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スマホ依存の真相と脱却のカギが明らかに!『私たちはなぜスマホを手放せないのか』が刊行

アダム・ガザレイさん&ラリー・D・ローゼンさん著『私たちはなぜスマホを手放せないのか──「気が散る」仕組みの心理学・神経科学』(監訳:河西哲子さん、訳:成田啓行さん)が福村出版より刊行されました。

現代を生きる私たちが日々ついスマホに手を伸ばし、ハマってしまうメカニズムを、心理学と神経科学の第一人者がタッグを組んで解明。スマホの悪影響を緩和する方法を提案します。

 

ついついスマホに手が伸びてしまうのは、人類に古くからインストールされた〈気が散る心〉のせいだった! 心の仕組みを解き明かし、スマホやハイテク機器と健全な関係を結ぶことで、「スマホ脳」から解放される!

私たちは毎日、スマートフォンやコンピューターなどのテクノロジーに囲まれて生活しています。しかし、それらの機器は私たちの注意力や認知能力にどんな悪影響を与えているのでしょうか?

私たちはマルチタスクをしてテクノロジーを「使いこなしている」と考えていますが、それは本当に「使いこなしている」のでしょうか?
私たちはどのようにしてテクノロジーの誘惑に抵抗し、目標を達成することができるのでしょうか?

──そのような疑問に答えるのが、本書『私たちはなぜスマホを手放せないのか──「気が散る」仕組みの心理学・神経科学』です。

 
本書は、現代のテクノロジーが私たちの脳と心にどのような影響を与えているか、そしてその影響を軽減するためにどのような行動や手法を取るべきかについて論じています。そのキーワードが、誰もが毎日経験している、つい集中できなかったり他のことに気が向いてしまう現象=〈気が散る心〉です。

〈気が散る心〉は私たち人類が古代から持っている心の仕組みで、人類はそのおかげで厳しい生存競争を現在まで生き延びてきたのですが、現代のスマホやハイテク機器はこの〈気が散る心〉をハックして、私たちの注意力(認知制御)を著しく弱めてしまっているのです。

 
本書の魅力は、心理学と神経科学の両方の視点から、人間の認知制御の仕組みとその限界を解説し、テクノロジーが私たちの生活や能力にどのような影響を及ぼしているかを具体的な事例や研究で示していることです。著者らは、最新の科学的研究や事例を紹介しながら、私たちがテクノロジーに頼らずに自分の注意力や認知能力を高めることができる実用的なアドバイスを提供しています。

 
本書は三部構成になっており、第Ⅰ部では認知とその制御の本質について、第II部ではハイテクな世界における行動について、第III部ではコントロールを行う方法について解説しています。

本書は、テクノロジーに囲まれた現代社会において、自分の脳と心をコントロールすることの重要性と方法を知りたい人にとって、必読の一冊です。

 

本書の構成

第Ⅰ部 認知とその制御の本質
1 干渉
2 目標と認知制御
3 脳と制御
4 認知制御の限界
5 変動とゆらぎ

第II部 ハイテクな世界における行動
6 テクノロジーの心理学
7 絶えず注意が移り変わることの影響
8 多様な集団に対するテクノロジーの影響
9 なぜ私たちはみずから注意を中断するのか

第III部 コントロールを行う
10 認知制御を増強する
11 行動を変える

 

著者プロフィール

 
■[著者]アダム・ガザレイ(Adam Gazzaley)さん

アメリカの神経科学者、作家、写真家、起業家、発明家。カリフォルニア大学サンフランシスコ校デイヴィッド・ドルビー特別教授、Neuroscape 神経科学研究センター創設者兼エグゼクティブ・ディレクター、Akili Interactive Labs 共同創設者。注意力と記憶の神経科学を専門とする。

 
■[著者]ラリー・D・ローゼン(Larry D. Rosen)さん

カリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校心理学教授。テクノロジーが人間の心理に与える影響を研究する第一人者として知られる。おもな著書に『毒になるテクノロジー iDisorder』(共著,児島修訳,東洋経済新報社,2012年)、“Me, MySpace, and I: Parenting the Net Generation”(St. Martin’s Press, 2007 年)、“The Wiley Handbook of Psychology, Technology and Society”(共編著,Wiley-Blackwell,2015年)。

 
■[監訳者]河西哲子(かさい・てつこ)さん

北海道大学教育学部教授。北海道大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。おもな著書に『注意の生涯発達心理学―研究テーマ別』(共編著,ナカニシヤ出版,2020 年)、論文に“Effects of irrelevant object structure on early attention deployment”(Consciousnessand Cognition,2021 年)など。専門は認知心理生理学で、脳波を用いた心理学研究を行っている。

 
■[訳者]成田啓行(なりた・ひろゆき)さん

英日翻訳者。滋賀県立大学大学院人間文化学研究科(博士後期課程)単位取得退学。訳書に『お世辞を言う機械はお好き?―コンピューターから学ぶ対人関係の心理学』(福村出版,2017年)、『ゲーム障害―ゲーム依存の理解と治療・予防』(福村出版,2020 年)、『はじめて学ぶビデオゲームの心理学―脳のはたらきとユーザー体験(UX)』(福村出版,2022 年)がある。最近始めた趣味のスケボーは、集中力の強化にいいと感じている。

 

私たちはなぜスマホを手放せないのか 「気が散る」仕組みの心理学・神経科学
アダム・ガザレイ (著), ラリー・D・ローゼン (著), 河西 哲子 (翻訳), 成田 啓行 (翻訳)

スマホについ手が伸びてしまう、その原因は脳と心の仕組みにあった! 最新の心理学と神経科学の研究成果から、スマホにハマるメカニズムとその影響を減らす処方箋を紹介。

私たちは、なぜついスマホに手を伸ばしてしまうのか? この本では、心理学者のラリー・ローゼン博士と神経科学者のアダム・ガザレイ博士が、現代のハイテク社会を生きる私たちが、つい目標に関係のない情報や刺激に注意が奪われてしまう現象=〈気が散る心〉に悩まされる原因と対策を探る。

 本書の魅力は、心理学と神経科学の両方の視点から、人間の認知制御の仕組みとその限界を解説し、テクノロジーが私たちの生活や能力にどのような影響を及ぼしているかを具体的な事例や研究で示すことである。著者らは、人間の脳が目標を設定し、注意やワーキングメモリ、目標管理などの認知制御を行う過程を詳しく説明し、そのなかで干渉や中断によって引き起こされる問題を明らかにする。また、テクノロジーが注意力を分散させ、マルチタスクやタスクスイッチを頻繁に行わせることで、学習や安全、職場や人間関係などに悪影響を与えることを示す。さらに、テクノロジーが利用しやすく、退屈や不安などの感情を和らげることで、依存性を高めることも指摘する。

本書の目的は、〈気が散る心〉を改善するための方法を提案することである。著者らは、脳の可塑性を利用して認知制御を増強する方法として、教育や瞑想、認知トレーニングやビデオゲームなどを紹介する。また、テクノロジーを捨てずに行動を変える方法として、安全運転や大事な課題の達成、人と過ごす時間や睡眠の質などを向上させる方策を示す。これらの方法は、実用的で確かな科学的裏づけのあるものであり、読者に有益な知識と実践的な助言を与える。

 本書は心理学と神経科学の両方から〈気が散る心〉に迫り、現代社会で生き抜くための知恵と技術を提供する貴重な書物であると言える。著者らは、人間の脳がどのように目標を追求し、テクノロジーがどのようにそれを妨げるかを明確に説明し、読者に自分の行動や環境を見直すきっかけを与える。また、著者らは、脳を変化させて状況への抵抗力を上げる方法や、テクノロジーを捨てずに行動を変える方法を示し、読者に具体的な対策を教える。本書は、ハイテク社会で〈気が散る心〉に悩む人々にとって、必読の一冊である。

 


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