故・塚本邦雄さんの名著『ことば遊び悦覧記』が2500部全冊直筆サイン入りで新装復刊
河出書房新社は、1980年に刊行された塚本邦雄さんの名著『ことば遊び悦覧記』を、初版全冊を塚本邦雄さんによる直筆サイン入りで、5月29日に新装復刊します。
2005年に逝去した塚本邦雄さんの貴重な直筆サイン入り
河出書房新社が本書の刊行を準備中に、著者・塚本邦雄さんのご子息である作家・塚本靑史さんより、ご自宅から塚本邦雄さんの直筆サイン紙が3,000枚ほど見つかったと連絡がありました。
屋根裏で大切に保管されていた状態がよいものであり、塚本靑史さんと相談の上、急遽、本書の初版2,500部全冊に綴じ込みをすることとなりました。2005年逝去の塚本邦雄さんによる「サイン入り新刊本」刊行という、非常に珍しい形態での出版が実現します。
<名著『ことば遊び悦覧記』の魅力>
塚本邦雄著『ことば遊び悦覧記』は、1980年3月に刊行(新装版1990年8月刊行)された、回文、折句、いろは歌、円形詩……古今東西の詩歌における多彩な言語遊戯を、現代短歌の鬼才が蒐集、解読・鑑賞とともに贈る、知的悦楽に満ちた空前絶後のアンソロジーです。
本書でまず目を引くのは、山、円、碁盤など様々な形をした、まるでパズルのような詩歌。
さらに回文俳句や回文漢詩、いろは歌オマージュなど、我々が抱く詩歌の概念を超える遊び心いっぱいの作品が収録されています。

本文P.31

本文P.109

本文P.165
【ミステリ作家・竹本健治さん 推薦コメント】
「宝典である以上に毒の蜜
本書を手に取る者は、あまりの過剰さはそのまま毒であることを思い知るだろう。」
いろは歌を使った傑作ミステリ『涙香迷宮』でも名高い竹本さんが「毒の蜜」と評価する、濃密な本書をこの機会にご堪能ください。
本書の目次
遊楽の序
一 古代詩歌
二 十世紀のアラベスク和歌
三 いろは歌今昔
四 回文
五 折句七変化
六 続・折句七変化
七 野馬台詩
八 形象詩と詞絵
九 幾何学形詩
十 続・幾何学形詩
十一 輪状詩・循環詩
十二 補遺余滴
跋
今、塚本邦雄が熱い!
前衛短歌の雄・塚本邦雄さんは、一方で評論、小説、アンソロジーでも精力的に作品を発表しました。河出文庫では2022年1月に傑作ミステリ『十二神将変』を復刊。岸本佐知子さんの推薦帯「一文一文、一語一語をしたたる蜜のように吸いつくし、酔いしれる。これはもう、文字でできた麻薬。」も話題を呼び、今まで塚本邦雄さんの小説に触れてこなかった世代にも受け入れられ5刷を重ねました。
ひきつづき復刊した短篇集『紺青のわかれ』、歴史小説『菊帝悲歌 小説後鳥羽院』も好評を博しており、6月には瞬篇集『夏至遺文 トレドの葵』が発売予定です。
磨き抜かれた言葉、古典への深い造詣と批評眼など、塚本邦雄の美学は、没後十数年を経た今、ますます輝きを増しています。
著者プロフィール
塚本邦雄(つかもと・くにお)さんは、1920年生まれ、2005年没。歌人。
1951年、第1歌集『水葬物語』刊行、以後、岡井隆さん、寺山修司さんらと前衛短歌運動を展開。現代歌人協会賞、詩歌文学館賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞、現代短歌大賞など受賞。
ことば遊び悦覧記 塚本 邦雄 (著) 回文、折句、いろは歌、円形詩……古今東西の多彩な言語遊戯を、鬼才の解読・鑑賞とともに贈る。空前絶後のアンソロジー。新装版。 |
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