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日本全国の「校歌」をめぐるドラマが満載!『校歌斉唱! 日本人が育んだ学校文化の謎』が刊行

東京大学教授、東京音楽大学教授を歴任し、『聴衆の誕生』(サントリー学芸賞)、『歌う国民』(芸術選奨文部科学大臣賞受賞)などの著書がある音楽学者、渡辺裕さんによる、日本の校歌の変遷を取り上げた『校歌斉唱! 日本人が育んだ学校文化の謎』が新潮社より刊行されました。

「校歌」はどのように日本独自の土着文化となったか? 欧米から「コミュニティ・ソング」として導入され、時代を映しながら形を変えていったその軌跡を、校史や学校新聞などの資料を読み込んでたどる音楽社会史です。

 

明治から現代まで、軍歌、替え歌から讃美歌、J-POP調まで、世界に類を見ない「コミュニティ・ソング」を音楽学者が読み解く!日本全国の「校歌」をめぐるドラマが満載

校歌こそは、時代を映す音楽の機微を最も体現しているジャンルである――このような視座から、全国の校歌やその歌われ方を分析。入学式、卒業式、学園祭、体育大会……学校行事毎に生徒や教員、OBが口ずさむ校歌や応援歌はどのようにできあがってきたのか? 連帯感を高めるための学校歌が、旧制高校・高等女学校で独自の変化を遂げ、戦後の男女共学時代を経て現在に至る軌跡を、音楽社会学の権威が全国津々浦々の校歌を具体的に分析し、その秘密に迫ります。

 
◎「軍艦マーチ」の旋律がそのまま校歌になっている盛岡一高
◎ひとつの歌詞がいろいろなメロディで歌われていた修猷館高校
◎新校歌制定を10年議論し、結局、元のままとなった下妻一高
◎甲子園の出場が決まったのに、校歌がないので困った浜松北高
◎旧制中学校・高等女学校の名門共学化でハプニングの神戸高校
◎ヘドロ公害が原因で、校歌を変更する危機に陥った田子浦中学
◎山口洋子・平尾昌晃コンビの作詞作曲が話題になった富里高校

…など、古今東西日本全国の学校の校歌を取り上げています。

 
<国際日本文化研究センター名誉教授、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター所長・細川周平さん 推薦コメント>

「渡辺本のだいご味は多数の、既に選び抜かれた具体例をうまく抽象的な文化史枠に配して、目立たぬ学校祝歌の歌われる現場、歌う人の行為思惑を解き明かしている点にある。実例の展示会に終わらず、理論に走らず。読者は覚えている校歌をネット検索すると、発見があるだろう」

 

本書の構成

まえがき

序章 校歌という文化資源:校歌は「芸術作品」?

第1章 「コミュニティ・ソング」としての校歌
第1節 「コミュニティ・ソング」の誕生と世界進出
第2節 「近代国家」日本のなかの「コミュニティ・ソング」
第3節 「学校文化」としての校歌のもうひとつの顔

第2章 「校歌」以前の校歌:「替え歌校歌」の時代
第1節 「旧校歌」の謎:「校歌」という概念自体の変質
第2節 「下から」の校歌:校友会の文化と校歌
第3節 「替え歌」文化の近代
第4節 「替え歌校歌」の実態
1. 校歌と応援歌のおりなす世界
2. 《アムール川の》:「替え歌校歌」、「替え歌応援歌」の定番
3. 《天は晴れたり》:もはや「替え歌」ですらない?

第3章 校歌の「戦後処理」
第1節 校歌の直面した「戦後問題」
第2節 守るべきか捨てるべきか:下妻一高の「校歌改正問題」
第3節 「戦後民主主義」の理念と現実:浜松北高の新校歌制定をめぐる混迷
第4節 男女共学という「異文化接触」:旧制中学校+旧制高等女学校=?
第5節 「男女共学化」のなかの校歌:横浜平沼高校の事例

第4章 生き延びる校歌
第1節 校歌と「現実」:「公害校歌」をめぐる顛末
第2節 「校歌らしい」校歌?:「いまどき校歌」への道
第3節 《勇敢なる水兵》の3つの命運:「大合併」の時代と校歌
1. 「右肩下がり」の時代の文化
2. 校歌とともに失われる地域共同体:栃木県立烏山高校
3. 「戦時」と「戦後」をくぐりぬけて:新潟県立新発田高校
4. 旧校歌という「学校文化資源」:兵庫県立兵庫高校

第5章 「学校文化」のなかで:校歌を取り巻くインフラストラクチャー
第1節 高校野球と対校戦:校歌・応援歌の文化を育んだ「制度」
第2節 「バンカラ応援団」の虚実:「応援歌指導」の現在地
第3節 吹奏楽部という切り札:音楽と応援のはざまで

第6章 校歌をこよなく愛する学校:埼玉県立春日部高校の事例研究
第1節 春日部高校の校歌の成り立ち
第2節 演奏テンポと編曲:生きた伝承を可能にした「装置」
第3節 「春高ジェンカ」の誕生:校歌が歌われる場としての学校祭

あとがき

文献リスト

 

著者プロフィール

渡辺裕(わたなべ・ひろし)さんは、1953年生まれ。東京大学名誉教授。専門分野は聴覚文化論・音楽社会史。玉川大学助教授、大阪大学助教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授、東京音楽大学教授を歴任。

著書に『聴衆の誕生』(サントリー学芸賞)、『西洋音楽演奏史論序説』『日本文化 モダン・ラプソディ』『サウンドとメディアの文化資源学』『感性文化論』(以上、春秋社)、『歌う国民』(中央公論新社、芸術選奨文部科学大臣賞受賞)など多数。

 

校歌斉唱!:日本人が育んだ学校文化の謎 (新潮選書)
渡辺 裕 (著)

「校歌」はどのようにして日本独自の土着文化となったか?

校歌こそは、時代を映す音楽の機微を最も体現しているジャンルである――このような視座から、全国の校歌やその歌われ方を分析。旧制中学校・高等女学校でそれぞれの進化を遂げた後、戦後の男女共学化にどう変容し、いかに学校文化として歌い継がれてきたのか。校史や学校新聞などの資料を読み込んだ、瞠目の音楽社会史。

 
【関連】
試し読み | 『校歌斉唱!―日本人が育んだ学校文化の謎―』渡辺裕 | 新潮社

 


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