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最果タヒさん×金原瑞人さん共訳!サラ・クロッサンさん2016年カーネギー賞受賞作『わたしの全てのわたしたち』刊行

最果タヒさん×金原瑞人さん共訳!サラ・クロッサンさん2016年カーネギー賞受賞作『わたしの全てのわたしたち』刊行

最果タヒさん×金原瑞人さん共訳!サラ・クロッサンさん2016年カーネギー賞受賞作『わたしの全てのわたしたち』刊行

ハーパーコリンズ・ジャパンは6月10日、気鋭のアイルランド人作家サラ・クロッサンさんが結合性双生児の少女二人を詩で描いた切ない珠玉の青春小説『わたしの全てのわたしたち』を詩人・最果タヒさん×翻訳家・金原瑞人さんの共訳で刊行します。

 

2016年カーネギー賞受賞作『わたしの全てのわたしたち』について

 
<あらすじ>

グレースとティッピは16歳の双子。腰から下がつながった、結合性双生児だ。顔かたちはそっくりでも、グレースはシャイで、ティッピは勝ち気。2歳まで生きられるかどうかわからないと医師から言われていた二人は、大学講師の父、銀行勤めの母、チャーミングな祖母、バレリーナの妹という大切な家族に守られ、16歳まで生きてきた――

学校生活を通して育む友情、初めての恋、そして別れ……。

「死ぬまでにしたいことリスト」を作ってめいっぱい生きる二人の姿を通して自分を見つめなおす機会を与えてくれる、今だからこそ読みたいみずみずしいYA文学です。

 
【本文より抜粋】

理解へ

私たちを結合双生児と呼べば、理解できていると信じている大人たち。
ひとりとして、おんなじ結合双生児なんていないのに。みんなどこかしら違っているのに、たやすく同じ箱に入れていく。私たちの体には、わからないことが多すぎるから。かれらはずっと知りたい。くっついている私たちの肉体、それってなに、どういうこと? くっついているってどういうことなの? だから、私たちは教えてあげる。黙っていたら、かれらは一生、わからないから。教えてあげる。勝手に、好き勝手に、想像されたくはない。おもしろおかしく「理解」なんてされたくない。あなたに、協力したい、わけじゃないよ。

うん。
私たちは坐骨結合体双生児です。
坐骨のところでくっついているタイプの、双子です。
私たちは、頭を2つ、心臓も2つ、肺と腎臓も2組、腕は4本、
動く脚なら2本で、動かなくて、とても小さな脚なら、1本、
くっついています。犬の、しっぽみたいに。
腸は途中から合流します。混ざって、そこからは全部ひとつだけ。

前世でなにをしたんだろう、どういう罰をうけて、そんな姿で生まれたんだろう、そう思う? でも私、最悪だなんて、思ったことがないよ。他の双子たち、頭と心臓がくっついている子もいるし、腕が2本しかない子もいる。その子たちよりは、いいって思う。

これ以外の体を知らない。
これ以外の人生を知らない。
たった一人で生まれて、
たった一人で生きるなんて、
リアリティがなさすぎる。

ティッピといっしょに生きられて、私は最高に幸せ。
心からそう言える。

 

著者プロフィール

著者のサラ・クロッサン(Sarah Crossan)さんは、1981年生まれ。大学で哲学と文学を専攻し、ケンブリッジ大学で英語の講師を務めたのち、作家へ転身。

みずみずしい感性のヤングアダルト小説で評価が高く、詩の形式で書かれた小説2作でカーネギー賞ショートリスト、本作『One』で2016年カーネギー賞ほか多くの文学賞を受賞した。

 

訳者プロフィール

 
■最果タヒ(さいはて・たひ)さん

1986年生まれ。詩人。中原中也賞、現代詩花椿賞などを受賞。2016年の詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は映画化され、同年の映画賞を多数受賞した。

2017年、清川あさみさんとの共著『千年後の百人一首』では、百首を詩の言葉で現代語訳した。『わたしの全てのわたしたち』は、金原瑞人さん訳を「日本語の詩の小説」として再翻訳した、初めての翻訳作品。

 
■金原瑞人(かねはら・みずひと)さん

1954年生まれ。翻訳家、児童文学研究家、法政大学社会学部教授。

1980年代より、多くのヤングアダルト小説を翻訳、紹介してきた。手がけた翻訳書は550冊以上にのぼり、現在も更新中。近刊に『アウシュヴィッツのタトゥー係』、リンドバーグシリーズ最新刊『エジソン』など。

 

わたしの全てのわたしたち (ハーパーコリンズ・フィクション)
サラ クロッサン (著), 最果 タヒ (翻訳), 金原 瑞人 (翻訳)

若い世代に絶大な人気を誇る詩人・最果タヒと、YA文学翻訳の第一人者・金原瑞人の共訳で贈る、詩で綴られた珠玉の青春小説。
2016年カーネギー賞受賞作!

グレースとティッピは16歳――腰から下がつながった結合双生児だ。
普通とはちがう幸せな日常、初めての学校生活、友情、恋、そして別れが、一人語りの詩によって、みずみずしく、せつなく、描かれる。

「わたし」として世界を見ること、考えることを諦めない時、「わたし」は詩になるのだと思う。
本当の意味の「詩」にあふれたこの本に関わることができ、幸せに思います。
(最果タヒ)

いまこの本を訳すとしたら、この方法しかない。
そんな気がする。
(金原瑞人)

2016年の児童文学賞を総ナメ! このほかノミネートも多数。
WINNER OF THE CILIP CARNEGIE MEDAL 2016(カーネギー賞)
WINNER OF THE YA BOOK PRIZE 2016(YAブック賞)
WINNER OF THE CHILDREN’S BOOKS IRELAND BOOK OF THE YEAR AWARD 2016(アイルランド児童文学賞)
WINNER OF THE CBI BOOK OF THE YEAR AWARD 2016(CBI ブック・オブ・ザ・イヤー賞)
WINNER OF THE CLiPPA POETRY AWARD 2016(CLiPPA ポエトリー賞)
WINNER OF HEA NOORTERAAMAT 2017(エストニアの児童文学賞)

 


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