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橘玲さん×安藤寿康さんが知能格差社会の真実に切り込む『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」』が刊行

ベストセラー作家の橘玲さんと行動遺伝学の第一人者・安藤寿康さんが「遺伝と人間」について徹底的に論じた『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」』がNHK出版より刊行されました。

 

知性、能力、性格、そして運まで──「遺伝の影」から誰も逃れることはできない

知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないという事実でした。

私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。理不尽を乗り越え、成功を手にするための方法は存在するのか? ベストセラー作家と行動遺伝学の第一人者が徹底的に論じます、

 
<「知能(犯罪性向、あるいは精神疾患)が遺伝するなんてありえない」という虚構の世界>

(「まえがき――誰も「遺伝」から逃れることはできない」より一部編集して抜粋)

1970年代に始まった「社会生物学論争」では、ヒト以外の生き物を遺伝で論じるのは許されるが、人間の能力や性格、精神疾患などにすこしでも遺伝の影響があると示唆することは、ナチスと同じ「遺伝決定論」だとして徹底的に批判され、学者としての社会的存在を抹消(キャンセル)されることになった。

 (中略)

だがすでに欧米では、ポピュラーサイエンスはもちろん自己啓発書ですら、行動遺伝学や進化心理学の知見を前提とするようになり、日本でも人類史を進化の視点から語るユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』がベストセラーになった。ひとびとはすでに虚構(きれいごと)に気づいており、遺伝の影響を無視したこれまでの学問(とりわけ発達心理学や教育社会学)は10年もすれば捨て去られ、20年後には忘れ去られているだろう。

この「知のパラダイム転換」を日本で牽引する一人が、行動遺伝学の泰斗、安藤寿康氏だ。今回、安藤氏と対談させていただく機会を得て、自然科学の視点から人間や社会をどのように理解すべきかを縦横に論じていただいた(答えにくい質問にも誠実に対応していただいた)。

ここで強調しておきたいのは、本書で紹介する行動遺伝学の知見が、現在ではヒトゲノムを解析する驚異的なテクノロジー「GWAS(ゲノムワイド関連解析)」によって裏づけられていることだ。もはや誰も、この事実(ファクト)から逃れることはできない。

わたしたちにできるのは、それにどう対処するかだけだ。

 

本書の構成

まえがき――誰も「遺伝」から逃れることはできない

第1章 運すら遺伝している――DNA革命とゲノムワイド関連解析

第2章 知能はいかに遺伝するのか

第3章 遺伝と環境のあいだ

第4章 パーソナリティの正体

第5章 遺伝的な適性の見つけ方

第6章 遺伝と日本人――どこから来て、どこへ行くのか

あとがき――遺伝を取り巻く「闇」と「光」

 

著者プロフィール

 
■橘玲(たちばな・あきら)さん

1959年生まれ。作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』が30万部超のベストセラーに。『永遠の旅行者』は第19回山本周五郎賞候補となり、『言ってはいけない―残酷すぎる真実』で2017新書大賞を受賞。著書多数。

 
■安藤寿康(あんどう・じゅこう)さん

1958年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。専門は行動遺伝学、教育心理学、進化教育学。『能力はどのように遺伝するのか』『教育は遺伝に勝てるか?』『「心は遺伝する」とどうして言えるのか』など、著書多数。

 

運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)
橘 玲 (著), 安藤 寿康 (著)

知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで

 


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