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「第23回新潮ドキュメント賞」候補作が決定 村岡俊也さん、小沢慧一さん、六車由実さん、森合正範さん、杉本貴司さんの計5作品

新潮文芸振興会は8月7日、第23回新潮ドキュメント賞の候補作を発表しました。

 

「第23回新潮ドキュメント賞」候補作

第23回新潮ドキュメント賞の候補作は次の通りです。

 
【第23回新潮ドキュメント賞 候補作】 ※刊行順

◎村岡俊也さん『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』(新潮社)

◎小沢慧一さん『南海トラフ地震の真実』(東京新聞)

◎六車由実さん『それでも私は介護の仕事を続けていく』(KADOKAWA)

◎森合正範さん『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)

◎杉本貴司さん『ユニクロ』(日経BP)

 
なお、今回の選考結果は8月29日(木)に発表されます。また、贈呈式は10月11日(金)に開催予定です。

 

新潮ドキュメント賞について

新潮ドキュメント賞は、財団法人「新潮文芸振興会」が主催。ノンフィクション作品(雑誌掲載も含む)を対象とし、「ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品」一篇に授与される文学賞です。

なお、以前は「新潮学芸賞」の名称で2001年まで開催されていましたが、2002年からノンフィクションを対象とする「新潮ドキュメント賞」と、評論・エッセイを対象とする「小林秀雄賞」とに分離しています。

 
第23回は、令和5年7月1日から令和6年6月30日までを対象期間としています。
選考委員は、池上彰さん、梯久美子さん、櫻井よしこさん、藤原正彦さん、保阪正康さん。

受賞作には、記念品および副賞として100万円が贈られます。

 

穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って
村岡 俊也 (著)

「今年は天才がいるよ」。東京藝大の卒業作品展で中園の油彩画を観た彫刻科の教授は、そう感想をもらした。この直感は的中し、その後、中園の作品は東京都現代美術館や神奈川県立近代美術館に所蔵され、六度の個展開催、グループ展への出品など、評価と人気の高まりはとどまるところを知らない。 著者の村岡俊也はこの藝大教授と偶々アルバイト先で出会ったことから、中園の存在を知る。また、奇しくも鎌倉の美大予備校で中園に絵を教えた講師とは旧知の仲だった。めぐりあうべくして中園にめぐりあった村岡はご両親の紹介などを受け、中園を知る人たちから丹念に話を聞いていく。そこで浮かびあがってきたのは、絵画作品と同じくらいに不可思議で、魅力あふれる人物像だった。甘いマスクとは裏腹に危険な場所に赴くことを好み、都心やヨーロッパで野宿してまわる。向こう見ずで、天使のような慈愛に満ち、親交のあった人たちや彼女たちの回想するエピソードは青春映画のワンシーンのよう。150冊ものノートには自身や周囲、絵画への悩みや葛藤も綴られ、若くして手にした成功とは別に暗い影に囚われていた。夭折したアーティストの伝記や評伝は数あれど、圧巻の大傑作です。

南海トラフ地震の真実
小沢慧一 (著)

発生確率70~80%→実は20%!?
地震は日本のどこで起きてもおかしくない。 なのに、南海トラフ地震ばかりが確率の高さの算出で 「えこひいき」されている? 「科学ジャーナリスト賞」受賞の新聞連載を書籍化?
私が南海トラフ地震の確率が「水増し」されていることを初めて 知ったのは2018年。それまで科学的根拠に基づき算出されている と思っていた確率が、いい加減な根拠をもとに政治的な決められ 方をしていたことに、唖然とした。 また、取材をしていくと、防災予算獲得の都合などから、南海ト ラフ地震が「えこひいき」されて確率が高く示されるあまり、全国の他の地域の確率が低くとらえられて油断が生じ、むしろ被害 を拡大させる要因になっている実態も見えてきた??。 (まえがきより)
西日本から東日本の太平洋側を中心に、大きな被害が予想される「南海ト ラフ地震」。この地震がこれから30年以内に起きる確率を、政府は70%~ 80%と予測する。この数値の出し方に疑問を持つ記者が、その数字を決定 した会議の議事録や予測の根拠となる室津港の水深を記した古文書など を探し出し、南海トラフの確率の出し方が「えこひいき」されている真実 を浮き彫りにするノンフィクション。

それでも私は介護の仕事を続けていく
六車 由実 (著)

『驚きの介護民俗学』から10年、「介護」という営みに見えてきた新境地。

デイサービスを我が家の一階に移し、軌道に乗り始めた矢先のコロナ禍。想像以上の困難に直面した約3年、「介護」とはいかなる営みかを現場で問い続けながら見えてきた希望と、新たな「介護民俗学」の形.とは――。

怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ
森合 正範 (著)

「対戦相手の心情など知れる機会などなく、この一冊は自分が辿って来たキャリアを色濃くしてくれました」(2023年11月17日の井上尚弥選手のXより)

「みんな、井上と闘うなら今しかない。来年、再来年になったらもっと化け物になる」
2013年4月、井上尚弥のプロ3戦目の相手を務めた佐野友樹はそう叫んだ。
それからわずか1年半、世界王座を計27度防衛し続けてきたアルゼンチンの英雄オマール・ナルバエスは、プロアマ通じて150戦目で初めてダウンを喫し2ラウンドで敗れた。「井上と私の間に大きな差を感じたんだよ……」。
2016年、井上戦を決意した元世界王者・河野公平の妻は「井上君だけはやめて!」と夫に懇願した。
WBSS決勝でフルラウンドの死闘の末に敗れたドネアは「次は勝てる」と言って臨んだ3年後の再戦で、2ラウンドKOされて散った。
バンタム級で史上初となる4団体統一を果たし、スーパーバンタム級初戦となったフルトン戦と2023年12月のタパレス戦の勝利で2階級4団体統一王者となった「モンスター」の歩みを、拳を交えたボクサーたちが自らの人生を振り返りながら語る。強く、儚く、真っ直ぐな男たちが織りなす圧巻のスポーツノンフィクション。

ユニクロ
杉本 貴司 (著)

これぞ決定版!
圧倒的な筆力で描き出す、迫真のノンフィクション!!

さびれた商店街でくすぶっていた青年が「ユニクロ」という金の鉱脈をつかむまでの知られざる暗黒時代。
製造小売業(SPA)への挑戦。東京進出とフリースブームの到来。
集まる仲間たちと、古参社員との別れ。
苦戦する海外展開。ブラック企業批判。
そして、情報製造小売業への進化。
柳井正と、その夢に惹かれた同志たちの長き戦いをリアルに描き出す。

「ユニクロはどうやってここから生まれたのか。
地方のさびれた商店街の紳士服店は、なぜ世界的なアパレル企業になりえたのか。
本書では、その謎をひもといていくことを目的とする。
では、その歩みから何が見えてくるのだろうか。
現代を生きる我々に何を教えてくれるのか。
私が見つけたのは『希望』である。
この国に存在する名もなき企業や、そこで働く人たちにとって希望になるであろう物語である。」
――本文より

 


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