動物学者が『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』
動物学者アリク・カーシェンバウムさん著『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』(訳:穴水由紀子さん)が柏書房より刊行されました。
地球外生命体の知能とはどのようなものか? そして生命とは、言語とは何か?
エイリアンと聞けば、何を想像するでしょうか。いちばん多いのは映画に出てくる緑色で目の大きなヒト型の生き物という人も多いのでは。そこまで明確でなくても細菌のような微小な生き物ならいるかもねと考えるかもしれません。
いずれにしても誰でももしエイリアンに会えたなら、きっとこんな生き物だと想像したことはあるのではないでしょうか。エイリアンはわれわれより科学技術が進んでいて、地球に侵略してくるヤツらだとか、友好的で私たちの未来を明るいものにしてくれるとか、映画でもさまざまな姿が描かれています。
でも、しょせんは想像の世界と片づけていませんか。もちろん今の私たちが本当にエイリアンに出会える可能性は低いでしょう。人類が無線を使えるようになってから150年もたっていません。つまり、人類がいることをエイリアンが地球からの電波によって知ったとしても、150光年しか離れていない場所にいる場合のみとなります。宇宙の広さからしてもなんと狭い範囲でしょうか。もちろんそこからやってくるにしても、光の速度で150年かかるわけですから、われわれが会えないことは当然といえます。
本書では、物理学や化学の法則は宇宙でも変わらないことを前提に、生物学の見方を元に、もし生き物が地球外に生まれた場合、液体、気体、固体の中の生活スタイルを考えながら、どのような姿形になるか、どのように行動を選ぶか、どのように発展をしていくかを、進化論やゲーム理論をベースにして、地球の動物たちの進化の過程を参考に、エイリアンにもあてはめて考えてみた結果をまとめています。
そして、エイリアンを考えることは、結果としてわれわれ地球上の動物とは何かを考えることにもつながっていることも明らかにしていきます。
本書の構成
第1章 はじめに
第2章 形態vs機能──すべての惑星に共通するものとは?
第3章 動物とは何か、地球外生命体とは何か
第4章 運動──宇宙を走り、滑空する
第5章 コミュニケーションのチャネル
第6章 知能(それが何であれ)
第7章 社会性──協力、競争、ティータイム
第8章 情報──太古からある商品
第9章 言語──唯一無二のスキル
第10章 人工知能──宇宙はロボットだらけ?
第11章 私たちが知る人間性
第12章 エピローグ
著者プロフィール
■アリク・カーシェンバウム(Arik Kershenbaum)さん
動物学者、大学講師、ケンブリッジ大学ガートン・カレッジの研究員。イエローストーン国立公園やウィスコンシン州中央部の森でオオカミを追いかけ、さまざまな種類の遠吠えの意味を明らかにしたほか、紅海のサンゴ礁に生息するイルカのホイッスル、ベトナムのジャングルに生息するテナガザルやガリラヤの山中に生息するハイラックスの鳴き声を解読するなど、動物のコミュニケーションに関わるフィールドワークを幅広く行っている。ハイファ大学で博士号、ケンブリッジ大学で上級博士号を取得。
■訳:穴水由紀子(あなみず・ゆきこ)さん
翻訳家。英国バース大学通訳翻訳修士課程修了。訳書に『世界の植物をめぐる80の物語』(柏書房)、『地球をハックして気候危機を解決しよう 人類が生き残るためのイノベーション』(インターシフト)、『タータン事典 チェック模様に秘められたスコットランドの歴史と伝統』、『世界の大河で何が起きているのか 河川の開発と分断がもたらす環境への影響』(以上、一灯舎)など。
![]() | まじめにエイリアンの姿を想像してみた アリク カーシェンバウム (著), 穴水 由紀子 (翻訳) |
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