返り、未来を想い描くための指南書です。M.Bゴフスタインがなぜ、孤高の伝説的絵本作家であると言われるのか、それは『おさかなごはん』を1枚めくればわかるはずです。
著者プロフィール
M. B. ゴフスタインは、1940年生まれ、アメリカ・ミネソタ州セントポール出身。ゴフスタインは幼少の頃、本というものがあまりに素晴らしいので、人間が作ったものとは思えず、神様がくれたものだと思っていた。そして人が書いたということを知って以来、本を書く人になりたいと思ってきた。
大学卒業後、ニューヨークに移り絵本作家として活動を開始。1966年に最初の絵本を出版。シンプルな線、スピリチュアルで哲学的なストーリーが児童書の枠を越えて影響を与える。1989年以降は小説を執筆。晩年は自然や天国についての物語や詩を書いた。2017年77歳の誕生日に没。
おさかなごはん M. B. ゴフスタイン (著), 佐々木 美香 (編集) 伝説的絵本作家、M. B. ゴフスタインが1976年に出版した傑作『FISH FOR SUPPER』(原題)が新訳・新装版にて『おさかなごはん』として待望の復刊。 |
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